時代の蓄積

「ミスチル」ことMr.Childrenが、デビュー20周年を迎えたそうですね。ボクはあまり音楽について詳しいワケではありませんが、ボクら世代にとっては、まさに青春時代とともにあったバンドですから。アルバムも何枚か持ってますし、カラオケでも定番だし、ヒット曲を聴けば当時を思い出すことができます。「ミスチルも、意外と長いんだよなぁ…」と、ニュースを読んでしみじみ思ってしまいました。

さて、活動期間が長いということは、歌詞にも時代を感じる要素が多いということ。たとえば93年に発売されたアルバム『Versus』の中には『my life』という曲があるんですが、この曲の歌い出しは『62円の値打ちしかないの? 僕のラブレター』だったりします。今の高校生とかにしてみれば「何のこっちゃ? 62円ってのはどっから出てきた数字?」という感じでしょうね(笑)。えぇと、若い人のために説明しますと…。当時はですねぇ、今のような通信環境なんてまったく整っていなかったわけです。離れている人とコミュニケーションするときは、電話(しかも固定電話)。もしくはポケベル(知ってる?)。メールなんてモノはなかったわけです。そんなわけで当時は「便せんに文章を書き封書でラブレターを送る」という文化も、かろうじて残っていたんですね!!

当然ながら封筒には切手を貼らないといけないのですが、今の封書は80円で送れますよね。しかし当時は「62円」だったのです! これでようやく、歌詞の意味がわかったのではないでしょうか。歌い手は「僕のラブレターの価値なんて、せいぜい切手代くらいかも」と嘆いているわけですね。

その他に時代を感じる歌詞といえば、たとえば96年にリリースされたシングル『マシンガンをぶっ放せ』。この曲の中には『あのニュースキャスターが人類を代弁してしゃべる また核実験をするなんて一体どういうつもり?』という歌詞が出てくるのです。これね、実は当時フランスが核実験をやったんですよ。世界中の反対を押し切って核実験を強行したことが盛んに報道されたんですが、歌詞はそれに由来しているわけです。一般的にフランスに対するイメージというと、芸術とかフランス料理とか、優雅で穏やかで平和な感じですけど「核実験を強行した核兵器保有国なんだよなぁ」なんてことも、この曲を聴くたびに思ったりします。

また同じ曲の中に『毒グモも犬も乳飲み子も…』という歌詞が出てくるんですが、これも実は世相を反映していて、実は当時、本来日本では生息していない「セアカゴケグモ」という毒グモが見付かった事件があったんです。もともとオーストラリアに生息しているクモなんですが、何かの輸入品にまぎれて日本に来てしまったのでしょう。調査してみればゾロゾロ見付かり「日本で定着してしまっている!」というニュースがパニック的に報道されました。かまれたときの毒性はそこそこあるようで、オーストラリアでは死亡例も確認されているとか(ただ、日本での死亡例はナシ)。考えてみればその後「完全な駆除に成功した」というニュースはありませんし、今では日本の自然環境にすっかり定着しているのかもしれません。そんな不安も、曲を聴くと思い出したりします。

いろいろ例を挙げましたが、ともかくこういう「時代を感じる蓄積がある」ということは、とてもすばらしいことだと思います。古い歌詞を見ていると、現代とのギャップに笑ってしまう…ということももちろんあるんですが、でもね。やっぱりこれはすばらしいことですよ。歴史の浅いバンドには、どうやったってできないことですからね。解散→再結成みたいなこともなく、第一線で活躍し続けているというのは、やっぱりすごいことだと思います。

タンデムスタイルは2010年に10周年を迎えましたが、まだまだ「たかが10年」です。これからも20年30年と歴史を積み重ね、世代を越えて愛される雑誌でありたい。それこそ、古い誌面を見ると現代とのギャップに笑ってしまうような、そんなアニバーサリーイヤーが迎えられたらなぁと思いました。

マンボサイトー

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マンボサイトー

「マンボ」というニックネームはマンボウ似であることから名付けられ、当初はかなり嫌がっていたものの、最近ではそれほど気にならなくなってきた。ビッグバイクよりも中小排気量 の方が好き、人気車種よりもマイナー車の方が好き、というあまのじゃくな性格の持ち主でもある。

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