YAMAHA TRICITY 155

短期集中連載TRICITYで行こう!
第10回 TRICITY155で雪中行軍!?

No.
179
短期集中連載TRICITYで行こう!第10回 TRICITY155で雪中行軍!?

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※公開中の誌面内容はNo.179(2017年2月24日)発売当時のものになります

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安定感ある走りのおかげで、数百キロの距離も高速道路を使えば疲れずひとっ飛び! コイツは軽二輪クラストップレベルのツアラー性能だ

 

トリシティは、前2輪、後輪1輪という、画期的な車体構成が採用されたヤマハのLMWモデル。現在は、リーズナブルで維持費も安い原付2種クラスのトリシティ125と、高速道路も走れるトリシティ155がラインナップ。今回は新型のトリシティ155で高速道路を使ったツーリングに出てみたのだが…!?

文:谷田貝洋暁/写真:関野 温

高速道路に乗れるトリシティ155、コイツとならどこへでも行ける!?

※記事の内容はNo.179(2017年2月24日)発売当時のものになります

YAMAHA TRICITY 155って?

これまで125クラスだけだったトリシティに155㏄のエンジンを搭載したトリシティ155が登場! その違いは排気量で125が高速道路を走れない原付二種クラスだったのに対し、155は軽二輪クラスに分類され、高速道路だって走ることができる。つまり高速道路をつかってどこまでも遠くへツーリングできるようになったってワケだ。しかもこのトリシティ155、2017年2月中旬時点でかなり売れていて、バックオーダーを抱えるほどの人気らしいぞ!

LMWとは?

LMWとは、リーニング・マルチ・ホイールの略で、複数輪(マルチホイール)でありながら、オートバイと同じように車体を傾けて(リーン)コーナリングする特性を持つ、ヤマハの乗り物の総称。その安定感ある走りのヒミツはパラレログラムという、2つある前輪を連結している井桁状のパーツなのだ

 

おかげさまで大人気のトリシティ155

売れているみたいだねぇ、トリシティ155! デビューから約1ヶ月がたったところでバックオーダーになったという報告が飛び込んできた。バックオーダーとは、つまり市場の要求に対しての売るべき車両の数が足りなくなってしまったということだ。状況的には今すぐお店で予約しても、すぐに納車されない可能性があるらしい…。もしトリシティ155が欲しくてお店で見かけることがあったら、それは即手を打ったほうがいいぞ。

 

やっぱりアレだね。みんなタンスタのこの連載読んでトリシティのLMWの特性オフロード適性に共感したってワケだ。…え? 違う!?

 

それはさておきトリシティ155。趣味の乗り物として考えると、やっぱり高速道路に乗れるかどうかってところがやっぱり重要だということだ。今回のトリシティ155大盛況の背景には、“LMWは気になるけど、高速道路に乗れないんじゃねぇ…”というライダーがたくさんいたってことだ。想定を超える販売台数にヤマハはうれしい悲鳴をあげていることだろう。

 

というわけで、今回の『トリシティで行こう!』は、みんなが気になる高速道路を使ったツーリングがテーマ。

 

前回は、高速道路を空荷で走って、タンデムインプレなんかもしてみたけど、今回はもうちょっと長めの距離を走って、燃費特性にこだわったブルーコアエンジンの実測燃費を測ったり、長距離移動での疲労具合をレポートしようってワケである。

 

ただ季節は真冬。しかも一番寒さが厳しい時期なんだよね〜。なんて思いながら地図を眺めていたら、気になったのは関越自動車道路だ。除雪の行き届いた高速道路を使えば、もしかしたら日本海側へ抜けられるかも? 降雪のタイミングさえ外せればワリとなんなく抜けられちゃうんじゃないの?高速道路を降りた先だって、きょうびスキーリゾートのあるような場所なら除雪も行き届いている。それこそ関東からの行楽客も多い湯沢あたりなら、ワリとバイクでも行けちゃうかも…。でもってバイクでスキーとかできちゃうんじゃないの!?と単純な僕は考えた。

 

それになにせ相棒はLMW機構を持つトリシティ155だからね。これまでのダート林道やオフロードコース走行の経験から、少々の雪道くらいなら、そのままでも走れてしまいそうな手応えはある。まぁ、難しく考えず高速道路が通行止めやチェーン規制なら途中で進路を変えればいいだけの話。それにせっかく降雪地帯に行くならトリシティの雪道への適性もキッチリ調べてみたくなってきた。

 

以前、オフロードコースを走ったときにも実感したことだが、トリシティは前2輪というLMW機構のおかげで、すべりやすい路面でも直進性を保持する特性が強いということがわかっている。

 

たとえば“フカフカの砂地でブレーキング”なんてときだ。同様の状況で普通のバイク、つまり前1輪のバイクでフロントブレーキをかけすぎると、フロントタイヤがロックして滑り出し、右か左へ流れ出すもの。この左右への滑り出しが転倒の原因になる。ところが前2輪のLMW機構であれば、どちらかの車輪が地面をとらえていれば、この左右への滑り出しが格段起こりにくいというワケだ。それに滑り出したとしても、前輪が2つあるおかげで、その挙動も実にコントローラブル。二輪車のように前輪ロック=即転倒となりにくいことは、僕が身をもって知っている。

 

ダート路面でこれだけ有効なLMWの特性。ならば、雪道などの滑りやすい路面でも活きるのではないだろうか? という仮説を立てたのだ。

 

ただ、いくら安定性にすぐれるLMWとはいえノーマルタイヤで雪道を走るのは無謀。そこで今回はバイクショップの風魔プラスワンさんからミズノ製タイヤチェーンを借りてきた。これでずいぶん雪道を走れるようになると思うのだが…。

 

そんな皮算用をしながら関越自動車道路を北上し始めたのだが、早々に電光掲示板から湯沢方面のチェーン規制の情報を得る。どうやら太平洋側から日本側へ通じる関越トンネルを出たところが猛吹雪らしい。チェーンを持ってきたとはいえ、さすがに高速道路でいきなり雪上走行はしたくない。僕は関越道から上信越道にレーンチェンジし、八ヶ岳方面へとトリシティを走らせることにした。イチかバチかの天候まかせで雪道トライをするのではなく、標高を上げることで計画的に(?)雪道を走ることにしたのだ。

 

もはやトリシティ155のツーリング性能が先か、雪道が先か目的を失い始めているが、走り出したのだから仕方ない。賽はもう投げられたのだ。

 

当初はいっそ日本海側へ出てみようか? なんて思っていたのだが、関越道はいきなりチェーン規制が…。さすがにいきなり雪道はねぇ…。ならば長野方面に進路を変えますか

 

トリシティ155は旅にも使えるコミューター

さて、雪道に興奮して忘れないうちに(笑)、トリシティのツーリングインプレッションを書いておこう。まず積載性。大きくなった23.5ℓのシート下スペースはやはり便利。今回の旅で言えば、タイヤチェーンや工具、リペアキット、救急用品など、重量物やよっぽどのことがないと取り出さないものを収納することにした。というのも、タンデムシートの上に荷物を積んでしまうとシート下スペースにアクセスできなくなってしまうから。それを言うなら給油するためにも一度荷物を下ろす必要があるのだが、ワンタンクでの航続距離が約200㎞あるので、まぁ及第点といったところ。それよりなにより、ここまで大きな荷物が積めるということがすばらしい。今回は、前号でも紹介したグラブバーのM5サイズの穴に、ワイズギア製の荷かけフックボルトを取り付けてみたのだが、なかなかの使い心地。タンデムシートの座面も大きいから、キャンプ道具などの大荷物もしっかり積めることだろう。

 

 

高速道路での巡航走行も前2輪のLMW機構のおかげでかなりラクチン。上州名物の“からっ風”に何度もあおられることになったが、前2輪のトリシティは動じない。速度に関しては、荷物を積んでも90〜100㎞/hで巡航できるから高速道路で恐い思いをすることもない。確かに追越し車線でバンバンほかの車両を抜いて行くような走りはできないが、トラックや軽自動車とともに走行車線を淡々と走り続けるなら、いたってストレスフリーなのだ。

 

そんな寒風にさらされながら走り続けて驚いたのは快適性の高さだ。LMWの安定感ある走りに加え、ラバーマウントハンドルによる快適性もあいまって、高速移動時の疲労がかなり少ない。少なくとも同排気量クラスのスクーターのように、不安定な車体の挙動に怯えてついつい肩に力が入る、なんてことがなくてラクチンなのだ。快適性に関しては、軽二輪クラスのなかでもトップレベル。これはある意味高速ツアラーなみじゃないだろうか?そんなことを考えている間に長野県へ到達。トリップメーターを見ればすでに200㎞以上も進んでいる。

 

上信越道を降りたのは佐久南IC。このあたりの佐久平と呼ばれる平野部は、気温はめっぽう下がるものの、冬でも意外と積雪が少なくノーマルタイヤでも比較的アクセスはしやすい地域。

 

八ヶ岳の裾野にそって南下する国道141号を移動しながら、適度な場所で八ヶ岳方面へ標高を上げたなら、いずれは雪道に出会えるハズだ。

 

八ヶ岳へ登る山道に入るとおあつらえ向きにボタ雪が降り始める。路面温度が低いからだろうみるみる路面が白くなっていく。シャーベット状の雪が路面に溜った状態である。路面自体は凍結していないものの、シャーベット状の雪がタイヤとアスファルトの間に入り込むことで非常に滑りやすい状況を生む路面だ。

 

早々にタイヤチェーンを取り付けるか迷うところだが、行けるところまで進んでみようと恐る恐るトリシティのアクセルを開ける。…が思ったよりも前2輪のグリップがいいことに気付かされた。もちろん無用にアクセルを開ければリヤタイヤはすぐさま空転を始めるのだが、前二輪がしっかり路面をつかんでいてくれるおかげでそれほど恐くはない…というのが僕の印象。ただ、僕自身オフロードバイクに乗りすぎたせいか、少々リヤが滑ったぐらいでは物怖じしなくなってしまっているので、参考にはならないかも…。一般的には、雪が積もり始めたら早々にタイヤチェーンを取り付けるのが得策だ。

 

いよいよタイヤチェーンなしでは進めないと感じたのは、半透明のシャーベット状の雪ではなく、路面が完全に白くなり出してから。登りであることもあって相変わらずフロントタイヤのグリップはしっかりと感じるのだが、後輪がアクセル操作に合せて空転し始める。まぁ、ここまでだって普通のロードタイヤを履いたバイクでは走る気にならないだろうから、やはりLMWの安定性はすこぶる高いということが実感できた。

 

この旅、バイクで走った最低気温はなんとマイナス8度。路面もところどころ凍ってたけど、トリシティの安定感のおかげでワリと気ラクに進めてビックリ!

 

すこし標高が上がっただけで様変わりする景色。雪が現れても前2輪は滑る気配がないのだが、ラフコントロールするとリヤが滑り始めた。こんなこともあろうかと、いいもん持って来てるんだよね〜

 

次ページではいよいよTRICITY 155にチェーン装着!

※記事の内容はNo.179(2017年2月24日)発売当時のものになります

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