恩師の面影

恩師の面影

先日、約半年ぶりの美容院に行った。担当の人が細いロットで巻いてくれたのでコントでよく見た「かみなりさん」のような仕上がりになってしまったが、まあこういうのもアリかなと何気なく鏡に映った自分を眺めていたら、ふと中学・高校とお世話になった美術の先生を思い出した。

 

先生は「せつこ先生」だから「せっちん」と呼ばれていた。いつもチリチリのソバージュ頭で、プードルのようにモコモコだった。たまに赤や緑の色付きだったこともあったかもしれない。ふくよかな体格でガハハと笑い、とても明るい先生だった。カウンセラーの資格も持っていたので生徒のカウンセリングなどもやっていたが、そこで話したことは他の先生にも筒抜けだと噂があったので私は一度も利用しなかった。が、当時はいろんな悩みや葛藤を抱え、それなりに苦しい時代を過ごしていた。話下手な私にとって、作品で表現できる美術の時間は唯一の「発言の場」であった。それを知ってか知らずかはわからないが、せっちんはとにかく私を一度も否定しなかった。「いいじゃん」「すごいじゃん」「おもしろいじゃん」それだけだけど、それが当時の私には心地よく、安心して作品に自分を出せた。今考えると私は作品を通してせっちんのカウンセリングを受けていたのかもしれない。おかげで在学中はなんとか心の均衡を保つことができた。それどころか、まさかの進路変更でこっちの道に進むきっかけとなったわけだから、相当な影響力である。残念ながら、私の卒業後すぐにせっちんは病気で他界してしまった。今の私の年齢と同じくらいか少し上だったと思う。いつも学校で見なれていたのと同じ笑顔の遺影の前で、同級生や先輩たちがたくさんの涙を流した。

 

あのせっちんと、いつの間にか同じくらいの歳になっちゃったんだなー、しかもヘアスタイルまで近くなって…(笑)。なつかしいな~なんだか先生にまた絵をみてほしくなっちゃったな。みなさんもあります(した)か? 安心して自分を出せる場所。

恩師の面影

チャンカメのプロフィール

タンスタ創刊号の〆切間際に入社した古株女子。現在は雑誌広告を中心に、たまにイラストなどの仕事をする。最近ZZR1100を手放し、愛車はSDRとリード100。

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