ホンダの125㏄、一挙6台がデビュー!

いやぁ、スゴいですね。ここ数ヶ月におけるホンダさんの新車ラッシュ。しかも、この22日に発表になったばかり6台はすべて125㏄クラス! 車名を列挙するなら、ディオ110、グロム、ズーマーX、CBR125、リード125、クロスカブ! ギヤ付き3台にスクーター3台。キャラクターは六車六様、実に個性的な車種のそろい踏みである。

「いやぁ、なんだかゲンキですねぇ、ホンダさん!」と拍手する一方で、「おいおい、市場の中心とは言いがたい125ccクラスにここまで力を入れるのはちょっとやり過ぎなんじゃないの? 大丈夫なの?」なんていらぬ心配までしてしまう。

でもね、ホンダさんみたいな世界に誇る大きな企業が、僕らが「えっ?」と驚く…、いや驚かされるような派手なことをやるときは、何らかの企業メッセージがそこに含まれていると考えてまず間違いない。もちろん今回の125クラス6台同時発表もご多分にもれず、強いメッセージが含まれている。今回の125㏄同時発表の場合、その内容はかなりストレートだ。125ccクラスの活性化? それはもちろんだけど、その先にあることだ。ホンダは現行の原付の免許制度を変えたいと思っているのだ。わかりやすく言えば「原付免許で乗ることができる排気量を125ccまでに引き上げたい!」と思っている。

50ccという排気量は、実は日本だけのガラパゴス排気量。オートバイがたくさん走る諸外国では、125㏄クラスが日本国内でいう50ccの原付クラスにあたり、オートバイへの入口はこの排気量からとなっている。つまり国内のバイクメーカーは、日本市場のためだけに50ccバイクを作らなければならず多大なコストがかかる。もちろんそれは50ccクラスの価格やラインナップの数にももちろん反映されている。そんな安く作れずラインナップも少ない“日本国内専用モデル”を作るためのムダをホンダはやめたがっているのだ。そのために「どうです? ユーザーのみなさん125㏄には魅力的なモデルがあるでしょう? こんなモデルに気軽に乗れるように、みんなで団結して免許制度の方を変えちゃいましょうよ!」と、こういうワケだ。

では、125ccを原付クラスのスタンダードにするといったいどんないいコトが起きるのか? ホンダのメリットはもちろんだけど、僕らユーザーにとってもその恩恵は大きい。まず海外モデルがそのまま輸入できるから当然、開発や製造のコストダウンがはかれるし、僕らは今よりさらに125ccを安く買えるようになる。そして需要が増えれば、国外の魅力的な125㏄モデルがそのまま日本に入ってくることになるから、当然ラインナップも豊富になるというわけだ。そして何より、クルマの免許を持つ人にとって、これらの魅力的なバイクが身近になることで、バイクの間口が広がり、大幅なバイク人口増が見込めて、さらに楽しいバイクが作られてバイク王国日本にふさわしい社会となる、…というすばらしい筋書き。

まぁ、クルマの免許を取った人がいきなり125ccのバイクに乗って危なくないのか? といわれれば、それは正直なところわからない。“クルマに付いてくる”のではなくて、“追加の講習を受ければ付帯できる”といったような何らかの策をこうじる必要もあるかもしれない。さんざん危ぶまれた高速道路の2人乗り解禁もフタを開けてみたらなんというコトはなかった…、という事例もあるしね。

タバコほどではないが、ただでさえ環境への配慮だ、危ないだなんだと肩身の狭い思いをさせられることが多いバイク乗り。日本にいつまでもバイクという文化を残し、楽しく乗り続けることができる社会を構築するために、僕らが行なわなければならないのはどんなことだろうか?

やたぐわぁ

written by

やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

このコラムにあなたのコメントをどうぞ

この記事が気に入ったら
いいね!とフォローしよう

タンデムスタイルの最新の情報をお届けします