東京モーターショー 2007年~2015年→さらにその先へ!? スズキ編

BURGMAN FUEL CELL SCOOTERの流れ

過去の東京モーターショー出品モデルを振り返ってみると、あのモデルはここにつながっているのでは? と、気付くことがある。そこで、2007年からの東京モーターショーを振り返り、2015年の東京モーターショーに出品されたモデルにつながる流れを見つめてみよう。また、その流れの先に何があるのかも…。

2003年に初出品されたのち、2015年に三度目の出品となったバーグマンフューエルセルスクーター。12年に渡り進化を続ける本モデルは、何がどのように変わってきたのだろうか。

 

2007年 Crosscage

X字に交差したフレームが特徴のクロスケージは、2007年の東京モーターショーに出品されたスズキの燃料電池二輪車の先駆けとも言えるコンセプトモデル。燃料電池システムとは、水素と酸素の化学反応を電気エネルギーに変換するシステムのこと。燃料電池車は燃料電池により発電された電力を使ってモーターを駆動し走るのだ。EV(電気自動車)の場合には蓄えた電気を消費しながら走るのだが、燃料電池車は自らが発電をしながら走るというわけだ。

燃料電池ユニット本体はイギリスのインテリジェントエナジー社製のモノを搭載。二次電池にはリチウムイオン電池を採用し、シンプルで小型・軽量な構造とした。スポーティなスタイルを持った未来のモーターサイクルを予感させるコンセプトモデルだった。

 

2009年 BURGMAN FUEL CELL SCOOTER

クロスケージが発表された2年後の2009年の東京モーターショーに出品されたバーグマンフューエルセルスクーター。クロスケージで使用されていた技術をバーグマン200に応用し、より現実的な燃料電池二輪車の方向性を示したコンセプトモデル。クロスケージから引き続き採用した空冷式の燃料電池システムを、シート下トランクスペースやセンタートンネル部分などに押し込むことで、シンプルにまとまっている。

燃料電池の発電による電力に、リチウムイオン電池からの二次電力をプラスしたハイブリッドシステムによりモーターを駆動。減速時にはモーターの発電電力を二次電池に蓄電する回生システムとしている。それに加えて、二輪車では初採用となる高圧水素タンク(700気圧)を搭載することで、実用的な航続距離を実現。ベース車のフレームワークを活かし、水素タンクは強固なフレーム内に入れることで、安全性もしっかりと確保している。

 

2011年 BURGMAN FUEL CELL SCOOTER

2009年の東京モーターショーに引き続き、2011年にも出品されたバーグマンフューエルセルスクーター。イギリスで実証実験を行ない、その環境性能と安全性能の高さが認められ、燃料電池車としては二輪・四輪ともに世界初となる欧州統一型式認証を取得した。その後、北九州で日本初の水素燃料電池スクーターの実証走行実験を行なうなど、さらなる進化を遂げた。

 

2015年 BURGMAN FUEL CELL SCOOTER

そして、2015年の東京モーターショーに再度出品されたバーグマンフューエルセルスクーター。2012年発表の資料によると、空冷式燃料電池の定格出力は1.6kWなのだが、2015年の資料では3.9kWにパワーアップしているようだ。

現在の仕様では、60km/hの定速走行で約120kmの航続距離が確保されているという。また、水素充填にかかる時間は約5分ほど。水素ステーションの拡充などのインフラ整備が進めば、十分に使用に耐えるスペックなのではないだろうか。しかし、いまだインフラ整備や燃料電池二輪車に関する法整備は進んでいない。そのため、スズキでは燃料電池二輪車の安全基準などの国内法が整備されしだい、公道走行試験に移る予定だという。

 

過去のコンセプトモデルをピックアップ

2013年 Recursion

2013年の東京モーターショーに出品されたリカージョン。四輪業界では近ごろよく耳にするようになったダウンサイジングエンジンを搭載したコンセプトモデルだ。排気量の小さなエンジンに過給機を搭載することで、軽量・コンパクトかつ経済性を確保しつつも大排気量車と同等の走行性能を追求している。リカージョンの場合は、並列2気筒588ccエンジン&インタークーラーターボの組み合わせ。それにより、ミドルクラスの扱いやすさと、ビッグバイクのようなトルクフルな乗り味の両立をねらっている。

 

2007年 Biplane

バイプレーンは2007年に、より多くの人にバイクに興味を持ってもらいたいという願いのもと出品されたデザインコンセプトモデル。バイプレーン(複葉機)という言葉どおり、飛行機に乗っているようなイメージをコンセプトにデザインされた。バイクと飛行機というまったく違う乗り物から共通の感覚をイメージしてもらうべく、制作されたというがいかがだろう? エンジンはV型4気筒エンジンを縦向きに搭載している。 

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