エンジンが秘める可能性をさらに広げる! Power TRONIC for KTM 390DUKE

燃料噴出量をコントロールしエンジンをベストな状態にするサブコン。ノーマルでも変化が得られ、さらにスリップオンマフラー、レース用フルエキゾーストにまで幅広く対応する“パワートロニック”を実際に取り付けてみた!

文:横田和彦/写真:関野 温・横田和彦

バイク用サブコンピューター“パワートロニック”がエンジンが秘める可能性をさらに広げる

現代のバイクではECU(エンジンコントロールユニット)がアクセル開度やエンジン回転数、ギヤポジションなど各部のセンサーからの情報を元にインジェクターから噴出するガソリン量を決めている。メリットはさまざまな環境下で安定したパワーを発揮できることや、使うガソリンを最小限に抑え燃費を向上させることなど。一昔前のキャブレターに比べるとはるかに緻密な燃料コントロールができるのだ。

 

一方、マフラーやエアクリーナーなどを交換して吸排気抵抗が低減した場合、バランスを取るためにインジェクターから噴出するガソリン量も増やす必要がある。そのとき一般的に使われるのが“サブコン”と呼ばれるモノ。各種センサーと純正ECUの間に割り込ませ情報を補正することでインジェクターからのガソリン噴出量を調整する装置。各社から発売されているので聞いたことがある人も多いだろう。

 

ところが今回テストした“パワートロニック”は吸排気系をカスタムした車両はもちろんノーマルの車両に取り付けても効果が体感できるという。その理由を販売元のネストインダストリ代表・左右田(さうだ)さんにうかがった。するとノーマルは厳しい排出ガス規制を余裕をもってクリアするため、ガソリン噴出量が薄めに設定されている傾向があるという。そのためパワートロニックで適切な噴出量に設定するとパフォーマンスアップが望める。しかも最初からノーマルの吸排気系に対応するマップが2種類(エコ/スポーツ)入っているというからうれしい。もちろん一般的なサブコン同様、PCを使って細かい調整もできるし、吸排気チューンに対応するマップ(スリップオンマフラー用のマップはCDに付属)に書き換えることもできる。

PowerTRONIC For KTM 390DUKE 製品情報

PowerTRONIC(パワートロニック)For KTM 390DUKE 製品内容
こちらがパワートロニック本体のセット内容

別売りオプション
価格

※価格はすべて税10%込

パワートロニック
4万8,000円
クイックシフター
2万5,000円
MAP切替スイッチ
3,500円

パワートロニック 販売ページ

取り付けはカプラーオン

パワートロニックは純正ハーネスの各部カプラーに割り込ませる。配線が多いため難しそうに感じるが、カプラーの形状がすべて異なるので、間違いは起きないだろう。取り付けの手順は大きな写真で見やすい説明書を参考にすればスムーズにいく。ただ今回は野崎メカニックの判断で、説明書よりも多めに外装を取り外すシーンも。できるだけ各部にキズを付けないようにという配慮もある。すべてのカプラーを装着したあと、ストックカプラーを取り付けて動作を確認する。

PowerTRONIC(パワートロニック)をKTM 390DUKEのタンデムシート下に取り付け
パワートロニック本体はタンデムシート下に収まり、そこからエンジンやインジェクターに配線が向かう。通り道は限られているので、外装を外す必要があるところも

ストリートでも体感できるキャラクターの変化に驚く!

PowerTRONIC(パワートロニック)を取り付けたKTM 390DUKEで街中を実走

今回はKTM川崎中央に協力してもらい試乗車にパワートロニック本体とマップ切替スイッチ、それにクラッチやアクセルの操作をせずにシフトアップできるクイックシフターを装着し試乗してみた。アクセル開度とシフトチェンジの圧力設定などのキャリブレーションを行なったあとスポーツマップでスタート。すると中回転域からのトルクアップが顕著に感じられ、アクセル操作に対してダイレクトに反応するではないか。そのままアクセルを開けていくと高回転域まで力強く加速し続けることに驚いた。ノーマルでこれだけの違いを感じられるのはスゴイ! これならスリップオンマフラーを装着したときの効果も大きそうだ。

 

またクイックシフターはアクセルを固定したままクラッチレバーをにぎらずにシフトペダルをかき上げるとスコッと入った。たまに息継ぎすることがあったのでPCで調整してもらうと気にならないレベルに。ビッグバイクに比べるとシフトチェンジの回数が多いので、メリットも多そうだ。

 

パワートロニックの取り付けやPCでの調整のために写真付きの詳しい説明書が入っている(一部PDF)のでハードルは低め。経験あるショップであればすぐにセットアップできるはず。操作を見ていると、キャブレターよりもずっと手軽にセッティング作業をしているので自分でもできそうな気がしてくる。プロの領域だと思っていたインジェクションのセッティングが少し身近になったという印象を受けた。

 

他車種用のラインナップも豊富

今回は一例としてKTM 390DUKE用のパワートロニックを取り付けたが、他車種用のパワートロニックも豊富なラインナップで展開しているぞ。

パワートロニック ラインナップ&プライスリスト

CONTACT

問い合わせ先
ネストインダストリ
電話番号
096-288-6665
URL
https://www.nest-onlineshop.com

取材協力:KTM川崎中央(TEL:044-948-7316/URL:https://ktm-kawasakichuo.com

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