ハイサイっ! ハイサイドっ!

どうもね、昔っからスライドコントロールというのが苦手だ。高校生のときにチャリンコ旅行。無謀にも栃木県の霧降高原の下りでノーブレーキダウンヒルに挑戦し、フロントタイヤが砂を踏んでスリップダウン。そのときは運よくガードレールに挟まって崖下には飛び出さなかったが、フロントホイールが歪んで、ホントにノーブレーキ(フロントだけだけど…)になった。チャリンコの後付けスピードメーターだからあてにはならないだろうけど、最後に45とかいう数字をみた記憶がある。

 

この体験がチャリンコで、はるかにスピードの出るバイクじゃなかったからよかったものの、以来、タイヤが横滑りすことにものすごく恐怖を感じる。これはオンロードでもオフロードでも同じで、根本的にスライド系がいまだもって苦手なのである。でもねぇ、オフロードのコーナリング撮影でどうしても避けて通れないのが、スライドコントロールなんだよねぇ…。

 

…と、ここでまずはこちらのGIFアニメを見ていただきましょう。

GASGASのEC300でハイサイド!

 

え〜。このGIFアニメは、先日行なわれたガスガスのEC300というエンデューロモデルの試乗会のワンシーン。撮ってくれたのは試乗会のオフィシャルカメラマンの楠堂亜希さんだけど、なぜか転倒までの写真が起承転結、まるっと送られてきたので、つなげてみたらオモシロイものができたってワケ(笑)。

 

しかし、見事なハイサイド。お手本といっていいくらいのハイサイド転倒である。せっかくなのでこの写真を使って“ハイサイド”ってやつをこのコーナーで解説してしまおうというのが今回の主旨だ。ハイッ、そこで読者のみなさんに取り出してほしいのは先日、7月24日に発売になったばかりのタンデムスタイル184号。この号には、派手にコカしたEC300の試乗記事(P129)はもちろんだけど、便利なバイク用語辞典というのがついております。まずはそこで“ハイサイド”という言葉を調べてみましょう。ページで言えばP63の左上ですね。
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【ハイサイド】コーナリングで後輪がスリップした際にアクセルを戻すなど、何らかの要因でタイヤのグリップ力が急激に回復し、突然バイクが激しい挙動を起す現象。転倒につながる危険な状態。
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とある。用語辞典ということもあり、要点を短く端的に書いてありますが、文字だけだとなんだか分かりにくい。それでは写真を交えながら分解&解説していきましょう!

 

まず「コーナリングで後輪がスリップした際にアクセルを戻すなど、」の部分がこの写真。

GASGASのEC300でハイサイド!①侵入
オフロード走行なので、ワザと後輪を空転させてスリップ&スライドさせたいワケですが、このときは途中でフロントタイヤが滑り始め、恐くなってアクセルを戻しているんですねぇ。フロントタイヤからも砂煙があがっているのが確認できます。…あぁ、恐ろしい!

 

そして「何らかの要因でタイヤのグリップ力が急激に回復し、」の部分が次の写真。

GASGASのEC300でハイサイド!②アクセル戻し
アクセルを戻したことで後輪の空転がおさまり、タイヤが路面をつかんだことでグリップが回復! スキー・スノーボードで言えば、ターンのときに「ザッ!」と踏ん張って雪煙を上げながら向きを変えるようなイメージかな。すでに車体が起き上がりだしていますねぇ

 

次が「突然バイクが激しい挙動を起す現象。」の部分ですが…

GASGASのEC300でハイサイド!③跳ね上がり
急にグリップが回復し、リヤタイヤが地面をつかんだことで、マシンがアウト側につんのめる、横転方向のモーメントが発生しています。ここで思い切りイン側に荷重をかけてマシンを抑え込めばなんとか堪えられることもありますが…。ハイ、見事に抑えられず体がはね上げられてしまっていますねぇ。…あぁ、恐ろしい!

 

そして最後が「転倒につながる危険な状態。」ですが、ご覧のとおり(笑)。

GASGASのEC300でハイサイド!④落馬
なす術もなくアウト側へとバイクから投げ出され、体がマシンから離れてしまっています。速度域の低いオフロード走行でのことなので、今も笑ってキーボードを打っていられますが、これがロード走行で、60〜70kmで起こったとしたら…、地面に着いた腕が骨折し、鎖骨もベッキリ…、なんてことも十分考えられます。さらに速度域が高まれば、転がったマシンがもんどりうってライダーの上に落ちてくるなんてことも…

 

ということで、写真でハイサイドからの転倒までのプロセスを解説してみましたが、おわかりいただけましたでしょうか?

 

なーんて、ハイサイド転倒のことをばかり書いていると、試乗したガスガスのEC300のマイナスイメージにつながりかねないので、ここでちょっとマシンのご紹介。18モデルのEC300は久々にフルモデルチェンジしたガスガスのエンデューロモデルで、車体からエンジンまでがオールニュー。2ストロークエンジンもかなり扱いやすくなっており、エンデューロ系のオフロードデビューにも対応するようなキャラクターに生まれ変わった。

GASGASのEC300をダートコースでインプレッション

ガスガスのEC300をダートコースでインプレッション
SPEC.●全長×全幅×全高:2,145×810×1,235(mm)●軸間距離:1,480mm●シート高:960mm●乾燥重量 :105kg●エンジン型式・排気量:水冷2ストローク単気筒・299.3cm3●最高出力:-●最大トルク:-●燃料タンク容量:10L(混合給油)●タイヤサイズ:F90/90-21:R140/80-18●価格:112万1,040円(税8%込)

 

車体は最近流行の超難所セクションで有利なやっこいフレーム&サスペンションとはちょっと違い、モトクロッサーよりのカッチリした剛性感のある車体が与えられている。なのでジャンプも飛べるし、コーナリングもスタンディングで踏ん張りの利く車体に仕上がっている。

GASGASのEC300のダート試乗インプレッション

 

エンジンは299.3cc2ストロークながら、扱いやすい特性に仕上げられている。写真のような岩だらけの沢セクションや急登、深いワダチなどで発進停止、バタ足走行などをして負担をかけてみたが、極低速でもエンストしにくい粘り強い出力特性を見せてくれた。

GASGASのEC300で沢をインプレッション

 

ちなみに、姉妹誌のUnder400(8月6日発売号)ではタンデムスタイルよりも詳しく、3ページに渡ってこのEC300を取り上げています。機会があればこちらの記事も是非ご覧になって下さ〜い!

 

取り扱い:マーチ
電話:075-622-5115
ホームページ:http://www.gasgastrial-japan.com

 

ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2017年8月19日土曜日

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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