KTM 790DUKE

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
192
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

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※公開中の誌面内容はNo.192(2018年3月24日)発売当時のものになります

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KTMはどれ一台として退屈なバイクがなく、パワフルでも乗りやすさをしっかり造り込まれているのが共通点だ。それにしてもこの790デュークはどうだ。新しい時代へと飛翔を印象付ける軽やかな出来映えだったのである。

文:松井 勉/写真:KTMジャパン

KTMの新時代を示す新型並列2気筒DUKE

790DUKEのスタイリング

KTMのパラレルツインエンジンのレシピとは?

1953年、R100から始まった二輪メーカーKTMの65年の歴史で、LC8cと呼ばれる新型エンジンは、彼らが手がける最初の並列2気筒となる。ケース内セミドライサンプ、コンパクトなケース、吸排気カムの間へのバランサーシャフト配置、クランクを435°の点火時期にするために位相角75°クランクシャフトなど小型化とKTMらしさを出す意欲作である。

 

え、ホントに800?というコンパクトさ

 

水冷Vツイン搭載の1290スーパーデュークR、ビッグシングルの690デューク、そして390、250、125のスモールデューク三兄弟。5機種展開だったデュークシリーズに、今回の主役、790デュークが加わった。そのねらいはズバリ1290と690の間にあるギャップを縮めるためである。

 

薄く鋭い傾斜が特徴のLEDヘッドライト。タンク脇から前に突き抜けるボディデザイン。特徴的なスイングアーム。そのどれもがデュークの特徴なのだが、790にはエンジンを取り囲むいつものトラスフレームが見当たらない。しかも左右どちらからも遮るものがなくしっかり見えるそのエンジンは、KTMが初めて造った並列2気筒だという。Vツインと比べると、リヤシリンダーとその排気パイプがないぶん、サブフレームを低く設定でき、シート高は825㎜に抑えられている。799㏄エンジンが生み出すのは105㎰と86Nmの最大トルクを絞り出す。横顔は単気筒に見えそうなほどコンパクトなのにその実力はさすが2気筒。しかも、従来の75度Vツインを再現するため75度の位相クランクを採用。排気音は兄貴分の1290スーパーデュークRのそれに近い。

 

マシンキャラクターは、レイン・ストリート・スポーツ・トラックと、トラクションコントロールの介入度やアクセルレスポンスが変化する4つのライディングモードなど時代の季語もいれつつ、タウンユースや、ビギナーでも扱いやすい特性をもたせている。スポーティだがデュークはそうしたキャラクターであり、単気筒ではカバーできない2気筒らしいフレキシブルな走りでファンを獲得するつもりなのだ。

 

またフレームをブリッジスタイルとしたことで、全体のプロポーションも低く抑えた。またがるとタンクが細身で、ヒザも外に向かって開くことなくタイトだ。ハンドルバーも前傾を強いるものではなくこれも安心材料。乗り出す前にはコンパクトな印象を受けたが、走ってみれば183㎝のボクでもシート前後に窮屈感がない。ステップはやや後退しているが、そのぶん高速道路を走るとき、風を浴びてもしっかりと踏ん張れるものだ。

 

ライディングモードをストリートに合わせていると、エンジンは鼓動感よりスムーズさが印象的。クラッチをつないで動き出すとトルクの出方もしなやか。クラッチやブレーキの操作系や、ミッションのタッチやシフトペダルのストロークも小気味よい。

 

低速でもサスペンションの動きがスムーズで吸収性がよく、マキシスと共同開発をしたタイヤも市街地走行レベルから790に馴染んだ印象だ。よく作り込まれている。しばらく高速道路で移動をした。WP製サスペンションはハイグレードなものではないが、その仕事ぶりは上質。乗り心地がいい。

 

ワインディングではスポーツモードを試した。なるほど、アクセルレスポンスが早い。シフトアップ、ダウンともに有効なクイックシフターを駆使して790のエンジンを歌わせる。回転上昇とともにパワー、トルクも想像どおりに増えるため安心して開けていける。KTMの社是、READY TO RACEやPVの過激な走りに「手強さ」を感じている人もいるだろう。でも実際は扱いやすいからこそ遊びたくなる、それが乗ればわかるのだ。

 

ツインエンジンは9800回転でリミッターが作動するまで引っ張り上げてもスムーズで振動も少ない。単気筒にはちょっとマネできない技だ。ペースを上げても、設定がほどよい足まわりの吸収力は高く、ハードブレーキングでも路面をしっかりつかむ。鋭さよりも心地よさに感じる旋回性に助けられ、スポーツする喜びを享受した。タイヤは荒れた路面や濡れた場所も不安な気持ちになることは皆無。心に残るのは楽しさだけだった。撮影で走ったサーキットでも、このタイヤのグリップレベルはバイクのキャラクターを考えれば十分だと感じた。

 

結果的に、僕は790デュークでツーリングを楽しみ、その走りに夢中になり、まんまとKTMワールドにひきこまれたのである。

 

トラクションコントロール、コーナリングABS、ウイリーコントロール、ライディングモード、ローンチコントロールなど装備する790デューク。環境を問わず安心感のある走りが楽しめる

 

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※記事の内容はNo.192(2018年3月24日)発売当時のものになります

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