食べ物の恨みは…

ボクは丼系ファストフードをよく食べる。よく食べると言っても特に好きなわけではなく、正しくは「嫌いではない」といったところである。この「嫌いではない」という表現には、ボクの微妙な男心(?)を当てはめているつもりなのだが、決して「大好き」というわけではないのである。そこには懐具合だったり、時間だったりといった理由があるわけだが、もちろん食べたら食べたでおいしいし、好きな部類である。しかしながら栄養に対するネガだったり、あの食材が流通している背景を考えてみると、声を大にして「大好き」と言えない、男心が見え隠れしてしまうのである。

 

先日、そのファストフード系の代表格、吉野家に行ったところ豚系のメニューが消え去り、新たに「牛鍋丼」なる新商品が出ていた。ボクはすっかり豚系メニューを食べるつもりで行ったので、メニューがなくなっていると分かると、かなり意気消沈したのだが、店を出るのもなんとなく大人げないような気もしたので、しぶしぶ別のメニューで食事を済ませ店を後にしたわけである。ただメニューが変わったことを知らないで来る客もけっこう多く、「豚丼ないの? 豚丼!ない? なんだよ、こんちくしょう!!」と怒って帰ってしまったおじさんもいたぐらいだった。それだけ愛されてるメニューなら、継続したらいいのに、と思う反面、「食べ物の恨みは怖いなぁ…」といささか恐怖を感じたわけである。

 

食べ物の恨みといえば、ボクは昔、姉が大事にとっておいた、ミカンの缶詰の汁を一気飲みして、ものすごいケンカをした記憶がある。(育ちがバレますね…)子供時代の食べ物の恨み、特に兄弟間の争いはかなり激しく、今思うと「そんなんで怒るなよ」と思うことでも、当時はかなり激しく争った。もちろんミカンの話もその子供のころの話だが(笑)、大事にとっておいたモノや、特別好きなモノを取り上げられると、大人になっても理性を失いがちなので気をつけたいところである。

 

前述の豚丼おじさん(勝手に命名)は、その後どこかで豚への欲求を満たせたのかどうかは定かではないが、一瞬店内が殺気だったのには少々笑ってしまった。店員にとってはメニューの変更なんて知ったこっちゃないのにいい迷惑だよなぁ、と考えたら可笑しくなって、一瞬にやついてしまったわけだが、今思うと、豚丼の恨みが自分に飛び火せずによかったとほっと胸をなで下ろしているしだいである。もしかしたらおじさんの恨みを買ってしまい、翌日の新聞で「『豚丼ない』で店員と客が大ゲンカ。居合わせた客刺される」なんて記事になったらシャレにならない。食べ物の恨みはホントーに怖いのだ。皆さんもどうかお気をつけて(笑)。

C.ARAi

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C.ARAi

Web制作班所属。何事にもしっかりしていたい気持ちはあるものの、やってることはかなり中途半端。基本的に運命にはあまり逆らわず生きていくタイプで、いきあたりばったりが自分にはよく合っていると思っている。悪く言えば計画能力ゼロ。モットーは「来るもの拒まず、去るもの追わず」。

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