花見してやるのだ

四月。気が付けば桜が満開である。本当に気が付けば…という印象だ。

今年の春は、なんだかそれどころじゃないことがあまりにも多く(もちろん現在もだけど…)、桜、花見のシーズンだったってことをすっかり忘れていた。満開になった桜が並ぶ街を見てみても、いつもならにぎやかなお花見ムードに包まれる場所もなんだかひっそり。露店も多少は出ているようだけど、なんだか活気がないのだ。
震災だ、余震だ、節電だ、と世の中が自粛ムードになっているから、お気楽なお花見ムード全開でどんちゃん騒ぎするのはマズイ気はする…。

ただ、それにしてもなんだかさみしい。誤解を恐れずに言えば、なんでもかんでも自粛ってのもちょっと違うと思う。もちろん、東北をはじめとした被災地にのことは忘れちゃならないのは確かだ。

ただ今現在、幸いにして、まだ普通の生活をおくれているからこそ、東北の分までより元気にガンバルってのが、僕らに課せられた当面の“仕事”。そう思いながらも、続く余震に、水だ、食べ物が危険だと、連日連夜、テレビやラジオから流れる情報を聞き続けていると、なんだか次第に気が滅入ってきてしまうのも確かなんだよねぇ。むしろ僕らは、いつもより元気にがんばらないといけないってときなのにさ…。

桜は満開だけど、自粛ムードで意気消沈した街を見ていたら、ちょっとふさぎ込み気味の自分に気付いてしまった。まずいなぁ、こりゃ。
ということで、僕はこんなときだからこそキチンと花見をしようと決めた。しかも、やるなら真剣にやってちゃんと楽しむ。まぁ「キチンと」とはいっても、乾きモノと1本の缶ビールで一刻ばかりのちょっとした気分転換。それくらいだろうけど、それでもきっと世の中の見え方が変わってくると思うのだ。

やたぐわぁ

written by

やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

このコラムにあなたのコメントをどうぞ

この記事が気に入ったら
いいね!とフォローしよう

タンデムスタイルの最新の情報をお届けします