まだなんとか鍛えられる体に宿るいっこうに鍛えられない精神

最近、バイク通勤ではなく電車通勤をしているのだが、電車の意外な利点に気が付いた。本、新聞が読める、運がよければ睡眠時間の確保ができる、帰りは一杯引っかけてもOK! なんて恩恵はフツーだが、最近、気付いたのは、それらをはるかに超える絶大な恩恵だったのである。

 

だらしない僕のことである、寝坊しようがしまいがしたくにダラダラとものすごく時間をかける。まぁ、編集部に行きたくないというのも少なからずあるだろうけど(笑)。…で、気が付けば電車の時間ギリギリである。発車ベルが鳴りやむのが先か、ホームに駆け上がるのが先かという、ムダにハラハラドキドキのデッドヒートを朝から繰り広げることになるってワケだ。あっ、名誉のために言っておくと2本ほど余裕を持った電車でだけどね!

 

で、最近気が付いたというのは、電車通勤を始めたころよりずいぶん“走れる”ようになったことだ。はじめは100mも走れば息が上がり、足の筋肉が「もうダメ」と悲鳴をあげたもんだが、いつの間にか500m以上をノンストップで走ることができるようになっている。しかも、重いライディングシューズに大きめのデイパックといったおおよそ走るのに適さない格好でである。

 

年相応に出てきた腹も、この朝ダッシュのおかげでずいぶん引っ込んできたようで、きつくなりかけていたズボンのウエストが再び緩くなってきた。ただ一方で、太ももとふくらはぎがパンパンになるズボンが出てきてしまったが、引っ込んだ腹と太い足を天秤にかければどちらを取るかは明白だろう。人間の体ってのは、この歳になっても鍛えようと思えば(?)、絞ったり鍛えたりできるというのが単純な驚きだった。駅までの約1kmを走りきれるようになる日も近いね、コレは。

 

ただ困ったのは、いくら長く速く走れるようになろうと、それだけ家を出る時刻が遅くなるだけで電車と競争する事実にいっこうに変化がないということだ。走れば鍛えられる体とは違い、30後半になってもつねにタイトロープを渡りたがるココロの方は、どうやら容易に改善できないようである。いやはや困ったモンだ(笑)。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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