道路の穴って昔はわりとあったよね

福岡駅前で起きた大規模な道路陥没が大変なことになってますが、まぁ、どうやら、ケガ人がいなかったようで何より、なにより。

ただ、この手の道路陥没って大小の差はあれどわりと見かけるんだよね…。いや、最近はめっきり見かけなくなったから、正確には昔、見かけたことがあると言うべきだろうか。今回のような大規模陥没はないけど、50㎝とか1mぐらいの陥没は何度か見かけたことがある。20年近く前、沖縄で道路工事の仕事をしていたときに聞いた話では、道路の陥没はたいていは道路の下に埋められたダクタイル管という鉄鋳物の水道管が老朽化して破裂することが原因ということだった。水道管から吹き出た水が道路の下の基礎であるジャリを洗い流してしまうことで道路の下が空洞化。重力に逆らい切れなくなったところでアスファルトがごそっと崩落するというものだ。このダクタイル管、高度成長期に上水道整備のために敷設されたが、それが40年ぐらい経ったことで老朽化してモロくなったり、継ぎ目がズレて水漏れを起こしたりする。もちろん、公共工事で順次新しいダクタイル管に交換していく作業を行なっており、僕が仕事した工事現場もそんな内容だったが、交換のために取り出した水道管の劣化具合に驚いたものだ。同時に大きな地震の直後は、水道管などが地中でズレて外れたリ、割れたりするので、しばらくは注意が必要とも教わった。

たしかに、僕が以前見かけた陥没もそんな状況だった。なんだかこの場所、いつも舗装路面のヒビから水がしみ出てるんだよな…と思っていたら、たまたま通りがかったときに穴があいていた。しみ出した泥水がはねるのがイヤで、このヒビを避けて走るのがクセになってたから助かったけど、水はねを気にしない人間だったら多分、ドリフのコントバリの前転宙返りをキメて、バイクも体も大変なダメージを受けたことだろう。

もう一つは、どう考えても水道管が通ってないような山奥で見かけた。大雨で増えた地下水で基礎材が流されたようなくずれ方で、道路の路肩側半分がなくなっていた。このときもバイクに乗っていたが、地下水も谷筋にそって流れるのだろう、崩落の度合いも大きく、地形的にすぐ目につく場所がくずれていたのでことなきを得た。

今回のニュースを見ながら、そんな道路の穴を思い出してみたけど、残念ながらこの道路陥没に対してライダーがとれる防衛策はとても少ない。前者の道路陥没は通勤路でほぼ毎日通っていたから運よく気付けたものの、ツーリング先の初見の道だったらおそらくアウトだったろう。残念ながら僕には、穴の前でアニメのアキラばりのスライドをキメたり、バニーホップで乗り越えるだけのウデがない(笑)。

僕らができる防衛手段としては、高速道路などでの落下物への対応策同様、“よく見て道路の安全を確認して走る”ことだけなのだ。マンホールが周囲の路面より異様に盛り上がっていたり、窪みを見つけて、それがもし真新しいものだと思ったら“要注意”としか言えないのである。ただ、昔と違って水道管の交換工事も進んでいるだろうし、現代において道路陥没はそうそう起きないことなのだろうけど、最近いろんなところで地震も起きてるしね。クルマと違って「うわっ、片輪落ちちゃったよ!」では済まない僕らライダーは、ちょっとナーバスになりたいところだ。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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