DUCATI スクランブラー デザート スレッド

200mmのストローク確保、本格的なオフロード装備

さてここで、デザート・スレッドの変更点をシリーズで一番スタンダードなスクランブラー・アイコンと比較しながら見ていこう。

 

デザート・スレッド専用に強化されたフレームに関しては、すでに前述させてもらったが、前後のホイールトラベルも大きく変更。150mmしかなかったサスペンションストロークは前後ともに50mmずつ伸ばして200mmを確保。加えてキャストホイールに比べてダートでの衝撃吸収性のいいスポークホイールが採用されている。フロントのホイールサイズは、アドベンチャーツアラーなどでは一般的な大径で走破性の高い19インチになった。これらの仕様変更はオフロード走行にてギャップのショックを吸収したり、走破性を高めたりするための装備だが、その代償としてシート高は860mmとスクランブラー・アイコン比70mmのアップとなっている。

 

ただシート高に関しては、数値上でずいぶん高くなってはいるものの、シートのトップをラウンドさせた、足の出しやすい形状を採用しているため、数値ほど高くなった感じはしないということを特記しておきたい。そのほかの変更点としては、ヘッドライトやフロントフェンダー、幅940mmのブレース付きテーパーハンドルバー。エンジン下には名前の由来でもあるスキッドプレートを装備している。

 

エンジンに関しては、17モデルとしてスクランブラーシリーズはすべてユーロ4に対応。同時にスロットルに対するレスポンスを最適化したそうだが、パワーやトルクといった数値も他のスクランブラーシリーズと違いはない。パワートレインに関しても、ギヤ比、減速比、前後スプロケットに関してもシリーズで共通である。

 

ただ機能面で、デザート・スレッドがほかのスクランブラーシリーズと大きく異なるのはABSの解除設定だろう。オフロード走行を前提としたこのモデルには他のスクランブラーと違いABSがキャンセルできるようになっている。しかも、その設定がかなり玄人好み。イグニッションをオフにしてもキャンセルが解除されない。つまり任意で再変更しないかぎり、ABSは解除されたままになる。ABSがカットできるモデルは沢山あるが、ここまで気が回るマシンは意外と少ない。このABSひとつとってもデザート・スレッドのオフロード走行に対する本気具合が見て取れるというもの。いよいよオフロードセクションが楽しみになってきた。

 

 

 

 

 

 

 

この乗り味は新感覚。真のオン／オフ兼用マシン

※記事の内容はNo.179（2017年2月24日）発売当時のものになります