冬でも走りたいライダー必見!ライダーの防寒対策【最低限揃えたいアイテムを紹介】

寒くなってきたがまだまだ走りたい、バイクを楽しみたい!という元気なライダーは寒さ対策をしっかりとして乗ってほしい。寒くて手がかじかむとアクセルワークにも支障が出るし、何より寒いと判断力が低下するので危険な目にあう可能性も上がる。キチンと防寒することで結果的に安全性も上がるのだ。

防寒対策はまずレイヤリングを覚えるところから!

寒くなってきたから「防寒しよう」といっても捉え方は人それぞれだろう。どんな形であろうが寒さ対策をすればそれは防寒となる。しかし、効率的に防寒することはライダーにとっては非常に重要なこと。一歩間違えれば重大な事故につながるバイクに乗っているのに加え、寒さという大敵が襲ってくるこれからのシーズンは、よりしっかりとした防寒をすることで安全面にも気をつかってもらいたい。

 

防寒=安全性アップとなるのはなぜか。それは身体が冷えてくると運動性能が落ち、ハンドリングやブレーキングの遅れにつながる。そして判断力にも影響が出るためとっさの動作も遅れがちになるのだ。「寒いなぁ…。何か温かいものが食べたい…」なんてことばかり頭によぎると注意力だって落ちてしまう。一度でも冬期をすごしたライダーならば誰しも理解してくれるだろう。

 

そこで、寒い時期でもよりよいバイクライフをすごすためにはレイヤリングを覚えることが不可欠である。ベース/ミッド/アウターレイヤーの大きく3つに分けた異なる役割のウエアを着用することで冷えから身体を守り、温かくすごせるのだ。「レイヤリング」とカッコつけて横文字を使っているが、わかりやすくなじみのある言葉で言うと「重ね着」。近年このレイヤリングスタイルがバイク業界も含めアウトドア系や一般的にも重要視されてきている。

レイヤードとは

大きく分けると、ベースレイヤー(下着)/ミッドレイヤー(中間着)/アウターレイヤー、と重ね着をすることをレイヤードと呼ばれている。分担されたそれぞれの役割により、寒い時期でもライディングを楽しめるように防寒できるのだ。うまくレイヤードすると、わざわざ冬用ジャケットを買わなくとも、インナーに防寒性の高いアイテムをチョイスすると春/秋用でも冬用として着回せる場合もある。

「重ね着」の文化は昔からあり、平安時代の十二単(じゅうにひとえ)もその一つ。実際は5~7段階の重ね着と言われているが、あまり動くことをよしとしない公家女子が寒さをしのぐために着ていたという説もある。また、寒冷地の軍服は今につながるようなレイヤリングをしており、今も防寒アンダーウエアとして人気の高いサーマル素材も軍で使用されていた。サーマル素材はワッフル生地とも呼ばれ、表面が凸凹していて、そこで空気の保温性の高い層をつくり、肌に触れる面積も少ないためサラッと着られるベーシックなアンダーウエア。そんな重ね着スタイルはライダーにとっては定番スタイル。防寒性ももちろんだけど、ファッションアイテムとしても一役買っている。

 

近年は各レイヤー専用のアイテムが続々とリリースされ、その機能性も年々アップしている。とりあえず着込めば確かに温かいけど、着ぶくれして動きにくいし何よりカッコ悪いぞ! 

ウインタースポーツではあたり前のことで、運動性能が落ちないようにしながら保温性を上げることができるのがレイヤリングだ。冬期のライディングだってウインタースポーツだと思ってもらえればわかりやすいのかもしれない。バイク用ウエアはよくスキー用?とか聞かれたりすることもあるし…。

 

ちなみに、一般的なベースレイヤーで多い発熱素材を使ったアンダーウエアは、バイク用だとそんなに活躍しない可能性があるので要注意。その理由は歩いたりして出る汗を吸って熱に変える素材のため、常時座りながら走行風を浴びるバイクの場合は発熱しにくいためだ。それが効かないのではなく、用途が違うものだということを理解してほしい。そして先にも述べたとおり、各バイクウエアブランドから専用品が出ているということは、ライディング時の身体の動きや長い時間走行風を浴びることも想定して作られているため“ライディングに特化したライダーのためのウエア”なのだ。しっかり組み合わせて着用すれば着ぶくれすることもないし、動きやすく温かいレイヤリングが可能になる。バイク用というのはウエアであっても「ライディング機能が盛り込まれた製品」だということを覚えておこう。

 

ちなみに、十二単はその色合いや季節感を取り込んでいたのでファッション面も考えられていたといわれる。令和のライダーには防寒に安全性もファッション性もプラスしてバイクライフを楽しんでもらいたい。

選ぶときに重要視すべき点

ベースレイヤー「吸汗速乾性、保温性、発熱性」

肌に直接触れるモノなので、何よりも肌触りのよさが最重要ポイント。温かくてもゴワゴワしていたりかゆくなってしまうようなものは避けたい。そして次に吸汗速乾性。レイヤリングした際にじんわりと汗をかくことがあるが、長時間のツーリングで冷え始めると汗冷えすることもある。結局それで風邪をひくなんてことも。なので、つねに肌はサラサラの状態をたもてるモノを選ぼう。また、汗を吸って熱に変えるタイプのモノはバイク用としては効果が薄い場合も。

ミッドレイヤー「保温性、コンパクトさ」

中間に着用するモノなので、重量感のあるようなモノは避けたほうがいいだろう。ダウン素材のインナーが多いのはそのためで、アウターを着た際に温かいまま収縮してくれる特性があり、動きにくくならないのだ。また、降車時に脱ぐような想定で作られているモノが多いので、コンパクトになりバッグに入れておけるものを選ぶのが◎。そして一番のポイントは保温力。体熱を外へ逃がさないで温まれるかはミッドレイヤーしだい!

アウターレイヤー「防風性、防水性、各部の冷気遮断」

防風防寒性はもちろん、防水性も気にしてほしい点。冬の雨は冷たく、もし濡れた場合は非常に寒い思いをすることも。冬用ウエアはサイズ感がアップするのでいつも使っているレインウエアだと入らないという可能性もあるぞ。そしてバイク用は手首部分や裾などに冷気が入り込まないような工夫がされていることが多いので、そういったところもチェックしておくと細かなストレスが減るのだ。

電熱アイテムって実際は?

ここ数年でスタンダード化したように思える「電熱ウエア」。充電池や車両のバッテリーから電源をとり、ウエアにはわせた線から発熱して身体を温めるという冬場のライダーにはありがたすぎるほどのアイテムだ。確かにレイヤードは防風や保温はできるが発熱となると難しい。全身電熱系でそろえて走ったら温かすぎて眠くなるほど…。

 

しかし、かなり重宝する電熱ウエアにも注意点があるのだ。バッテリー切れの場合はもちろん発熱しないし、その性質上「薄めのインナー」となってしまうため寒い思いをする場合も。そしてバッテリーの持ち時間にも気を付けるべき。また、汗をかく場合が多いのでアンダーウエアには吸汗速乾タイプを選ばないと汗冷えする可能性が高まってしまう。あくまでレイヤリングを念頭に置いてアイテムは選びたい。

SHINICHIRO ARAKAWA/Nnina

価格:1万2,100円(税込)

ジャケットに装備されている背中のプロテクターポケットにいれて使用するめずらしい安全性も考慮した電熱アイテム。セキツイプロテクターと併用も可能。単体で背負って使用することもできる

ROM/ゼロスグラブ ヒート2

価格:2万1,780円(税込)

充電式バッテリーを使用し、3段階の温度調整が可能なため気温によって快適な温度でライディングを楽しむことができる。防風性・透湿防水性・高い保温力という一つのアイテムでレイヤリングしてくれるお得なグローブだ。

おまけ

チャップス&オーバーオール

レイヤードから少し逸れるが、部分的に防寒していくことを忘れずに。一番冷えやすい首元はネックウォーマー、つねに走行風にさらされる足元にはレッグウォーマー、といったように基本のレイヤリングに自分なりの工夫を加えることが大切だ。チャップスやオーバーパンツ、スクーターの場合はレッグカバーなど、バイク用品はライダーを守るさまざまなモノが用意されている。

レインウエアも活用できる!

バイクウエアはバイクに特化して作られている製品のためそんなに安くはないので、これからそろえるビギナーライダーはお財布的にきびしいこともあるかも。そこでレインウエアを活用しよう。最初にそろえるモノの一つに数えられるが、アウターの重要ポイントでもある防風性・保温性が備わっているのだ。見た目は完全に雨天仕様にはなってしまうが、上下ともに冷たい風から守ってくれるぞ。ただし、薄い素材を使用しているモノが多いため、インナーだけはダウン素材などの保温性のあるモノを一緒に着ることをオススメする。

※本記事はタンデムスタイルNo.224(2020年11月24日発売号)に掲載された内容を一部抜粋・再編したものです。

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