冬場の暖機はエンジンだけではない!タイヤの暖機も意識しよう

バイクのタイヤ表面を触って温度を確かめている様子

タイヤを収縮させて内部の空気から温める

バイクに乗る前には暖機運転を行なう、ということはよく知られているが、これはエンジンだけの話だと思っている人も多いだろう。しかし、冬場はとくにタイヤの暖機にも注意しよう。

タイヤは冷えていると性能をフルに発揮できない。走っていれば自然と路面との摩擦によって温まっていくが、冬場は当然ながらほかの季節よりも温度が上がりにくくなる。そのため、いつも以上に意識してタイヤを暖機することをお勧めしたい。タイヤが正常な機能を発揮できないとコーナリングでも十分にグリップしないし、場合によっては走り出してからの最初の信号で、ブレーキングと同時に直線でも滑ってしまった、なんてこともあり得る。

 

ではタイヤの暖機とはどうすればいいのか? まずはゆっくりと走り出す。そして直線の場所で低速のままタイヤをつぶすイメージでしっかりブレーキングし、またゆっくり走り出す。そしてまたブレーキング。これをしばらく行なう。こうやってタイヤを何度も収縮させることで内部の温度を高めて、ひいては表面温度を高めることでタイヤが性能をフルに発揮できる温度域まで上げるのだ。

 

端から見れば、何もない場所で加速とブレーキングを繰り返しているように見えるかもしれない。というか、まさしくそのような動きをすることになるので、できれば後続車などがいない場所で行なうようにしたい。

バイクをゆっくり走らせている様子

バイクをゆっくり走っている状態からじわっとブレーキング

横から見たらだいたいこんな感じで、ゆっくり加速してはブレーキングの繰り返しになる。このときに重要なのはタイヤを路面に押し付けるという意識。ジワリと押し付けるような動きを目指そう。タイヤが温まってもいないうちにガツンとしたブレーキングは厳禁だ

暖機が完了したかは、タイヤ表面を触ってみてほんのりと温かみを感じたらOKだ。

 

なお、レースなどでウォーミングラップ中やセーフティカー導入時にバイクやクルマが蛇行させていることがある。そして、あの蛇行こそがタイヤを暖機するためにもっとも有効な手段だと勘違いしている人も非常に多い。では本当にあの蛇行でタイヤを暖機しているのか? じつは、レースマシンはスタート前にタイヤウォーマーという専用器具を用いて、タイヤの温度を80度くらいのかなり高い温度まで温めてから走り出す。しかしレースマシンのタイヤはレーシングスピードで走り続けないとタイヤの温度がどんどん落ちる。そこで、蛇行して温まったタイヤの動きを確認しつつ、タイヤが冷えすぎないよう少しでも熱を保持させるための動きでもあるのだ。

 

そもそもの話、タイヤが温まっていないのに蛇行すれば、その瞬間にスリップ・転倒してしまうこともある。正しくタイヤを温め、安全な状態にしてから走り出すことを覚えておこう。

 

レースのウォーミングラップ
ウォーニングラップでゆっくり蛇行しているのは、ある程度まで温まったタイヤを冷やさないようにしたり、さらに温めるための動作。冷え冷えのタイヤをイチから温めているわけではないので、むやみにストリートで真似してもタイヤの暖機にはならない。むしろ転倒リスクが高まってしまうのだ

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