YAMAHA トリシティ125/ABS

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足元がガッチリすると2割増でタフに見える

いやぁ、正直ここまで走るとは思ってなかった。以前、別の雑誌でノーマルタイヤのトリシティをダートコースに持ち込んだことがあった。そのときもフロントの安定感がもたらすダート適性にビックリしたもんだが、砂や泥の難所ではさすがにフロントがズルッと逃げてしまい、ちゃんとしたオフタイヤで走ってみたいと思ってたんだよね〜。

 

さて、まずはロードセクション。でも、ちょっとここでは肩すかし。というのも重たく幅広のブロックタイヤを履いたからか、フロントのハンドリングが随分と重くなったのだ。フロントタイヤが2つあることもあってジャイロ効果が極端に増大したのだろう。トリシティの軽快感あふれるハンドリングがすいぶんスポイルされている。

 

それにタイヤのブロックがLMW機構のもたらすグリップ力に完全に負けているようだ。コーナリングやスラロームのような動きをすると、ブロックが腰砕けな感じでよれるのがわかる。

 

もともとのトリシティのコーナリング性能を知っているだけに、ちょっと残念。ただ空気圧を2.0と1.5で試してみたんだけど、低めの方が自然なハンドリングになる。タイヤがよく潰れてブロック当たりの接地圧が下がるんだろうね。まぁ、いろいろ書いたけど10分も走れば慣れるんだけどさ(笑)。

さすがに舗装路ではいつものようなスポーティなコーナリングはキメられない。なんとなくブロックが“ブリッ”と逃げそうな雰囲気がある

 

フロントが逃げないそれはとてもステキなこと

さていよいよダートセクション。林道レベルのフラットダートでの走破性の高さは、もうブロックタイヤを履く前からわかりきっているので、…なんて書いてしまうとミもフタもないのでチョットだけ。直線はLMW機構のおかげでそう変わらないのだが、ブロックタイヤの効果が表れるのはフラットな林道セクションにおいてもコーナリング。アウト側へ逆バンクがついて、しかもジャリが浮いているような、いやぁ〜な場所でハッキリと違いが出る。そんな難しい場面でもフロントの2輪が地面を捉え続けてくれるので、コーナリングスピードが高く維持できるのだ。

 

ということで、その限界を試すべく、モトクロス場へコースイン(笑)。周囲の“え? それで走るの?”という好奇の視線が背中に突き刺さる。

 

でも心配ご無用。空気圧は前後とも1.5。1.0ぐらいに落としてみたかったけど1.5のままで十分走る。やはり驚かされるのがコーナリング。フカフカの砂の上だろうと、泥だろうと前二輪がしっかり路面をつかんでいるのを感じる。おかげフロント側からスリップダウンする気がしないので、ガンガン攻められるというワケだ。もちろんアクセルを開ければ後輪が流れ出すけど、まぁ想定内。フロント荷重で走れば、リヤを流したまま、マシンを出口へ向けるなんて走りも可能なのだ。

 

オフロード走行のコーナリングでライダーが懸念するのはフロントタイヤがグリップを失うこと。フロントをズルッと滑らせば、それだけでバイクは転ぶ。それこそオフロード性能が高いモトクロッサーだって同じことだ。

 

そうならないようにフロントブレーキを加減したり、マシンの角度をコントロールしながらダートを走るワケだけど…、トリシティにはね、ソレがハナからいらないの(笑)。たとえオーバースピードで突っ込んでもフロントタイヤが地面をしっかりつかんでくれるのでコントロールし続けられる。走りが破綻しないから、マシンさえ信用できればどんなレベルのライダーだってかなり遊べるというワケだ。

 

いやぁ、フロントのスリップダウンへの懸念から解き放たれると、ライダーはここまで自由に走りを楽しめるのかと、感心しきり。そういう意味でトリシティは初心者のオフデビューにピッタリだよ。これは楽しい、オモシロイ!

思ったとおり! ダートバイク化成功だ!

トリシティのオフロードバイク化。大成功でしょう! …というかもともと君はオフ車だったんだろ? 本当は?

SPECIFICATIONS※[ ]内はABS仕様

全長×全幅×全高
1,905×735×1,215mm
軸間距離
1,310mm
シート高
780mm
車両重量
152[156]kg
エンジン型式・排気量
水冷4ストロークOHC 2バルブ 単気筒・124cm3
最高出力
8.1kW(11ps)/9,000rpm
最大トルク
10N・m(1.0kgf・m)/5,500rpm
タンク容量
6.6L
価格
35万6,400円[39万9,600円](税8%込)

TRICITY125 製品ページ

※記事の内容はNo.177(2016年12月24日)発売当時のものになります

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