YAMAHA TRICITY125/ABS

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短期集中連載TRICITYで行こう!
第4回 LMWテクノロジー実証テスト

No.
173
短期集中連載TRICITYで行こう!第4回 LMWテクノロジー実証テスト

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※公開中の誌面内容はNo.173(2016年8月24日)発売当時のものになります

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前二輪のグリップ性を向上させ、さまざまな路面状況や乗り手のテクニックをアシストするLMWテクノロジー。このたびその効果を確かめる実証試験が行なわれ、その5つのテストをトリシティ125スペシャルサイトにて公開中。今回はその実証の内容を、本誌編集部員のインプレッションをまじえてわかりやすくレポートするぞ!

『旋回安定性』滑りやすい路面、前二輪の状態は?

LMWの最大の特徴は旋回時の安定性の高さ。というのもオートバイでは通常1つのフロントタイヤが2つになったことで、単純計算すれば接触面は2倍になる。つまりグリップ力が格段に増すというワケ。加えてトリシティの前輪タイヤの接地面の場所が、右と左に離れているおかげで、異なる路面の上を走ることになる。もし、左右どちらかのタイヤが濡れたマンホールや水溜りを踏んですべりそうになっても片方のタイヤがしっかりとグリップしていれば、前輪がスリップダウンして転倒する可能性は格段に減ることになる。

すごいのは前2輪という特種な機構を採用しているにも関わらず、普通の二輪と変わらない操舵感で曲がっていけること

トリシティの左前輪が濡れた鉄板を踏んで、グリップを失ったときの映像をCG化したもの。右前輪はタイヤがしっかりとたわみ、路面にグリップしているのがわかる

実際に雨天時に濡れたマンホールの上に片輪を乗せて走ってみたが、前輪がズルッと滑ることはなかった。もちろん内輪、外輪ともに試してみたが、同様の効果を発揮した

路上には砂塵が局所的に溜っている所もある。こんな状況もLMWは得意。滑りやすい砂に乗り上げてもどちらかの片輪さえグリップしていれば、ズルッと両輪がすべり流れることが少ないのだ

ダートも得意なLMW。両輪が一度にすべってしまうような悪路ではフロントが流れるものの、大抵の路面ではどちらか片輪がグリップするので安心して走れるのだ

『操縦安定性01』2人乗り。坂道発進、Uターン時の状態は?

通常のスクーターはタンデムすると、どうしても後輪へ荷重が強くかかってしまい、フロントタイヤの接地感が希薄になる傾向にある。トリシティは、LMW機構をフロント側に搭載していることで、2人乗りした場合にも著しく前後の重量バランスがくずれて、後輪側へ偏るというようなことがない。つまり2人乗りしても、コーナリングでナーバスになる必要がないということだ。実際に走ってみても、一人乗りで走ったときとほぼ同じ感覚で旋回できる印象だ。また、急坂では勾配により後輪への荷重が強まるもの。前後の重量配分が50:50のトリシティなら、そんな場合にもフロントタイヤの接地感がなくなるようなことはなく、タンデムしていても安心して坂道を登ることができた。

2人乗りしてもフロントタイヤの荷重を増やすためにコーナリングでハンドルを抑え込む必要もナシ! いつものように自然に曲がることができる。もちろんタンデマーにもそれは安心感として伝わることだろう

軽量なスクーターで坂道をタンデム走行しようとすると、フロントが浮き上がってしまいそうな不安定感を感じることがある。トリシティはこんな急坂でもスイスイなのだ

もちろん2人乗り以外に荷物の積載も得意なLMW。10kg以上はありそうなキャンプ道具一式を積んで走ってもいつもどおりの、安定感あるコーナリングが楽しめた

LMWの機構があることで、50:50という、非常に安定しやすい前後の重量配分となっているトリシティ。また前輪が2つあることでジャイロ効果もよく効きそうだ

『直進安定性』不意の強い横風。どうなる?

トリシティは、外乱の影響を受けにくい。これは実際にインプレッションのために走っていても非常によく感じた特性だ。とくに普通のオートバイに比べて、横風やトラックなどの追い抜きによる乱流の影響を受けにくく感じる。前輪が2つあることで路面へのグリップ力が上がっていることはもちろんありそうだが、タイヤが回転することで発生するジャイロ効果の影響がとくに大きそうである。ジャイロ効果とは、物体が回転するときに、回転軸を安定させようと発生する力のことで、回転する物体の大きさや重さ、また回転速度によってその効果の強さが決まる。速度を上げると車体が安定するというオートバイの特性は、このジャイロ効果の影響が大きい。なにせトリシティには、このジャイロ効果を発生させる車輪が3つもあるのだ。

とくに顕著に感じたのは海沿いの高架を2人乗りで走っていて強い横風を受けたとき。オートバイなら風に流されないように逆操舵を加えて耐える場面だが、トリシティは終始リラックスして走ることができた

実証実験では風速約15m/sの横風で実施。普通の2輪車(スクーター)だとかなり横風を受け流されてしまっているのがわかる

『制動安定性』 直進時の強いブレーキ。どう止まる?

トリシティに乗っていて思わず感心してしまったのが制動力の強烈さだ。前輪側にタイヤとブレーキが2組あるのだから当たり前のことかもしれないが、ブレーキング時の路面に対する踏ん張り具合がものすごいのだ。トリシティにはタイヤのロックを防ぐABS仕様車もあるのだが、ワザとABSを作動させるつもりで、ガツンとフロントブレーキを握っても、ABSが作動することはマレなぐらい。そのぐらいLMWの制動力はもともと高いと感じた。また一方で、ブレーキング時の車体の安定感も特筆もの。タイヤの接地面が左右に大きく離れているおかげで、ブレーキング時にも車体が安定するのだろう、おかげで思いっきりレバーを握り込めて、ガツンと停まれるというわけだ。

トリシティは左レバーを握れば、前後ブレーキを適切な配分でかけてくれる前後連動ブレーキ(ユニファイドブレーキシステム)を標準採用

強めにブレーキをかけても、フロントタイヤがズルッとすべりだすような感覚がないから、ブレーキレバーを安心して握り込める。しかも制動距離がものすごく短い

『操縦安定性02』ちょっとした段差。どう乗り越える?

これこそがLMWの真骨頂である。オートバイで段差を越えようとするときに、一番怖いのはタイヤが段差に弾かれて、車体がフラつくこと。具体例をあげれば歩道を横切る場合や自宅の駐輪スペースで段差を乗り越えるようなシチュエーションだが、段差に対して進入する角度が浅くなればなるほど、タイヤは段差に弾かれやすくなる。トリシティは前二輪が独立して路面追従し、段差もそれぞれ乗り越えるので、進入角度が浅くても前輪が段差で弾かれることが少ないのだ。

なるべく直角に進入するのがオートバイで段差を越えるときのセオリー。しかし、トリシティなら斜めからのアプローチもラクラク。多少段差があるような場所にもラクラク乗せて駐輪できるというわけだ

左前輪が段差を乗り越えるときは、右前輪のタイヤがしっかりと路面をグリップしているので、タイヤが段差に弾かれない

右前輪のタイヤが段差を乗り越えるときはすでに左前輪が段差を乗り越えており、しっかりグリップしているので右前輪も簡単に段差を越える

SPECIFICATIONS※[ ]内はABS仕様

全長×全幅×全高
1,905×735×1,215mm
軸間距離
1,310mm
シート高
780mm
車両重量
152[156]kg
エンジン型式・排気量
水冷4ストロークOHC 2バルブ 単気筒・124cm3
最高出力
8.1kW(11ps)/9,000rpm
最大トルク
10N・m(1.0kgf・m)/5,500rpm
タンク容量
6.6L
価格
35万6,400円[39万9,600円](税8%込)
メーカー製品ページ

http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/scooter/tricity/

※記事の内容はNo.173(2016年8月24日)発売当時のものになります

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