冬本番!バイクの衣替えはお済みですか?

寒い時期も走るならば、気温に合わせて車体にも手を加えることが必要だったりする。夏場と同じ状態のままだと調子が悪くなるだけでなく、パーツにダメージを与えて、場合によっては修理費が高くついてしまう、なんてことも…

暑い!・寒い!をバイクも感じているのだ

バイクは機械だから人間と違って“寒い!”とか“暑い!”なんて関係ないよね、と思っていたりしないだろうか?じつは意外と温度に対してシビアだったりするのだ。

そのわかりやすい例がタイヤだ。とくにスーパースポーツモデルに装着されているハイグリップタイヤと呼ばれるようなタイヤは、ガンガン走ってタイヤ自体の温度が温まった高い温度域でのグリップをよくしてあるため、低い温度だとグリップ力が低い(ちなみにガンガン走ったタイヤはかなり温まっているので、峠道を走り終えた直後のタイヤを触ってみるとビックリするかも)。そのため寒い日、出発した直後に急制動ですっ転んだり、急加速しようとしてリヤタイヤが空転して転倒なんて話がよくあるのだ。だいたいにおいて、車種によってはメーターにエンジンの温度が(水温や油温)表示されているのも、ライダーにある程度の温度管理をしてほしいからである。

というわけで、ここでは冬場に向けて、より車体をベストな状態で走れるように注意すべき点をピックアップしたい。

エンジン

普通にツーリングで乗っているぶんには、まずエンジンのことなんて気にかけたりしないだろう。ただ、暑い日にずっと走り続けていると、なんかイマイチエンジンの元気さがなくなった気がするなんて、変化を感じ取ることがあるかもしれない。そうエンジンも、よ~く見れば温度に対していろいろ反応しているのだ。そしてお風呂の温度じゃないけれど、エンジンにとってもちょうどいい温度というのがあるのだ。その温度にたもつために、車種によってはエンジンを冷やすためのオイルクーラーやラジエターといった装置が付いている。とくにカスタムした車両なんかだと排気量を上げて、それに合わせて大型のラジエターを装着したりしているけれど、冬場はその大型のラジエターだと冷えすぎてしまうので、ラジエターの一部をテープでふさぎ、冷却効果を減らす工夫をするなんてことも。また、こだわるのなら冬場と夏場でエンジンオイルの粘度を変えて、エンジンがベストな状態になるようにするのもアリだろう。

タイヤ

身近なところにあるゴム、たとえば消しゴムなんかを暖かいところと寒いところで触り比べてみてほしい。暖かいところに比べて寒いところのほうが、硬い触り心地のはずだ。これ、バイクのタイヤも同じで、外気温が寒くなればそれだけグリップ力が低くなる。そうならないように、濡れた路面や凍結路面での摩擦力が高く維持でき、湿度による硬度変化が少ないシリカのような素材を混ぜ合わせているのだ。ほかにも用途に合わせていろいろな素材を配合している。

ということはそれらをたくさん入れれば、スーパーなタイヤできちゃうかもと思うかもしれないけれど、タイヤだって大きさは決まっているので、当然混ぜられる量だって限界がある。というわけで、タイヤメーカーもツーリング用からスポーツ向けといったように数種類のタイヤをラインナップしているのだ。

で、寒い季節で一番注意しなければならないのが、1,000㏄クラスのスーパースポーツ車に乗っている人たちだ。そういった車両は、購入時に付いてくるタイヤがサーキット走行メインで公道も走れますよレベルのものだったりする。そういったタイヤは、熱をもった時に、ベストな性能を発揮できるように作られているので、寒さに弱い傾向なのだ。なので、そういった車両に乗っているならば、冬場は寒さに強いツーリング向けのタイヤに履き替えることも冬支度としてありかもしれない。

 

クーラント

ラジエターの中を流れている液体を冷却水というのだが、この液体には凍結を防ぐため不凍液を混ぜてあるのが一般的で、ロングライフクーラント(LLC)と呼ばれる。濃度によって凍結しない温度が変わってくるので、寒いところを走るのであれば、濃度を高めてあげるといいかも。

ラジエターの中を流れている液体を冷却水というのだが、この液体には凍結を防ぐため不凍液を混ぜてあるのが一般的で、ロングライフクーラント(LLC)と呼ばれる。濃度によって凍結しない温度が変わってくるので、寒いところを走るのであれば、濃度を高めてあげるといいかも。

キャブレター

キャプレター仕様の車両に乗っている人なら、夏場と冬場でセッティングを変えることで、ベストなコンディションを維持することができる。負圧式のキャブレターの車両ではさほど感じられはしないけれど、強制開閉式だとその差はハッキリと感じられるはずだ。キャブレターのセッティングは、セッティングパーツを交換して走ってみて感覚をチェックして、再びパーツを交換して…、という地道にチェックする作業なので、ハマれば楽しいだろうし、面倒に感じる人もいるだろう。そんな人は、セッティング請け負ってくれる業者に丸投げするなんてこともできるぞ。

キャブレターのセッティングパーツのイラスト。アクセルを全閉から全開までの間に、4つの調整パーツがあるのだ。そりゃ面倒に感じるのもムリはない。ちなみにインジェクション仕様だと、こういったセッティングをパーツを交換して行なうのではなく、コンピューターでできてしまうのだ

※本記事はタンデムスタイルNo.224(2020年11月24日発売号)に掲載された内容を一部抜粋・再編したものです。

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