ヤマハ MT-07 Y-AMT試乗インプレ|“操る楽しさ”と“気軽さ”を両立したスポーツネイキッド

 

 

クラッチ操作からの解放が、ライディングをより楽しくする──MT-07 Y-AMTで感じた新しい操作感

 

新世代のオートマチックとマニュアルをセレクトできる機構“Y-AMT(ヤマハ・オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)”を搭載したMT-07である。通常のMT-07とパッと見は変わらない。またがっていざ操作しようとなった時に、クラッチレバーとシフトチェンジペダルがない!となったくらいだ。価格差は8万8,000円。もちろんMT-07の方が安い。車重はY-AMTの方が4㎏重いけれど、185㎏前後での話なので、変わらないと言ってもいいくらいだろう。
エンジン自体はMT-07と同じなので、元気というか、かなりイケイケな印象だ。その細かなフィーリングに触れる前に、ライディングモードについて。まずマニュアルモードだが、ストリートとスポーツ、そしてユーザーが任意でエンジンのパワフルさとトラクションコントロールの介入度を設定できるカスタムの3種類がある。オートマチックはDとD+の2パターン。なので、一粒で5度おいしいバイクということになる。マニュアルモードのフィーリングは、スロットルワークに対してのレスポンスが適度にいい。なので経験値がさほどないライダーでも積極的にスロットルを開けていけるはずだ。スポーツの方が、スロットルを開けていった時の排気音が大きく、多少パワフルな印象があるが、レスポンスのところではほとんど差を感じられなかった。

マニュアルモードで新鮮だったのは、シフトダウンとウインカーの操作をすべて左手親指で行なうため、これがスムーズに処理できると街中の交差点でもすごく車両を操った感があったこと。また、減速してシフトダウンしないとノッキングしたりエンストしちゃうような時は勝手にシフトダウンしてくれるのもありがたい。
オートマチックは、Dに対してD+の方がシフトアップの回転数が高くなる。いわゆるスポーティな走りに向いたモードとなる。普通に街中などを移動していた時は、通常のDモードのシフトチェンジがちょうどいい感じだった。とはいえタイミングが気に入らない人もいるだろう。そんな人は、好きな時にシフトボタンを押せば、シフトチェンジしてくれるので安心してほしい。
車体に関しては熟成されているので安定感があるというか、車体の感覚が把握しやすくてコーナーで安心して車体を倒し込んでいけるし、路面の凹凸もいい塩梅で吸収してくれる。先に記したエンジンのフィーリングと合わせて、トータルでイージーさがあってかつエキサイティングな走りも楽しめる1台と言えるだろう。続いて、この企画の帝人となっている小柄な女性ライダー目線でのインプレッションをお届けしよう。

 

 

初めてでも、リラックスして走れる。Y-AMTが叶える快適ライディング

実際に街中でMT-07 Y-AMTに乗り出して改めてY-AMTのよさを体感した。半クラッチを気にせずにスムーズに発進できるし、ATモードではDレンジを選択し、スロットルを開けるだけで自然に車体が動き出す。1速から2速、2速から3速へのシフトアップも非常に滑らかで、変速ショックはほとんど感じられない。ストップ&ゴーの多い市街地でもクラッチ操作が不要なため、アクセルとブレーキ操作だけに集中できる。停止直前には自動で1速に戻るのでエンストの心配もない。加速力も力強く、信号待ちからのスタートでも他車に遅れを取るような不安はなかった。ATモード中でも左手スイッチで任意に変速できるので、合流や追い越しでも思い通りの走りができた。

ワインディングや街中のコーナーでも、Y-AMTは初心者に大きな安心感を与えてくれる。クラッチ操作を考えずに減速できることで、ブレーキとアクセルの操作に集中でき、コーナリング中の挙動がとても安定している。バイクを傾けると自然にスッと曲がってくれる感覚で、視線をしっかり向けるだけでラインに乗せられる。コーナー入口で高いギアのまま入ってしまい、エンジンブレーキが足りないと感じた場面でも、変速ショックを気にせずスムーズにシフトダウンできるため、操作ミスの不安がない。バンク中のシフト操作も車体の挙動を乱すことなくこなせるので、気持ちに余裕を持ったままコーナリングを楽しめた。

 

低速でのUターンや狭い道での取り回しは、初心者にとって不安の大きい場面だが、Y-AMTではそのストレスが大きく軽減される。極低速でも電子制御クラッチが適度に駆動力を維持してくれるため、半クラ操作を気にせず走行できる。実際にUターンをしてみても、クラッチを操作しなくていいというだけで、バイクとの一体感が高まり、スムーズに曲がることができた。ブレーキとアクセル操作に集中できることで、気持ちにも余裕が生まれ、安心して低速域の操作に取り組める。

 

Y-AMTは長距離ツーリング時にも大きなメリットがある。とくに渋滞や長時間の特に渋滞や長時間の走行では、左手と左足の疲労がほとんどなく、走行中もリラックスした姿勢を維持できる。ATモードに切り替えることで、気分転換しながら走れるのも魅力で、疲れてきたタイミングでも気軽にペースを保てる。必要なときにはMTモードに切り替えて、積極的にシフト操作を楽しむこともできる。初心者や女性ライダーにとって、クラッチ操作から解放されることで精神的な疲れも減り、道中をしっかり楽しめるはずだ。

 

難しい操作に気を取られずに、純粋にライディングに集中できるという安心感は、バイク初心者の人や大型バイクを始めて所有するという人にとって大きい。発進や低速走行、コーナリング中のシフト操作まで、すべてが自然でスムーズ。これまでクラッチ操作に対する不安が大きかった人でも、Y-AMTであればその不安が一気に解消される。加えて、スポーティな走りも楽しめる懐の深さがあり、これからバイクに乗ってみたいと考えているビギナーやリターンライダー、そして街乗り中心の女性ライダーにとって最適な1台だと感じた。もし少しでも「クラッチが怖い」と感じているなら、一度このY-AMTを体感してみることを強くおすすめしたい。

 

 

単体だとシンプルな表示内容だけれど、スマートフォンとコネクトすることができ、必要なアプリを用意すればナビケーションとして活用できるし、ヘッドセットを介して電話対応も可能。

左ハンドルスイッチボックスに集中するスイッチ。シフトチェンジ、クルーズコントロール、そして車体のすべてセッティングを行なうジョイスティックとホームボタンが配置される。

 

グリップからの距離を5段階で調整できるブレーキレバーを採用。右ハンドルスイッチボックスでは、オートマ/マニュアル、それぞれの状態でのドライブモードの変更ができる。

とてもコンパクトなライトまわり。生き物の目のように左右に配されているのがLEDポジションランプで、その上センターにある小さな発光部がLEDプロジェクターヘッドライト。

 

 

必要十分な制動力を発揮するフロントのダブルブレーキは、剛性にすぐれたラジアルマウントされたキャリパーを採用する。車体カラーによってホイールのカラーも異なるのもポイント。

スポーツバイクらしい前側がしぼられた薄手のシートを採用。ウレタンは硬めで、その分お尻を前後左右スムーズに移動させられる。タンデムシートの前側が腰当てとして機能する。

 

 

タンデムシートはメインキーで簡単にはずせて、シート下には書類とETC車載器が装着できるくらいのスペースが確保されている。シート裏には六角レンチ×2と±ドライバーも備わっている。

左タンデムステップステーのところにヘルメットホルダーあり。タンデムステップのヒールガードが、タンデムシートに荷物を積む際にバッグ用ベルトの固定場所に使える。

 

POSITION & FOOTHOLD

 

両足を下ろすと、ヒザは伸びきっていない状態で両カカトまでベタ着き。ライダーシートは思った以上に前後移動ができ、ゆったりとした姿勢から走りを積極的に走りを楽しむ攻めの姿勢までポジションの自由度はあるし、身長差にも対応できると感じた。身長170cm/体重70kg

 

 

両足ツマ先が接地する程度だが、足は真下に下ろせるので安定感はある。短い距離であればまたがったままバイクを動かすこともできた。ハンドルまでの距離は程よく、Uターン時でも遠すぎて操作しづらいと感じることはなかった。身長155㎝/体重46㎏

SPECIFICATIONS

●全長×全幅×全高:2,065×780×1,100(㎜)●軸間距離:1,395㎜●シート高:805㎜●車両重量:187kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ2気筒・688㎤●最高出力:54kW(73ps)/6,500rpm●最大トルク:68N・m(6.9kgf・m)/6,500rpm●燃料タンク容量:13L ●燃費(WMTC):25.8㎞/L●タイヤサイズ:F=120/70-17・R=180/55-17●価格:105万6,000円

 

MT-07 Y-AMT ABS・ヤマハ製品ページ

 

CONTACT

問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc

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