気分は大脱走!?

昨年末に引っ越したばかりなのだが、困ったことに新しい我が家は収納スペースが非常に少ない。コンクリートの家というのはこんなものなのかもしれないが、木造家屋に比べると本当に物が入らないのである。バイク乗りだから、ただでさえライディングジャケットにヘルメット、工具と一般家庭より荷物が多いハズなのだが、職業柄その数も尋常ではない(たぶんヘルメットだけで10個くらい転がっていたハズである)。加えてカヌーや登山道具、自転車とアウトドア遊びが好きな僕は、普段は使わないけど捨てられないなんていう荷物がやたらと多い。どう考えても収まりきらないワケで、部屋には荷物があふれ、布団を収納するための場所もこれらの荷物が占領している。庭に物置きでも置こうかと考えたのだが、調べてみると収納問題が解決するような大きな物置きはかなり高いし、そもそも庭も狭いしねぇ。

そこで、考えたのが地下室。まぁ、“室”なんて言えば聞こえはいいが、もともと60センチくらいある軒下をちょっと掘り下げて、人が出入りできるぐらいの物置きスペースを作ろうと考えたのである。置きたい荷物は、バイクのスペアパーツやスキー板なんていう、荒物ばかりだからね。雨にぬれたり、異常に湿気がある場所でなければいいのだ。で、施工の段取りを計画するために先日軒下へと潜ってみたのだが、これがなかなか楽しい。まさか、我が家でヘッドライトやケイビング(洞窟探検)道具を使うことになるとは思わなかったが、ほふく前進で軒下をはい回る気分はまるで映画『大脱走』。物語では、ドイツ軍の捕虜収容所から脱出するためにトムとディックとハリーと名付けられた3本のトンネルが掘られたことになっているが、それにあやかってこの地下室は映画では出番のなかったディックと命名。ひとまず三畳ほどのスペースを地下室にすると決め、現在の地面から40cmほど掘り下げることにした。

 

いやぁ、なんだか楽しいねぇ。物置きスペースが増えるのもそうだけど、この穴掘りは子とものころにやった秘密基地作りみたいで、妙にワクワクしてしまうのである。先日も、家人と猫の冷ややかな目線をかわしながら、電源と光源の確保が完了。残土を運び出したり積み上げるための土のう袋、シャベルとクワも用意した。さぁ、映画のメインテーマソング“大脱走マーチ”を口笛で吹きながら掘削開始といこうじゃないか!

 

ただ、問題はいつ掘るか。まとまって作業すれば数日で終わるとは思うのだが、その時間がない。それこそ、帰宅後「今日は土のう袋3袋!」などと、夜な夜なご近所に悟られないよう、こそこそと軒下に潜り込むことになりそうだ。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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