キュウリから見えた伝統の受け継がれ方

日に日に暑さが増し、本格的な夏ももうすぐ。夏は食べ物もおいしい季節だ。スーパーでもまさに今が旬の野菜や果物がたくさん並んでいる。ボクの実家は農家なので、「季節の食べ物」はだいたい頭に入っていて、たとえば、この時期の野菜といえばナスやトマトから始まり、ピーマン、カボチャ、トウモロコシなんかも代表的なものだ。もう少しすればミョウガやシソの葉なども採れて、冷や奴と一緒に食べれば、もうそれだけでご飯が何杯もいけちゃうくらいウマい! そんな数ある中でも絶対に外せないのがキュウリ。ボクの“夏野菜ランキング”では、もう25年以上も不動の1位として君臨している。

 

独特の青臭さがあるので苦手だという人も聞くけど、好き嫌いで選べばどちらかというと嫌いという人の方が少ない食べ物だと思う。緑色なのは簡単に言うと熟れていないからなんだけど、口に入れると小気味いい歯応えがあり、とくに夏場の暑いときでも食欲増進の手助けとなってくれる。調理方法や品種によっては熟したものが使われることもあるけど、歯応えのあるキュウリが市場から姿を消すことはないだろう。冷やし中華やカッパ巻きがおいしくしいのはあの歯応えのおかげだからね!

キュウリにはおもしろいエピソードがいろいろある。「輪切りにすると切り口が徳川の“葵の御紋”に似ているだろ。だから昔はこうして輪切りにして食べなかった」と、食卓に並んだときにばあちゃんが音を立てて食べながら言っていたのを覚えている(笑)。他にも、調べてみるとギネスブックに「世界一栄養の無い野菜」としてキュウリが載せられているそうだ。成分の9割、つまりほとんどが水分でできていて、一説によると栄養が少ないだけでなく一緒に摂取した食べ物のビタミンCまで壊してしまう、なんてことまで聞いたことがある。これだけ聞くとなんだかすごく価値のない食材のように考えてしまったが、そういえば以前、同じくばあちゃんがキュウリの漬け物ばっかり食べていたボクに、「キュウリばかり食べているとバカになる」とたしなめたことを思い出した。昔の人には科学的な証拠はなくても経験からくる裏付けみたいなものが代々伝わっているのかもしれないと妙に納得してしまったのだ。まあ、その真偽はともかくとして、こうやってボクの頭にも少しずつ刻まれていっているのは確かだ。

“キュウリ”から始まってこんなことにまで発展してしまったけど、伝統ってこうやって受け継がれてきたのではないかと思える。親から子、子から孫、ときにはじいちゃんばあちゃんから孫へ、たわいもない話(実はこういうのが重要だったりする)が伝わっていくのだ。そういうことを考えると、なんだか家族と離れて生活するのってもったいないことなんだなぁ。またキュウリを食べながらばあちゃんと同じ話題で盛り上がる、今年もそんな季節がもう目の前まで近付いてきている。

 

KJのプロフィール

考えるよりも行動する方が好きな、いわゆる体育会系脳ミソの持ち主。先輩スタッフの破天荒ぶりを脅威と感じながらも、下克上を虎視眈々と狙っている。最近は、仕事と称していろんなバイクに乗っては、「このバイクいいっすね」を口癖に、次の購入ターゲットを思案中。〆切り前はあたふたしていることが多く、布団で眠ることを至上の歓びとしながら、今日もパソコンの前で夢の世界へ旅立つ。

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