YAMAHA SR400

カラー:ヤマハブラック

長年の歴史がその魅力を物語る

もはや解説する必要のないほど、世代を越えて愛され続けている名車・SR。1978年に初代が登場して以来、何度も小変更は加えられているものの、基本的な車体構成を変えることなく30年以上という長きに渡ってラインナップし続けているというのはご周知の通り。

SRのアイデンティティの一つといえば、キックのみというエンジン始動方式だ。現行車のほぼすべては、セルボタン一発でエンジンがかかる。しかしSRは、キックペダルを蹴り込むことでエンジンを作動する必要があるのだ。それは燃料供給方式がFIになっても変わることなく、SRのアイデンティティとして受け継がれている。

変える部分と変えない部分。そんな絶妙なバランス感覚を大切にして、ヤマハは現代もSR400をリリースし続けている。そしてこれからもその名は、バイク史に刻み込まれていくのだ。

DETAIL

モデルチェンジしてメーターにはインジェクションのインジケーターランプと、燃料残量警告灯が新たに装備されたが、基本的な仕様は前モデルと同じ。左はスピードメーター内にオド(上)とトリップ(下)がダイヤル式にレイアウト。右にはタコメーターが配されている。かなりスッキリとしたデザインだ
クラシカルな雰囲気を演出する丸目一眼のヘッドライト。多くのモデルがマルチリフレクターを採用するなかで、このカッティング加工は現行モデルではあまり見られなくなってしまったパーツといえる。また、ウインカーレンズのサイズもあえて大きいものを使っているのも同様の理由だ

これぞSRのアイデンティティといえるキックペダル。誕生してからずっと守り続けていて、インジェクション化されてもなおキック始動にこだわっている。エンジンをかけるための“目覚めの儀式”はまさにSRとの対話といえる。さらにモデルチェンジを行ない、始動性の向上が図られた

クラシカルな雰囲気を演出するため、メッキ加工されたパーツがふんだんに使われている。エンジンから1本すらりと延びるマフラーはクロームメッキ仕上げ。また、エキゾーストパイプにはナノ膜コーティングがほどこされていて、変色やサビなどによる劣化を防ぐ効果がある


外観の形状が美しい空冷エンジンを搭載。国内最大の排気量である400cc単気筒は“ビッグシングル”とも呼ばれ、他のモデルにはない冷却フィンなど外観の形状が美しい空冷を採用しているのもSRの特徴。モデルチェンジをしてインジェクションが搭載されるも、ドコドコした鼓動感などSRらしい味わいは健在である
性能だけでいえばディスクブレーキの方が高い制動力を発揮するが、レトロな雰囲気を重視するため、あえてドラムブレーキを採用するケースもある。現在はフロント・ディスク、リヤ・ドラムになっているが、SRのこれまでの少ないモデルチェンジのなかで、85~00年モデルはフロントにもドラムを履いていた

RIDING POSITION & FOOT HOLD

●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートがフラットなので、前方に座りポジションがきゅう屈に感じても座る位置を後ろへスライドするだけで解決できる。ハンドルまでの距離は、スタンダードに腰を下ろすと近からず遠からず。しかし、実際にライディングポジションを取ってみると少し低い印象だ


車体もシートもスリムで足つきはまったく不安に感じることはなかった。車体の重心が低くなっているからか、ハンドルから手を離してもフラつくようなことはなかった。もちろんまたがったままステップの足を乗せ替えたり、サイドスタンドを出すのも問題ない


●ライダー:身長178cm/体重78kg
シートの前方に詰めないでソロと同じ位置に座っても、タンデマーと干渉することはほとんどなかった。両足でしっかり支えられるので、タンデマーが乗り込むのときにも車体がフラつくことなく、不安に感じることはなかった
●タンデマー:身長151cm/体重43kg
シートは、奥行きはさほどないもののきゅう屈というほどではない。厚みがありすっぽりお尻がおさまるので安定感があり、座り心地は良好。細い棒状のグラブバーはしっかりにぎり込むことができるので、かなり安心感は高い


COLOR VARIATION

カラー:ディープレッドメタリックK

SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高
2,085×750×1,110mm
軸間距離
1,410mm
シート高
790mm
車両重量
174kg
エンジン型式・排気量
空冷4ストロークOHC 2バルブ 単気筒・399cm3
最高出力
19kW(26ps)/6,500rpm
最大トルク
29N・m(2.9kgf・m)/5,500rpm
タンク容量
12L
価格
57万7,000円

STAFF’S IMPRESSION

ヤス子

ヤス子のインプレッション

軽快な走りで、街中からツーリングまで楽しい

ややハンドル位置が低く感じたけれど、ポジション、足つきともにとくに不安はない。ちなみに足つきは両足だとツマ先、片足だと土ふまずぐらいまで着く。また、シートのクッションの弾力などが自分に合っているのか、かなり心地よく、振動を感じても疲れにくかった。単気筒エンジン独特の心地よい鼓動感をどちらも感じられるけれど、私はキャブ車のドコドコ感が機械的なら、インジェクションのドコドコ感はモーター的という印象を受けた。


KJのインプレッション

FI化しても“らしさ”は健在

僕の愛車もSR(インジェクションではありません)。モデルチェンジを受けても基本は変わらず、車体も軽いから、扱いには全然不安を感じない。FI化されたSRはピストンの上死点を探すたびにモーター音がするので、ちょっと知らない人みたい。でも鼓動感やアクセルの反応は以前のままだし、始動性がアップしているくらい。走行性だって近寄りやすさがある。単気筒の味わいを感じながらトコトコ走るのもいいし、400ccこそのキビキビした走りも楽しい。懐の深さは健在です。


ヤクシジのインプレッション

オーナーだけが味わえる“所有感”

クラシカルな外観やスリムな車体は親しみやすさ満点。威圧感とはいっさい無縁で“トコトコトコ…”という軽快な鼓動感も楽しい。キックスタートは、コツがつかめるまでは少々苦労するものの、いかにも“点火”といったようすで“ド…ドルン!!”とかかるのがなんとも人間的。コツを覚えると「どれどれ…、OK、私がかけてあげますよ」なんて親心まで芽生えてくる。「誰でも気負わず乗れるけど、実際に乗れるのはあえて選んだライダーだけ」、そんな美学めいたところも大きな魅力だと思います。

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