ヤマハXSR700は“ちょうどいい”が詰まったネオレトロスポーツだった

 

ネオレトロブームの火付け役はXSRシリーズ

今や各メーカーがラインナップに加えているネオレトロ系モデルが市場に出回り出したのは、2010年代の半ばだ。ヤマハはこの流れに早くに乗っていて、2014年のケルンショーでカフェレーサーテイストにモデルチェンジしたXJR1300を発表し(国内ではプレストコーポレーションがXJR1300Cと名付けて販売)、続いて2016年にXSRシリーズを発売している。ヤマハではこのカテゴリーを“スポーツヘリテージ”と呼び、このカテゴリーの持つ価値観を表現するのに“FASTER SONS”というスローガンを掲げている。FASTER SONSの世界観をこれまで知らなかったのならば、動画を見てぜひとも知ってほしい。(→動画はコチラ https://www.youtube.com/playlist?list=PLrl7jlZzUALteG7mTNyyHIaROnyq-Dq97

 

前置きが長くなってしまったが、今回インプレッションしたのはXSR700である。ネイキッドスポーツモデルMT-07をベースにしたネオレトロモデルで、コンパクトな車体はオーバー400クラスとは思えず、大型初心者でも身構える必要はないだろう。とはいえ実際に走り出せば、軽量な車体と元気のいいエンジンの組み合わせで、オーバー400らしい軽快感ある動きを見せてくれる。ただし、曲がる時に切れ込むようなクイックさはないので、バイクに慣れていない人でも不安になることなく走らせることができるはずだ。ブレーキにしてもスポーツモデルのように短いレバーストロークでカチッと効くというよりは、ストローク量多めでジワッと効いてくるのでとても扱いやすい。街中の実用域(〜60㎞/h)であれば、ダラダラ走ってもペース速めでもパラレルツインらしい適度な鼓動感が伝わったてくるのが心地いい。また、高速もラクラク120㎞/h巡航できるパワーがあるうえ、気になる振動や音がないので、距離を走っても疲れなさそうだ(防風対策は必要)。
ライディングモード切り替えやオートクルーズといった電子制御によるシステムはないけれど、気軽に乗ることができて、さらに大きなシートバッグを積んだ長旅が似合うただすまいとパフォーマンスもある。まさに幅広いシチュエーションを楽しめる1台といえるだろう。
続いて、小柄な女性ライダー目線でのインプレッションをお届けしよう。

 

大型バイクだけど“らしくない”が最初の印象

前回の試乗車であったトレーサー9 GT+Y‑AMTから乗り換えた直後、XSR700 の車体は驚くほど軽く感じられた。トレーサー9GTの車両重量は 232kg もあるため、XSR700の188kg という数字は実際に乗ってみると大きな差だ。取り回しや車体の起こしやすさも、足つきに不安のある身長 155cm の筆者にとっては大きな安心材料で、サイドスタンドで停車した状態から車体を起こす際もスッと起こすことができた。

XSR700はY-AMTではなく、クラッチレバーとシフトペダルが装備されている通常のMT車。クラッチ操作は軽く、発進時から低速走行まで扱いやすいというのが第一印象。クラッチミートをすれば当然バイクがスッと前に動き出すのだが、これが意外と力強い。スロットルに関しても軽く、ひねるとしっかり加速してくれる。“ドロドロ” “ダダダダ…‼”というエンジン音がとても心地よくて、何度でも聞いていたくなる。

ギヤは2速、3速とどんどんシフトアップしていくのも楽しく、街乗りで6速に入れる場面はそうそうないかもしれないが、5速や6速で幹線道路を流して走るのもいい。高いギヤでも回転数が落ちて車体がガタつくような挙動が出ることもないし、スロットルをひねれば緩やかに加速してくれる。逆に車線変更が多くなるような道路状況やワインディングなど、ギヤチェンジを頻繁に行なうようなスポーティな走りだって得意としている。

それでいてハンドリングは非常に軽快で、縦横無尽にヒラヒラと走り回れる感覚が強い。街中の細い道でも小さなステア入力ですぐに向きを変えられるため、Uターンや狭い道の方向転換が簡単だ。

 

装備面はシンプルでトラクションコントロールなどの最新電子制御はなく、メーターもレトロな丸型が特徴的。こうしたシンプルさが XSR700 の魅力であり、ライダーの操作次第で走りの楽しさを引き出せるというのが、近年の電子制御てんこ盛りバイクからは得られない魅力かもしれない。

総じて、XSR700 は “クラシックな見た目と軽快な走りを両立させたいライダー” に最適な一台だと感じた。大型バイクだけど、”らしくない”このちょうどよさが、初めて大型バイクに挑戦するライダーや、ネオレトロスタイルを求める人に響くはず。

 

ネガポジ反転LCDを採用のシンプルなメーター。速度、エンジン回転数、燃料残量、ギヤポジション、オド、2種類のトリップに加え、瞬間燃費、平均燃費、外気温、時刻も表示可能。

ヘッドランプ、ウインカーなど灯火類はすべてLEDを採用する。ガソリンタンク右前下のエアダクトカバーは、中にあるECUの熱対策に加えデザイン的なポイントにもなっている。

 

φ290㎜のディスクローターと対抗4ポットキャリパーをダブルで採用するフロントブレーキ。レバーをにぎり込んでいく時の効き具合を把握しやすいし、絶対的な制動力も十分だ。

シートからタンク、サイドカバーにかけて引っかかりのない面構成で、ポジションの移行がスムーズにでき、さらにニーグリップしやすいサイドカバーの形状になっている。

 

一体型のシートを採用。通常のレザーとバックスキン風の2種類の表皮を用い、その繋ぎ目にステッチがほどこされていて質感が高い。クッション性も十分で一気に距離を稼げそう。

スプリングプリロードの調整が9段階できるリヤショックを採用。車載工具を使って簡単に調整が可能で、荷物の積載量やシチュエーションに合わせて積極的に調整してみてほしい。

 

タンデムステップのヒールガードが荷掛けフックとして活用できたり、ヘルメットホルダーが標準装備されていたりと、しっかりと使い勝手が追求されていることに好感が持てる。

シートレールがむき出しになっていて、ここにシートバッグの固定バントをとめたりと便利に活用できる。シートエンドには質感を高めるエンボス処理された“XSR700”ロゴが入る。

 

POSITION & FOOTHOLD

両足を下ろすとカカトまでベタ着きのうえヒザが軽く曲がる余裕あり。前後に長さのあるライダーシートは、前後左右にオシリをスムーズに動かせ、ポジションの自由度は高い。740㎜幅のハンドルは、ちょうど車体を押さえ込みやすい位置にグリップがくる。身長170cm/体重70kg

 

 

シート高は 835mm とやや高めだが、両足のツマ先が接地。シートがかなり細身に作られているため、足を真下に下ろせている感覚だ。ハンドルまでの距離はやや遠く感じ腕が伸び切っている。走行時は自然とやや前傾姿勢になるので多少ヒジが曲がる体勢にはなる。小柄な人なら場合によってはハンドル位置の調整がオススメかも。身長155㎝/体重46㎏

SPECIFICATIONS

●全長×全幅×全高:2,075×820×1,130(㎜)●軸間距離:1,405㎜●シート高:835㎜●車両重量:188kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒・688㎤●最高出力:54kW(73ps)/8,750rpm●最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6,500rpm●燃料タンク容量:13L●燃費(WMTC):24.6㎞/L●タイヤサイズ:F=120/70ZR17・R=180/55ZR17●価格:100万1,000円

 

ETCプレゼントキャンペーン実施中!

XSR700の新車購入&登録で、今ならETCがプレゼントされるキャンペーンが9月30日まで実施中! ETC車載器はアンテナ分離型タイプで、カードを差し込む本体はシートの下などのスペースに格納し、アンテナとインジケーターをハンドル等に取り付けるタイプ。ハンドル周りがシンプルなXSR700にもピッタリ! 気になる人はキャンペーン詳細ページから最寄りのショップをチェックしてみよう。

期間:2025年7月8日(火)~9月30日(火)
対象モデル:XSR700(型式:RM22J/RM41J)
内容:キャンペーン協賛店で期間中にXSR700を新車購入・登録した方に、二輪用ETC車載器をプレゼント。
ETC製品詳細:二輪車用ETC車載器 アンテナ分離型 JRM-21(ETC2.0)/2万7,500円

条件、備考

・対象となるのは協賛店で保証書NO.が付与された新車を購入・登録した場合のみ

・ETC本体のセットアップ費用や取付工賃は別途必要

・協賛店の検索や詳細条件については、ヤマハのキャンペーンページを確認

XSR700 ETCプレゼントキャンペーン詳細

 

XSR700 ヤマハ製品ページ

 

CONTACT

問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc

 

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