10年目の役得

二輪業界に入り込んで10年。いよいよというか、ついにというか、ようやくこの日がやってきた。あのカワサキの名車、Z1のフルノーマル車に乗る機会を得たのである。僕らオートバイ雑誌の編集は、職業柄、国内外のメーカーを問わず、新車や現行モデルにはたいてい乗ることができる。まぁ、それが楽しいからこそ、泊まりの続くツライ締め切りを乗り越えられたりもするのだが…、まぁその話は別の機会に取っておこう。

…というわけで、いろんなバイクに乗るからこそ乗り味を含めたキャラクターの相関図みたいなものや、メーカーのバイク作りに対するスタンスの違い、テイストの違いなんてものが頭のなかに自然と構築されてくる。でも過去のバイクとなると、途端に一筋縄ではいかなくなる。つまり、現行モデルじゃないから、バイクメーカーから「広報車」という、PR活動用のバイクを借りることもできなくなってしまうというワケだ。それでも最近は、中古車ディーラーが主催している中古車試乗会が開催されたりして、過去のモデルにも触れる機会が増えてはいるけど、古いモデルのノーマル車となるとやっぱりなかなか難しい。しかも「名車」「旧車」ともなれば、もう妙なプレミアが付いて中古にも関わらず価格が高騰。数々の伝説によって神格化しており“信者”といった方がいいような熱狂的なファンも多い。たとえそんな人たちと仲よくなって、
「いいですよ。ぜひぜひ乗ってみてください」なんて言われたって、そのバイクに対する思い入れや苦労が容易に予想できるだけに、気軽に「喜んで!」なんて言えるハズもない。

まぁ、そんなこんなでコレまで縁がなかった名車だが、そんな希少なフルノーマル車の眼福にあずかるばかりか、乗る機会まで得てしまったのである。まぁ、もちろん車両の移動とかその程度で、ガンガン走り込めてはいないけど、それでも、バイク雑誌編集者としてはうれしくないワケがない。しかも、今回はカワサキの“往年の名車”Z1だけでなく、いわゆる“ニンジャ”のGPZ900Rに、2バルブゼファーなどなど、カワサキの歴史的車両ともいえるマシンたちに一気に乗ってしまったのである。

いやぁ、最高! 乗り味はもちろんだけど、その車両に乗れたというだけで大感激である。このようすは次号のタンデムスタイル…、のハズはなく、タンスタと同じ会社のスタッフが編集しているカワサキバイクマガジン(KBM)でお届け。気になる乗り味も、KBMの方でギッチリお届けするから期待してくれ。いやぁ、役得役得。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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