雪が降る町をTRICITYで走る

まだ11月だというのに、昨日は関東地区で雪が降った。都心部で11月に雪が降るのは1875年に東京気象台が観測を初めてのこと。真冬並みの寒気が流れ込んだことが原因のようだけど、僕が住んでいる千葉県でも夜明け前に雨が雪に変わったらしく、湿ったぼた雪が植え込みや公園の芝生を白く染め上げている。…が路面の雪はほぼ溶けており、凍るようすもなさそうだ。

 

ならばっ! 雨具にレイングローブと、いそいそとバイク通勤の準備をしはじめる僕。相棒はヤマハのトリシティ125。しかも、あつらえたような帝都製のルーフキット付きである。スクリーンやバイザーにベタ付いて視界不良を引き起こすぼた雪でも、電動ワイパーのおかげで視界はつねにクリアというわけ。そんなルーフキットの紹介は、次号12月24日発売のタンスタにゆずるとして、雪道である。さすがにトリシティの雪道試乗記を載せることはないと思うので、ここで書いてしまおう。

ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2016年11月20日日曜日

 

状況は、みぞれまじりの湿ったボタ雪。路面温度はだいぶ低そうだが、路面に落ちた雪がシャーベット状になって残りはするものの、溶けないこともない感じ。まぁ、雪が降った次の日の朝みたいなツルツル路面ではないが、普通のウエット路面よりはだいぶ滑りやすくはなっていることだろう。

 

さて対するトリシティはというと、さすがリーニング・マルチ・ホイールというか、14インチの大きめフロントタイヤというか、これがいやはや安定している。フロント10インチの原付スクーター、…つまり小さなタイヤ径で接地面が少ない原付スクーターではビクついてしまいそうなシャーベット雪の路面でも安定感バッチリ。「雪だからいつも以上に用心しないとね…」とは思いつつも、いつもどおりマンホールを踏もうが、U字溝のグレーチングに乗り上げようが、問題のない走りにホレボレである。いやぁ、3輪としてはライバルとなる、ジャイロ安定感もなかなかだけど、トリシティもどうして負けていない印象。まぁ、スポーツ性がトリシティの方が高いぶん、どっしりと重心の低い安定感はジャイロに譲るけど、まぁ、これだけヒラヒラとスポーティに曲がるマシンが、この路面状況でこれだけ安心して走れるのだから御の字ではなかろうか。実際、いちばん雪が積もっている場面では、原付スクーター軍団がスタビライザー代わりに両足を地面に伸ばして走っていたけど、トリシティはなんなくクリアできたしね。

 

え? そもそも雪の中を走る意味があるのかって? …ないよ(笑)。雪道って危なくないの? …うん危ないよ(笑)。そう思うなら走らない方がいい。でもね、スクリーンの向こうから無数の雪が吸い込まれてくる景色は年に何度もお目にかかれないからね。ならばユニコーンの歌を口ずさみながら走らにゃ損でしょっ! 

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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