割と、すぐ慣れます

突然ですが、みなさんは「混浴」の温泉を利用したことがあるでしょうか? いえね、実は次号のタンデムスタイルのツーリング企画にて、偶然そんな場面に出くわしまして(もちろん誌面に写真が出てきたりはしませんが)。開放感あふれる露天風呂に浸かっていると「すいませんね、ココいいですか?」と、前をタオルで押さえただけのおばちゃんの姿が。

 

やはりこれ、まずは「う…!」感はありますよね、当然ね。言葉で表現するのが何とも難しいのですが、ともかく「う…!」としか言いようがありません(笑)。お互い裸で、しかも同じ湯船に浸かるなんてどういうシチュエーションだこれ!?と、けっこうアセります。しかしもちろん、ここは混浴の温泉なのですし「だめです」なんて言うわけもなく「どうぞどうぞ~」となるわけです。そして、世間話などをすることになるのですね。すると、しだいにそんな「う…!」感がなくなっていくのですよ。

 

おばちゃんは観光で訪れたそうで、「私は若いときから物怖じしないところがあってねぇ」とのこと。「若いときから登山が好きで、男の人ばっかり何十人もいる山小屋に泊まったこともありますよ」といった昔話もしてくれました。「やっぱり世の中は、度胸のあるなしでずいぶんと見えるものが違ってきますね」と人生訓のようなことも聞かせてもらい、素直に「そうかもなぁ…」などと思えてきます。旦那さんはすでに亡くなっているそうで「もう少し元気だったら、こんな旅も楽しめたのにねぇ」なんてことも話してくれました。

 

気付けば、お互いに裸であることとか、同じ湯船に浸かっていることとか、そんなことはわりと「どーでもいい」要素に思えてきます。「いや~それにしても、この温泉は最高ですね」「本当ですねぇ」と、ホノボノとした時間が流れていくだけ。ツーリングの途中、道端でおばちゃんと出会ったときと何ら変わらない、心温まる思い出になりました。最初こそ「う…!」と思うのですが、日本の温泉文化というのは、そういう下品な領域を超越しているんだなぁ。そして、そういう文化が抵抗なくすんなり入ってくるあたり、ボクも日本人なのだなぁ。そんなことをしみじみ感じました。

 

混浴となっている温泉は日本でも数少ないと思いますが、もしもそんなスポットを発見したら、みなさんもぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。きっと、いい思い出になると思いますよ。

マンボサイトー

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マンボサイトー

「マンボ」というニックネームはマンボウ似であることから名付けられ、当初はかなり嫌がっていたものの、最近ではそれほど気にならなくなってきた。ビッグバイクよりも中小排気量 の方が好き、人気車種よりもマイナー車の方が好き、というあまのじゃくな性格の持ち主でもある。

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