引っぱられないように

引っぱられないように

バイク乗りはよく「乗りやすいだけのバイクなんてつまらないよ」などと言ったりします。大排気量・高出力・ショートストロークエンジン・クセのある乗り味・鼓動感・アグレッシブなデザイン…などなどを、好んだりする傾向があります。もちろんバイクの好みなんて十人十色だし、それも一つの好みなので否定はしないのですが、上に挙げたような傾向はバイク歴の長い人に多いような気がします。…すると、ですね。「こういう意見に引っぱられてしまうビギナー」も少なくないのですよ。ビギナーからするとベテランの発言には説得力があるような気がしてしまいますし、「そうか、馬力の小さいバイクはクソなんだな」「そうか、乗りやすいバイクはクソなんだな」…と、完全な誤解をしてしまう。これは、よくない傾向だなぁと思うのです。

かつて、学生時代の後輩から電話がかかってきたことがあったんです。そいつは学生時代にはまったくバイクなんて興味がなかったクセに、社会人になってから乗りたくなったとかで「ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」と電話をかけてきたわけです。

話を聞くと、とある400ccのロードスポーツモデルがカッコイイと思っているとのこと。しかし、ネットでの評判がよくないのだとか。「ネットを見たら『遅い』って書いてあるんですよねぇ…。どのくらい遅いんスか? 原付よりも遅かったりしますか? そこまで遅いならやめようかなと思うんですけど…」

いやこれね、笑ってはいけないのですよ、本人は大まじめですから。ボクは「ああ! ビギナーというのはここまで深刻な勘違いをしてしまうのか」と恐怖しました。ひとまず、「何言ってんだよそんなワケねーだろ! 400ccだぞ400cc、スタートダッシュだったらそこらのクルマよりも断然速いわ! 高速道路の追い越し車線だって普通に走れるわ!」と説教したのですが…。何も知識のないビギナーは、ネガティブな意見に引っぱられてしまいがち。タンデムスタイルはそういう誤解を少しでもなくすため、これからもがんばらねばなぁと思った経験でした。

ちょっと話は変わるのですが、ボクの人生で初めてのバイク体験は、原付免許の試験を受けに行って、合格した後に受ける実技講習でした。ホンダの「PAL」というお買い物スクーターで練習したんですが、まぁこれが、とてつもなく衝撃的な体験でした! ボクの人生は、もしかしたらあの瞬間に決まったのかもしれない。「こんなにもおもしろい乗り物が世の中にあったのか…!」と、カミナリに打たれたかのような衝撃だったんですよ。胸の中があんなに感動でいっぱいになった体験は、人生の中でそう何度もあるものではないと思います。

で、世の中のビギナーもみんな、そんな感動を体験しているわけですよね。自分の愛車を手に入れて初めて走り出したときには、すばらしい感動があると思います。でももし、そんなビギナーが自分の愛車をネットで調べたときに「あれはクソだろ」「たった○馬力しかねーのかよ」なんて言葉を見付けてしまったら、さぞ悲しいだろうと思う。愛車に対する愛情が薄れてしまうかもしれない。

別に、ネットの世界でいろいろな意見が飛び交うことはいいと思うのです。人の好みはいろいろですし、ある人にとってつまらないと感じるバイクは、どう説得されようがつまらないことに変わりはないでしょう。どれだけライディングテクニックがあるか知りませんが、遅いと感じたのなら遅いのでしょう。…でも。まだ判断力がないビギナーがそういったネガティブな意見に引っぱられてしまい、悲しい思いをすることだけはどうにかなくしてやりたい。タンデムスタイル編集長としては、そんなことを思うのです。

そもそもボク本人が、乗りやすいバイク大好きですしね。これからもタンスタはビギナー目線で車両紹介をしていきますよ〜。

引っぱられないように

マンボサイトーのプロフィール

「マンボ」というニックネームはマンボウ似であることから名付けられ、当初はかなり嫌がっていたものの、最近ではそれほど気にならなくなってきた。ビッグバイクよりも中小排気量 の方が好き、人気車種よりもマイナー車の方が好き、というあまのじゃくな性格の持ち主でもある。

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