上質なブラックジョーク

先日、とんでもないブラックジョークに出くわした。ネタ元は公開になったばかりの映画・『杉原千畝』。まだ観てない人もいると思うので、内容については書かないけど、いやはやそのブラック具合たるや近年まれにみる衝撃だった。もちろん、実在の人物をモデルにした“フィクション”であり、“お話”前提ではあるのだが、実在した日本人を題材に日本で製作したこの映画に、ここまでのブラックジョークを盛り込めたという事実にまずビックリだ。

それこそ「ええ、話やないかぁ〜!(なぜか関西弁)」と、全力でストーリーにのめり込んでいるときに、不意にこのブラックジョークがスパンっと一本背負いをかけてくるのだからもうたまらない。観ている者のココロは見事に宙を舞い、受け身を取る間もなく背中から叩きつけられる。もうあらすじとか内容の良し悪しは関係なく、「ウソやん!」と地面に大の字でノビるというワケだ。

僕は、この手のブラックジョークやカラクリをストーリーの本筋とは関係ないところに忍ばせるというやり口が個人的に大好きだ。気付く前と気付いた後ではもう、ストーリーそのものが180度違ってみえてしまったりするのが楽しくて仕方ない。そんなカラクリを自分の作っているページにも忍ばせられたら…、さぞ楽しいだろうなぁ。なんて思うのだが、なかなかどうしてそうはうまく行かないもんだけどね。そのうち大がかりな“引っかけ”を組み込んだページも作ってみたいもんだ。

しかし、今回の映画の“引っかけ”はちょっと度が過ぎているような気がするのも確か…。ここまでやってしまって大丈夫なんだろうか?と他人事ながらちょっと心配になってしまうぐらいだ。…ネタバレしないように、何かを書くのって難しいもんだなぁ(笑)。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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