駄菓子屋のおばちゃん

駄菓子屋のおばちゃん

学校が終わったら小銭をにぎりしめて一目散に向かっていた少年たちのオアシス・駄菓子屋。そこには必ず店番の“おばちゃん”がいた。おじちゃんやおねえちゃんではなく“おばちゃん”だ。おそらく全国ほとんどの駄菓子屋がそうなのだろう(と思う)。

 

高校生のころに読んだマンガに、主人公が少年時代に足を運んでいた駄菓子屋を数年ぶりに訪れるシーンがあった。当時と変わらない姿のおばちゃんに出くわし「なんでおばちゃんは何年たってもおばちゃんのままなんだ?」と不思議そうに言っていたのだが、それを読んだボクはイマイチ意味がわからなかった。自分も店に行き、数年ぶりにおばちゃんの顔を見れば理解できたのかもしれないが、うちの近所の駄菓子屋は「店に入れるのは小学6年生まで」というルールが存在していたのだ。

 

そんなことも忘れかけていた数年前、帰省した際に姪と甥と一緒にその駄菓子屋に行くことに。例のルールが気になったが、保護者としてなら堂々と行けるな、と考え、さっそく3人でお店に向かった。20年以上変わらないあぜ道や神社の境内を歩いていると少年時代のなつかしさがよみがえり、店に近付くにつれて記憶の端にあるおばちゃんの顔が少しずつ鮮明になっていく。ある程度思い出したあたり、ほどなくして店に到着。すると、いた。おばちゃんが。当時とまったく変わらない姿で。しかも「…裕介くんか?」とボクのことを覚えていた! 「おばちゃん、何年たっても全然変わらんなぁ」と言うと、うれしそうに笑っていたのがとても印象的だった。

帰って姉にそのことを話すと「そんなわけないだろ!」と言うので、今度は姉を含めた4人で再びその店へ。するとおばちゃんは何と姉のことも覚えており、姉も「おばちゃん全然変わらんなぁ」と姉弟そろって同じリアクションをとっていた。

 

その後、姉とこの謎についてディスカッションした結果、ひとつの説が生まれた。姉いわく「子どものころって25歳くらいの人がすごいオッサンに見えたりするだろ? だから当時のおばちゃんは実はおばちゃんって言うほどの歳じゃなかったんとちゃう?」と言うのだ。確かにこの“実はおばちゃんじゃなかった説”はなかなかの信ぴょう性がある。すると…僕はおばちゃんに「(おばちゃんの姿のまま)いつまでも変わらんなぁ」と言ったつもりだったのだが、おばちゃんからしてみると「(当時の若い姿のまま)いつまでも変わらんなぁ」と言われたことになるのだろうか。そう考えるとあのときのおばちゃんのうれしそうな笑顔も説明がつく。姉の唱えた説に、妙に納得してしまった。

 

だが当時、子どもだったとはいえ今の自分よりも若かったかもしれない女性に向かって「おばちゃん、ガチャガチャ詰まったから中開けて!」とか言いまくっていたわけだ。今になって振り返ってみると「ずいぶんと失礼なことをしたなぁ…」と反省するおっさんのボクであった。

駄菓子屋のおばちゃん

サブローのプロフィール

ほめられて伸びるタイプを主張するクセに、ほめられることをやらない36歳。出身地である徳島県の一級河川・吉野川の別名“四国三郎”から、このニックネームに命名された。映画やマンガにすぐ影響される悪癖があり『ベストキッド』を観て空手を始めたり、『バリバリ伝説』を読んでCB400SF(当時は大型二輪免許を持っておらずCB750Fに乗れなかった)を買うなどの単純明快な行動が目立つ。

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