YAMAHA XSR700ABS

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
189
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

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※公開中の誌面内容はNo.189(2017年12月22日)発売当時のものになります

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並列3気筒エンジンを積んだMT-09の派生形であるXSR900に続き、XSR700が登場。もちろんベースはMT-07。このコンポーネントでおもしろくないワケがない!

文:谷田貝洋暁/写真:武田大祐

 

待望の700版XSRが登場!

オーセンティックとはいったいナニモノなのか?

数年前からヤマハのホームページや製品リリースなどでたびたび見かけるようになった“オーセンティック”という言葉。XSRシリーズをはじめとするネオ・レトロなスタイルのオートバイに対して、「オーセンティックなスタイリングを追求しました…」なんて感じで使われるのだが、この横文字の意図するところがわかるようでわからない(笑)。辞書を開いてみれば、“正統、本物、信頼”といった意味を持つらしいが、ヤマハの引用の仕方を観察してみれば、“リアル”という意味とは違い、歴史の積み重ねがあったり、金属や革といった普遍的な素材そのもののよさも含まれるようだ。

 

さて今回の主役であるXSR700をみてみよう。ベースとなったのは“10年に一度の名機”と…僕が勝手に言っているMT-07。688㏄のエンジンと車体のバランスもよく、コーナリングでは見ただけでそちらにスッと曲がってくようなヤマハ・ハンドリングが楽しい。…しかもそれが交差点で楽しめるすばらしいマシンである。このMT-07をベースに、くだんのオーセンティックなイメージを取り入れたのがXSR700というワケだ。

 

ヤマハに限ったことではないが最近、ネオ・レトロ系のモデルのリニューアルや刷新が二輪業界のトレンドだ。というのも2017年はユーロ4という新しい排気ガス規制に准ずる規制強化で、空冷エンジンを搭載したモデルが次々姿を消すことになった。SRのようなクラシック系はもとより、ドラッグスター系のアメリカンや、XJR1300といった空冷ネイキッドまで影響が広がっている。

 

困ったのは僕らユーザーだ。初心者、ベテランに関係なくいつの時代においても“バイク、バイクしたウエアで走りたくない”というユーザーが一定数いるものだ。これらのライダーは、アメリカンやレトロといったウエアを選ばないマシンに、革やコットンといった素材のウエアを合せたり、カジュアルなスタイルでバイクライフを楽しむことが多いのだが、空冷系エンジンが絶滅してしまってはそれもかなわない。

 

そこで各社は、カジュアルなスタイルが似合うバイク造りにやっきになっている…、というワケだ。ただひとくちに“カジュアルなスタイルが似合うバイク”といっても、空冷エンジンという、トラディショナルなスタイリングを作り出す大きなファクターが使えなくなると、これがなかなか難しい。

 

あるメーカーはエンジンを“空冷風”の外観をたもちながら巧みに水冷化してトラディショナルなスタイリングを保持。またあるメーカーは、水冷化を真っ正面から受け止め、最新の機能や性能を取り入れながらも、どこかトラディショナルで懐かしい雰囲気のバイクを創出する道を選んだ。

 

とくに後者の手法はメーカーによって千差万別。カワサキのZ900RSも、トラディショナルと水冷エンジンを融合させたひとつの答えだろうし、ホンダのレブルなんかもアメリカンに代わる新しい形だ。

 

さてXSRシリーズに話を戻そう。ヤマハとして“水冷エンジンではトラディショナルなバイクが作りにくい”問題に真正面から取り組んだ結果がこのXSRシリーズというワケだ。水冷エンジン、モノショックサスペンションとパーツパーツごとに見て行くと、最新のオートバイなのだが、全体を俯瞰してみるとどこかトラディショナルで懐かしく、着用するウエアも選ばない印象を受ける…。見事にクルーザー、レトロの不在が空けた穴を埋めている。つまり、ヤマハの言う“オーセンティックなスタイリング”とはきっとそういうことなのだろう。

 

XSR700のスタイリング

 

MT-07とは違う落ち着きある走り

※記事の内容はNo.189(2017年12月22日)発売当時のものになります

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