排気量125㏄免許取得、最短2日が実現

教習上限を緩和し、 最短2日で

排気量125㏄免許が最短2日間で取得できる道が開けた。このことは昨年8月号のタンデムスタイルでも紹介したが、いよいよ現実のものになる。警察庁はこの道路交通法施行規則の一部改正について、5月8日まで意見聴取を実施している。何が変わるのか、懸念されることは何か?

意見募集終了後6月上旬、規則改正

免許取得までの教習期間が短縮されるのは、「普通二輪免許(小型限定)」、排気量125㏄までのATに限られる。しかも教習時点で普通免許を持っていることが条件だ。5月8日まで国民からの意見を募集し、その後1ヶ月を目途に規則改正する。普通免許取得と同時取得がしやすくなるほか、50㏄バイクからの乗り替えをねらうライダーに役立ちそうだ。

 

ただ、緩和策を歓迎する空気とともに、すでに免許を持っているライダーからは短縮しても大丈夫なのかという異論も出ている。免許取得に苦労したベテランほど事故増加を懸念している。改正を主導した警察庁運転免許課・岩田康弘理事官は、今回の改正を説明する。

 

「教習水準は変化させない」

 

現状、排気量3000㏄のトラックを運転できる普通免許があったとしても、125㏄バイクを運転するためには技能教習8コマ(=時限)と学科教習1コマ、合計9コマの教習が義務付けられている。教習終了までに最低3日間は必要だ。今回の改正では、これが2日間で取得できる。3日かかる教習を2日に短縮できた理由は何か。

 

「上限部分を、休憩時間をはさんで1日合計4時間までとして、最短で2日で取得できる選択肢を提示した」(岩田氏)。

 

技能教習8コマは基本を学ぶ第一段階3コマと応用走行を学ぶ第二段階5コマで構成されている。1日に受講できる教習数は、第一段階は2コマ、第二段階は3コマまでで、両段階で3コマが限度。また3コマ受ける場合、連続できるのは2コマまでで、間に休憩をはさまなければならない。この条件だと、1日目は、どうがんばっても第一段階を2コマ受けたら終了するしかない。2日目に限度いっぱいの3コマをこなしても、3日目に技能3コマ、学科1コマをこなさければ終わらない。技能教習の1コマは50分だ。

 

詰め込み教習では安全運転の技量習得が難しいというのが、この規制の根拠だった。技能教習の1コマは50分。しかし、とくに1日目を2コマに制限することは、本当に必要なのか。それが今回の改正につながった。

 

新たに設定された条件は、1日に受けられる教習コマ数の限度を、それぞれ1コマ引き上げて、1日4コマまでを上限とした。3コマ以上の連続受講ができないのは従来どおりで、その場合は休憩をはさむ。

 

これで1日目に技能4コマ、2日目に技能4コマ+学科1コマで修了できるわけだ。

 

普通免許保持者の125㏄AT免許取得に必要な教習数

技能教習8コマ(第一段階/基本操作と走行 3コマ、第二段階/応用走行 5コマ)+学科教習1コマ。技能教習8コマのうち2コマは運転シミュレーターが必要。

 

【規則改正前 最短3日で修了する一例】

1日に受けられる技能教習の上限が第一段階2コマ、第二段階3コマまでなので、初日はどうしても2コマしか教習が受けられない。第一段階と第二段階あわせても1日で3コマが上限なので、2日目も技能講習は3コマしか受けられない。

改正後

【規則改正後 最短2日で修了する一例】

1日に受けられる技能教習の上限が、それぞれの段階で1コマずつ引き上げられたので、初日に4コマの技能講習が可能になる。第一段階と第二段階あわせて1日で4コマまで受けられるので、2日目にすべての技能講習と学科を修了することが可能になる。最短で教習を受ければ土日2日で取得が可能になる。ただ、この例示はあくまで最短なので、教習所の混雑度合いによって状況が変わる。

問題は教習所の対応、今も予約待ち

免許取得には、もう一つの課題がある。この規制緩和に踏み切る前に、運転免許課は教習所のシミュレーター教習に取得日数を延ばす一因があると指摘した。技能教習に定められた運転シミュレーター教習は1コマだが、この教習で危険予知を体験し、その後に学科教習でさらに理解を深める。だから、シミュレーターの前に学科を受けることはできないとまでされている重要な教習だ。

 

ただ、教習所は教習希望者に対応する台数の運転シミュレーターを導入してないことが多く、予約待ちで足止めされる。現行の最短3日では免許取得を実現できない状態で。平均取得日数は5日以上だ。そのためシミュレーター教習を実車教習で代用できる経過措置が講じられ、それが20年以上続いていた。今回の改正を前に、警察庁は今までより安い機器を開発・販売できるように、シミュレーターの要件を定めた型式指定を見直した。これにより次世代シミュレーターが登場したとして、この経過措置も今回の改正を機に打ち切る。教習所が必要なシミュレーターをそろえられる準備期間として改正公布から3年の経過措置がある。

 

しかし、これで免許取得が容易になるかどうかはわからない。経過措置が廃止されると同時に、教習所がバイク教習を打ち切ってしまうことも考えられる。そもそも必要なシミュレーターを購入するかどうかは教習所の経営判断だ。

 

「経営とのバランスで行なわれるので、規制当局が入る話ではない」(前同)

 

免許取得のための金銭的、時間的な負担は、安全と何ら関連しない。ライダーの無用な負担が減ることは、免許を持っているライダーとしても後押ししたいところだ。この改正が朗報となるための意見を警察庁は求めている。

 

「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」への意見提出はこちらから

警視庁では5月8日まで、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に対する意見の募集を行なっている。「小型二輪ATの取得日数短縮だけでなく、MT免許の短縮に関しても同様の改正をせつに望みます!」「現行の原付免許同様、小型自動二輪免許が普通自動車免許取得時に付帯にしてほしい」などと言った意見が国に対して行なえる

中島みなみ

written by

中島みなみ

63年、愛知県出身。記者。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。世の中に起きる割り切れない出来事と、世の中を動かそうとする主張を伺い記事に反映させていきたいと思っています。

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