SUZUKI ADDRESS125

SUZUKI ADDRESS125 走行

アンダー400 No.81掲載車両(2020年3月6日発売)

長年通勤快速として愛されてきたアドレスV125。Vがとれてアドレス125となったのが2018年のこと。もちろん車名が変わっただけでなく、いろいろな変更を受けているのだ。現行モデルの実力を紹介しよう。

文:淺倉恵介/写真:関野 温

質実剛健な作り込み模範的なコミューター

熟成を重ねてたどり着いた上質な乗り味を楽しめる

その昔シグナスXを足に愛用していた時期があった。手ごろなサイズ感でほどほどのパワー、なかなかいいバイクで気に入ってもいたのだが、ある日その想いを吹き飛ばすマシンと出会ってしまう。それが、初代アドレスV125だった。

 

アドレスV125の先代モデルにあたるのは、アドレスV100になる。V100は2ストローク50㏄の車体に、そのまま2ストローク100㏄エンジンを搭載した“コンパクトで速い!”がウリのマシンだ。これはまた別の話になるが、シグナスXの前はアドレスV100に乗っていたので、どんな走りをするかはよく知っている。アドレスV125はエンジンが4ストローク化された別モノとはいえ、コンパクトな部分はキープコンセプトで、しかも速さもしっかりと引き継いでいた。通勤中のシグナルGPでは、何度煮え湯を飲まされたかわからない。と、いうか、勝てた覚えがない。

 

SUZUKI ADDRESS125

 

そんな個人的な理由もあり、現行のアドレス125の速さが気になっていたのだが、今回ようやく走らせることができたというわけだ。その期待に満ちたファーストインプレションがどうであったかというと…。“思ったほど速くないなあ”、というもので少々拍子抜けした。けれど走り込んでいくと、その印象が早まった勘違いであったことに気付かされたのだ。

 

確かに、エンジンに過激さはない。だが、おそろしくスムーズで、実にスロットルを開けやすい。レスポンスはおだやかで、回転上昇にも俊敏さを感じないが、ちゃんと欲しいだけの加速をしてくれるし、しっかりと高回転域まで回りきる。これならば、ゼロ発進で躊躇なく全開にできる。ミッションのセッティングも絶妙で、クラッチミートから車速が上がりきるまで、フラットトルクをたもったまま、キレイに伸びていく。速さは感じさせない。だが、実質的に速いのだ。

 

ハンドリングもニュートラルで、一切のクセがない。車体重量は重めに感じるが、その重さをうまく活かしているようで、落ち着きのあるハンドリングだ。これまた好印象。コーナリングも安心感が高い。ホイールは、フロント12インチ・リヤ10インチと、大径化が主流のトレンドからは少し外れた構成だが、車体のまとめあげ方は見事というほかない。

 

乗り心地もなかなかだ。小排気量モデルで一番コストが抑えられていると感じる部分がサスペンションだ。他のバイクでは大きめのギャップを踏んだとき、リヤの突き上げに顔をしかめるような場合も、アドレス125は衝撃をおだやかにいなしてくれる。125㏄のスクーターに高級車のようなラグジュアリー性を求める人は少ないだろうが、うれしい要素だ。

 

アドレス125は、派手さはないが基本性能をしっかりと高めた上質な走りが持ち味。“日常の足とはどうあるべきか?”という問いに、スズキが真面目に回答した1台だ。

 

SUZUKI ADDRESS125のディテール

GOOD POINT
SUZUKI ADDRESS125 リヤキャリア
コミューターとして欠かせない装備がリヤキャリア。アドレス125のキャリアは、質実剛健なスチールパイプ製。デザイン的なおもしろ味はないが、強度やサイズといった実用性の高さはすばらしい。感心したのが、トップケース装着への配慮だろう、最初からボルト穴まで開けられている。これは便利だ

 

SUZUKI ADDRESS125のソフト面をチェック

乗車姿勢
SUZUKI ADDRESS125 乗車姿勢
身長163㎝/体重57㎏
車格に見合って、ライディングポジションも小さく収まっている。大柄な人だと窮屈に感じるかも。コンパクトなところがアドレス125の大きなセールスポイントなのだから、致し方ない部分か? ステップボードは広いが、位置はやや高いという印象だ
足つき性
SUZUKI ADDRESS125 足つき
シート高は745㎜と、クラス屈指の低さ。意外に左右のボリュームがあるので、数値から想像するほど足つきはよくないが、それはあくまでスペックからの印象と比べてのもの。身長163㎝でも、しっかりと両足のカカトまで接地させることができた
取りまわし
SUZUKI ADDRESS125 取りまわし
小回りが利くのは、駐車場所から引っ張り出すのに有利に働く。車重が取りたてて軽いわけではないので、押し歩きの軽さは平均点。センタースタンドの重さも、ごくごく普通のレベル。車体後部の幅が広めなので、押し歩きのときに、足が当たることがあった
Uターン
SUZUKI ADDRESS125 Uターン
コンパクトな車体は、小回りが大の得意。スムーズでフラットなトルク特性と、おだやかなレスポンスはUターン時の大きな武器になってくれる。リヤブレーキを併用した方がより安定はするけれど、スロットル操作だけでも不安なく旋回することができた

 

SUZUKI ADDRESS125でタンデムランチェック

SUZUKI ADDRESS125 タンデム走行
ライダー:栗栖
後ろに人が乗ると、さすがに安定性は落ち、パワー不足も感じるのだが、排気量と車格を考えれば及第点。ここでも、おだやかなスロットルレスポンスが効果を発揮し、タンデマーに気をつかわず加減速することができた
タンデマー:伊藤
着座面がやや高めだが、前後左右ともゆとりがあり座り心地は良好。タンデムステップにゴムラバーが装着されているのも好感が持てる。グラブバーはパイプタイプだがつかまりやすい。クッション性がよく振動も伝わりにくい

ベテランオールラウンダー濱矢が斬る!

移動のツールとして申し分のない性能

低価格が魅力の普及型スズキスクーターというと、2ストロークのアドレスV100と4ストロークのアドレスV125を連想するが、同じアドレスでもこちらはボディがひとまわり大きい。Vシリーズのちょこまかと動ける利点がなくなった代わりに安定した走りと、長時間乗っても疲れにくい立派なシートを手に入れている。空冷2バルブ単気筒のSEPエンジンと組み合わされたCVTは、加速だけでなく燃費も考慮して、それほど高回転まで引っ張らずに変速して速度を伸ばす設定。乗り比べなければ“足に使うとしたらこれで十分だ”と思えてしまう。

SUZUKI ADDRESS125のスペック※〔 〕はフラットシート仕様

全長×全幅×全高
1,900×685×1,135(㎜)
軸間距離
1,285㎜
シート高
745㎜〔760㎜〕
車両重量
109㎏
エンジン型式・排気量
空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒・124㎤
最高出力
6.9kW(9.4㎰)/7,000rpm
最大トルク
10N・m(1kgf・m)/6,000rpm
燃料タンク容量
6ℓ
タイヤサイズ
F=90/90-12・R=100/90-10
価格
22万5,500円〔23万1,000円〕(税込)

SUZUKI ADDRESS125 製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
スズキお客様相談室
電話番号
0120-402-253
URL
https://www1.suzuki.co.jp/motor/

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