テクノロジーの信奉者

先日の深夜に放送されていた、NHK「クローズアップ現代」をたまたま見たのですが、いやぁ、非常に感動しました。テーマは「加速するiPS研究」というものだったのですが、iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中教授がゲストに登場し、再生医療の研究がどこまで進んでいるのか、さまざまな企業・研究者が紹介されていました。

iPS細胞って…、確か「何にでもなれる細胞」みたいなやつでしょ? これを研究していけば、病気やケガなどで失われてしまった臓器や身体機器などを復活できる。自分の細胞から作られるものだから、臓器移植のような拒否反応もないし、提供者を待つこともない。…と、合ってるかどうかわかりませんが、ともかくそんなイメージを持っていたボク。山中教授がノーベル賞を受賞してからちょうど1年が経つそうですが、この1年の間に再生医療の研究というのはものすごい急ピッチで進んでいて、この進歩のペースは山中教授も驚いているとコメントしていました。

すごいんですよ。もうすでに来年から、iPS細胞によって作られた「目の網膜」の臨床試験が行なわれるそうです。またそのほかには、培養液の中で小さな小さな「肝臓」を作ることに成功したという研究者も紹介されていました。肝臓を形成するときに必要な3つの細胞を混ぜ合わせてみたところ、培養液の中に広がっていた細胞が、ギューッと中央部に寄り集まってきて立体的な物体となる。わずか5ミリほどのサイズなのですが、内部に血管も通っている立派な肝臓。これをマウスに移植したところ、肝臓の病気で死ぬ運命だったマウスの9割が生存することができたとか。その他にも、iPS細胞を使って「血小板」を作ろうとしているベンチャー企業とかが紹介され、ともかく「たった1年でとんでもなく進歩してる!」というのがよくわかりました。思わずテレビの前で「すげぇ…」と声に出してつぶやいてましたよ(家族はみんな寝てましたけどね)。

山中教授によると、こういった再生医療の研究というのは、日本がズバ抜けてリードしているのだとか。そして、続けて語った山中教授の言葉がまたよかった。「日本にはもともと、すばらしいテクノロジーの素地がある。私も技術者の息子ですから、そういったテクノロジーの信奉者でもあります」。調べてみたら、山中教授のお父さんというのは工学部を出て町工場を経営していたのだとか。山中教授はノーベル賞を受賞したときにも数々のしびれるセリフを残していますが、本当にすばらしい人だとあらためて思いました。

ボクらライダーも、ある意味「日本のテクノロジーの信奉者」ですよね。学生のときからバイクというテクノロジーに触れていますが、それは年々進化し、開発現場ではエンジニアが切磋琢磨していることをヒシヒシと感じます。ボクはエンジニアでもサイエンティストでもありませんが、ボクにとってのテクノロジーって何だろう…と、そんなことについても考えさせられました。

マンボサイトー

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マンボサイトー

「マンボ」というニックネームはマンボウ似であることから名付けられ、当初はかなり嫌がっていたものの、最近ではそれほど気にならなくなってきた。ビッグバイクよりも中小排気量 の方が好き、人気車種よりもマイナー車の方が好き、というあまのじゃくな性格の持ち主でもある。

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