DUCATI スクランブラー・デザート・スレッド試乗会、恐るべし!

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DUCATI スクランブラー・デザート・スレッド試乗会、恐るべし!

オートバイ雑誌編集者の仕事をしていると、さまざまなメーカーの新車発表試乗会に呼ばれるのだが、メーカーさんによってその新車発表会への意気込みというか、取り組み方のスタンスが違ってなかなか面白いものだ。もちろん僕らプレス関係者に対する新車のPRイベントだから、ニューモデルの製品コンセプトや革新的技術、販売戦略などを説明が行なわれる技説…つまり技術説明会と、その後の試乗時間があり、また場合によっては開発者やメーカー関係者を含めた懇親会も催されたりする。そんなおおまかな流れは違わないのだけど、その演出の仕方にやはりメーカーならではの個性が出る。講義みたいな技説を行なうまじめなメーカーもあれば、社長がハッピを着て踊り出てきたり、事前の資料配布だけで技説をしないメーカーだってある。そんな数あるメーカーによる新車発表会のなかでも個性的なのがドゥカティの新車発表会だ。

オフロードだけでなく、ロードセクションもワインディングもキッチリ走るドゥカティ デザートスレッド。オンからオフまでオールマイティにこなす相棒になってくれることだろう

なにがすごいって、その新車発表会…、外車系のメーカーはプレスローンチなんて横文字を使ったりするけど演出具合が半端じゃない。これは一生に一度の結婚式に呼ばれたのか?と思うくらいに毎回すごい。ただねぇ、僕らとしても知りたいのは発表されるニューモデルのことだし、誌面にする際もバイクがどうだったか?ということは熱心に取り上げても、試乗会自体のことはあまり取り上げることはない。だからこの場で紹介することにしたのだが「どうしてそこまで労力をかけるの?」って聞きたくなるくらい気合いが入っている。

DUCATI SCRAMBLER DESERT SLED。このスクランブラーシリーズに加わるニューモデルのプレス向け発表会が、スペインのアルメリアでこの1月に行なわれた

先日、スペインの南部にあるアルメリアで行なわれたスクランブラー・デザート・スレッドの試乗会もそうだった。スクランブラーシリーズは、アメリカで1960年代から70年代にかけて築き上げられたバイクカルチャーをオマージュしたモデル。ただみなさんご存知のとおり、ドゥカティは“イタリア”のメーカーである。通常ラインナップのドゥカティ試乗会では、会場はイメージカラーのイタリアンレッドに彩られ、食事会場の円卓に置かれる小物もこの発表試乗会のためのドゥカティのロゴが入った専用のものが用意される。…のだが、今回のスクランブラーシリーズは、それらとは一線をかくす古き良き“アメリカ”をイメージしたスクランブラーシリーズである。これをドゥカティの遊び心でプロデュースするとどうなるか?

 

↓こうである!

カウボーイが闊歩する西部劇に紛れ込んでしまったような世界。ここが試乗会場なのだ。もう一度言おう、ここはアメリカではなくスペインだ!

ええ。どう考えてみてもイタリアを感じません(笑)。それどころか会場であるスペインの香りすらまったく感じない! それもそのハズ。会場は、西部劇のロケ地にも使われるテーマパーク。技術説明会もウエスタン映画に出てくるような酒場で行なうという気合いの入れようなのだ。そう、あのホコリまみれのカウボーイが、スプリングで戻る木戸から拍車を鳴らしてガツンガツンと入ってくる酒場だ。

 

いやぁ、あこれだったんだよね。ウエスタンな酒場にギイッとやって入ってくるヤツ。カウボーイハット持ってくるんだった!

会場に凝っているなら、肝心の技術説明会も遊び心にあふれている。いわゆる普通の「え〜、新型のスクランブラーはオフロード性能を高めるために…」なんて、型どおりの説明会はやらない。開発メンバーは壇上にあがったと思ったら、おもむろに円卓に着席。なんとそのままポーカーを始め、
「次のスクランブラーはどうする?」
「ロードセクションはもちろん、オフもきちっと走れるヤツがいい」
「それならサスペンションストロークは200㎜は必要だな?」
「キチッとジャンプしたりするオフロードモデルにするならフレームも強化する必要があるし、ホイールベースも長くしたいところだな…」

なんて、寸劇が始まる。

おもむろにポーカー…じゃなかった技説説明を始める、SCRAMBLER DESERT SLEDの開発メンバー。この後本当にカードを配って手札を見ながらの技説がスタート!

 

飲み屋で賭け事しながらバイク談義しているようにしか見えないのだが、その会話に合せて、スクリーンに資料が映し出されてながら進行する。正直、僕の英語聞取り能力では、そのすべての内容を聞き取るには限界があったし、前述した会話も資料と現場の雰囲気からニュアンスを再現しただけだが、まぁ、それほど間違ったことは言ってないハズだ(笑)。

 

お尋ね者の掲示板には、さりげなくさきほどの開発メンバーの姿が…。こんなだれも気付かないような凝った演出がそこここにあるのだ

そんな技術説明会が終わると、参加者たちはウエスタン村から、スクランブラー・デザート・スレッドに乗って走り出すわけだが、もうね西部劇のワンシーンにしか見えない。おかげでアメリカから来たジャーナリストは、「楽しいかい? 僕らはまったく楽しくないよ。だってオレらがいつも見ている風景だもん…」と漏らしていたらしい(笑)。まぁ、確かに僕らもスペインまできて日◯江戸村を見せられても、ねぇ。

 

ちなみに、欧州製作の西部劇を日本ではマカロニウエスタンというけど、現地ではスパゲッティウエスタンと呼ぶらしい。実際、3つあるセットのうち、ひとつでは撮影が行なわれているということだった。

いやぁ、そんな凝りに凝った演出をしてくれるものだから、試乗会も楽しくないワケはない。もちろん走るシチュエーションも西部劇で見たような砂漠地帯で砂ぼこりを巻き上げ、幌馬車を襲う強盗がいそうな谷間を駆け抜ける。そして帰ってくれば、「お前、ちょっと走り足りなそうだな? 時間が余ってるけどもう一本行こうぜ?」と、先導役がお忍びで走りに行こうと誘ってくるのだ。…もちろん二つ返事で誘いに乗ったけどさ(笑)。

「シェーン! カムバーック!」と叫びたくなったのは僕だけだろうか?
絶対、崖の上にライフルを持った強盗か、弓を引いたインディアンがいるパターンだ
デーザートスレッドは約200kgの車体なのだが、意外とスライドなどもコントローラブル。トレール車よりもアドベンチャーツアラーに近い挙動だ。かなりコイツの方が軽く扱いやすいけどね

でもって、試乗から帰ってくれば帰ってきたで、技説が行なわれたサロンが懇親会場になっており、腹が膨れればダーツにロデオマシン、サッカーゲームといった遊び道具が用意された別室で遊びまくる。そこでハタと気付くのだ、これはドゥカティ・スクランブラー・デザート・スレッドのプロモーションビデオにあった世界の再現なんだと…。うーん、たった1台のマシンの新車試乗会にここまで演出するドゥカティ恐るべしである!

 

SCRAMBLER DESERT SLEDのプロモーションビデオはこちら!

 

 

 

さて、気になるドゥカティ・スクランブラー・デザート・スレッドの試乗インプレッションの詳細は、2月24日発売のタンデムスタイルNo.179号をチェック! 日本導入時期は6月予定らしいぞ!

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やたぐわぁのプロフィール

「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える42歳。

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