アクセルの開け始めのフィーリングが大きく変わる “スロットルワイヤー”
本記事ではスロットルの操作感、つまりアクセルを回したときのワイヤーの動きの調整方法を紹介するぞ。内容は“遊び”の調整がメインになるけれど、これをうまく合わせてやることでアクセルの開け始めのフィーリングが大きく変わる。とくに発進時のアクセルワークが苦手だという人は、ここを調整することで改善できることもあるので、愛車のアクセルの遊びがどのくらいなのか チェックしてみよう。
使用する工具
ロックナットとアジャスターは異なるサイズが使われていることが多く、大変そうに見えるけれど、同じサイズのレンチを2本持っている人は意外と少ないもの。本記事の例として取りあげたMT-25は8㎜と10㎜のオープンレンチを使用
アクセルの“遊び”って?
アクセルグリップを回すと最初は軽く、そのあとに重い手応えを感じるハズ。この軽い部分が“遊び”だ。これもクラッチワイヤーと同様、つねに引っ張られた状態にならないようワイヤーを少し緩めてあるために生じる
遊び分はアクセルグリップを回してもエンジンは反応しない。そのため遊びを少なくすることでアクセル回し始めのダイレクト感を高めることができる。これはライダーの好みで乗りやすさ重視で調整すればいい。ただし、遊び0の状態からさらにワイヤーを張るのはNG。グリップを回していなくても回転数が上がることもあるし、つねに強いテンションをかけることはワイヤーや各部の劣化を早めてしまうからだ
アクセルを回すとどうなる?
アクセルグリップを回すと中のワイヤーが引っ張られ、エンジン後方にあるスロットルバルブが開く。ここが開くことでエンジンに送り込まれる混合気が増え、エンジン回転数が上昇するのだ
1. ワイヤーの張り具合を調整
アクセルグリップの根元付近に伸びているケーブル。この中に通っているワイヤーの張りを調整することで遊びの量が調整可能。MT-25はアジャスターがゴムパーツで覆われている
2. ロックナットを緩める
ゴムパーツをめくるようにスライドさせるとロックナットとアジャスターにアクセスできる。写真のようにオープンレンチを2本使って手前のロックナットを緩める
3. アジャスターを回す
アジャスターは片手で回せる。このときに空いた手でアクセルグリップを軽く回しておくとワイヤーがどちらに引っ張られているかがよくわかる
4.ロックナットを締める
好みの位置にアジャスターを合わせたら、最後はロックナットを締めて完成だ。あとはエンジンをかけてアクセルレスポンスの確認をしよう
ココがポイント!
ハンドルを切って確認
遊びを少なくした場合は、ニュートラルのままエンジンをかけ、ハンドルを左右に目いっぱい切ってみよう。場合によってはこれだけでエンジン回転数が上がることもある。めったに起こることではないけれど、遊び調整とセットで覚えておきたい作業だ
※工具の扱いや調整に自信がない方は、バイクショップなどに相談することをおすすめします。
ワイヤーがないモデルもある
トラクションコントロールや走行モード切り替えを備えたモデルの中にはアクセル開度に対してスロットルバルブの動きを電子制御しているモノも。そのためワイヤーで物理的に引っ張る必要がなく、代わりに電子信号を送る配線が組み込まれている
一度調整したらオシマイ、ではない
新車の状態だと“アクセルの遊び維持”はアクセルの開け始め量を調整するものという認識で問題ないけれど、長年乗り込んでいくとワイヤーが伸びてしまったりパーツにガタが生じて遊び量が増えることがある。この増加量は何年もかけて数mmというレベルだけれど、ひんぱんに調整するポイントではないためつい見落としがちだ。これはクラッチワイヤーも同様で、走行距離が多くなったバイクはワイヤー類を点検しておこう。