随分身近になったな、宇宙

編集部の最寄りの本屋に行ったときのことである。宇宙系の特集コーナーが組まれていたのだが、そこに置かれていた付録メインの雑誌のタイトルに思わず目を疑った。

「貴重な隕石入り!」

な、なんと雑誌の付録に隕石が付いているというのである。隕石といったら宇宙から落ちて来るアレですよね? 鉄隕石とか石質隕石とかいろいろあって、最近ではDNAっぽいものが見付かったりして大きなニュースになったあの隕石ですよね?

まさか!と手に取ってみれば、小指のツメ半分ほどの大きさの鉄隕石と思われる石ころがのぞき窓から見える。しかも磁石がはめ込まれたディスプレイ付きじゃないか! この手の自然科学モノにヒジョ〜に弱い僕は大パニック! え? 鉄隕石が本屋で買えるの? しかも、約1,500円ってなにかの間違いか? 大体において、隕石ってものすごく高価だという固定観念があるだけに、頭の中は「?」だらけである。

そりゃあ、蛍石とかヘマタイトとか鉱物なら、こんな標本として売られているのも見たことがあるし、わかりますよ? でも隕石っていうからには宇宙から降って来るもんでしょ? それが本の付録ですと? なんせ、子どものころは、鉄隕石を見るために親にせがんで博物展に連れて行ってもらったぐらいの僕である。お手軽価格で売られている隕石を前に心の平静がたもてるワケがない。
 
 
食い入るようにパッケージを見つめる僕。文字という文字はすべて読んだ。どうやら付録に付いている隕石は、カンボ・デル・シエロ産の鉄隕石らしい。スマホでちょちょいとググってみれば、隕石としてはポピュラー(?)なものらしく、直径4mほどの巨大鉄隕石が衝突して、あたりには粉々になった隕石の破片が無数に散らばっているらしい。それがよく標本やアクセサリーとして売られているようなのだ。

むむう。出所はなんとなくわかったが、「落ち着けオレ」と言い聞かせる。その場は、なんとか衝動買いせずに済んだが、あれから本屋を見かけるたびに気になってしょうがない。経験上、この手のモノは、入手し損ねるといつまでも後をひくんだよねぇ…。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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