Triumph STREET TRIPLE R

カラー:マットブレイジングオレンジ

扱いやすいストリートファイター

スーパースポーツなどのハイスペックなマシンのカウルを取り払い、アップハンドル化したようなモデルは“ストリートファイター”などと呼ばれている。ここで紹介するストリートトリプルも、言ってみればメーカー主導で製作されたストリートファイターと言えるだろう。
見た目や名前から、同社のスピードトリプルの系列と思われがちだが、実際はスポーツモデルのデイトナ675がベースとなっている。エンジンはデイトナ675と同じ675cc水冷3気筒を搭載。この並列3気筒というエンジン型式は現行の国産車にはないものであり、これが一つのトライアンフの個性ともいえる。
丸目2灯式のヘッドライトからはコミカルな印象を感じる人がいるかもしれないが、ぜい肉を削ぎ落としたような車体構成は十分に攻撃的だ。ヘッドライトバイザーやラジエターカバー、アップマフラーなど、個性を主張する装備も印象的。
ただしスポーツモデルがベースとはいえ中低速域から扱いやすく、ビッグバイクビギナーにも扱いやすい。見た目とは裏腹の取っつきやすさを併せ持つ1台といえるだろう。

DETAIL

ストリートトリプルのトレードマークである、ギョロリとした目玉のようなツインヘッドライト。スポーティな車体にどこかユーモラスな雰囲気を与えている。“おでこ”の部分には、ストリートトリプル“R”の特徴であるショートスクリーンが装備されている

バイザーに覆われたメーターパネル。右側はデジタル式タコメーター。燃料警告灯やオイルランプなどのインジケーターランプ類も収まっている。左側の液晶パネルにはスピード計、時計、切り替え式のオド/トリップメーター、ギヤポジションなどが表示される

左右のレバーの根元部分には、グリップからの距離をワンタッチで調節できる4段階のツマミが装備。グリップ寄りに引くほどレバ-とグリップの間隔を狭められる(写真はもっとも近い状態)。メタリックの赤紫色がデザイン上のアクセントにもなっている
リヤサスペンションのスプリング調節と連動し、全体のバランスを取るために、フロントフォークの突き出し量を調節する機能が付いている。青いダイヤル部分を回すことで、ハンドルの土台であるトップブリッジの高さを細やかにセッティングできるのだ

スポーツ性の高いモデルに多く使われるモノショックは、ライダーが座るシートの真下に収まっている。レンチで歯車の部分を締め込んだり緩めたりすることで、スプリングの硬さや縮み具合(プリロード)を調節し、シート高やセッティングを調節できる

スーパースポーツモデル・デイトナ675の機動性を兼ね備えたスピードトリプルR。トライアンフのお家芸、“3気筒”の675ccエンジンを搭載したこのモデルには、左右2本出しのショートサイレンサーが装着される。最新の騒音・排ガス規制にも対応

RIDING POSITION & FOOT HOLD

●ライダー:身長178cm/体重78kg
国内ネイキッドモデルのようなスタンダードなポジションで、ハンドルステップの位置はちょうどよくゆったり構えられる。タンクの側面はエッジが利いているもののニーグリップしやすい形状となっている


●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートの後部が高くなっているためタンデマーが乗り込むときに少し車体がフラついた。前後でシートの高さに差をつけているので乗車中にきゅう屈に感じることはなかった
●タンデマー:身長161cm/体重45kg
タンデム側はライダー側よりシート位置が高くなっていて、ライダーとの密着感は薄い。ライダーの腰部に二ーグリップできるポジションではあるものの、グラブバーがなく走行時はやや心もとない


SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高
2,030×755×1,110mm
軸間距離
1,385mm
シート高
805mm
車両重量
189kg
エンジン型式・排気量
水冷4ストロークDOHC 並列3気筒・675cm3
最高出力
77.9kW(106ps)/11,700rpm
最大トルク
68N・m(6.9kgf・m)/9,200rpm
タンク容量
17.4L
価格
114万円4,500円
カラーバリエーション
マットブレイジングオレンジ
マットグラファイト
ファントムブラック

STAFF’S IMPRESSION

やたぐわぁ

やたぐわぁのインプレッション

3気筒という特別感を味わう

エンジンをかけた瞬間。「ビュォォオオ」という独特のサウンドがスタート。このサウンドは並列3気筒という、トライアンフのお家芸的なエンジンレイアウトによるもので、パラレルツインとも直4とも違う味わい深いサウンドになっている。その675ccエンジンのパワーフィーリングは、スポーティな90°Vツインの“軽やかなフケ上がり”に、直列4気筒の力強い“重厚感”をプラスしたようなイメージ。全域でしっかりとしたトルクがあるから低速時から力不足感がなく、それでいて高速の延びもいいという“オールマイティ”なキャラクターがその持ち味と言えるだろう。一方、車体はというとサスは固めでブレーキもタッチ重視。重量も167kgとかなり軽く、セパハンではなく、バーハンドルだけどネイキッドというよりは、スーパースポーツに近いキャラクターになっている。だからこそ、ガンガンアクセルを開けられるし、少々速度域を高めてコーナリングしても不安感がない。積極的にアクセルを開けて走るスポーツライディングの楽しさを存分に味わいたい。


KJのインプレッション

高回転では元気なサウンドに

試乗は編集部の周辺で行なった。渋滞はしておらず適度に流れているような状況だったのだけれど、そんな速度域でも非常にマイルドで扱いやすいことに感動してしまった。まるで国産車のように、「普通に走りやすい」と思った。ニーグリップもしやすいし、足つきもよく、取りまわしやUターンもまったく怖くない。これならビッグバイクビギナーにも気負わず乗れるんじゃないかな。せっかくだからこのバイクのいろんな表情も見てみようといろいろ走ってみたり試してみた。アクセルを軽くあおってみたら、かなり元気なサウンドをかなでてくれ、きっと高回転域ではもっと違う表情を見せてくれるんだろうなぁ~と、かなり走りへの気持ちがかきたてられてしまった。次に試乗するときは、ぜひ時間を作って、都内じゃないところへ行ってみたい。かなり個性的なルックスだけど、丸目2灯のヘッドライトが個性とカワイさを感じで好み。こういうかわいらしさと、走りへの気持ちがかきたてられる部分が同居しているのが印象的だった。

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