何も対策せずにバイクを長期保管(放置)するのはNG! 春に困らない冬眠方法とは

まったく対策を取らずに愛車を“ズルズル冬眠”させてしまうと、どんどん悲惨な状態に…

冬の時期、地域によっては積雪や凍結など、必然的にバイクに乗れなくなる人も多い。でもそういうライダーは、万全の対策で冬眠期間を乗り越える術を身に付けているもの。けれど、冬でも乗れる地域に住む、そこの君! 自分ではまったく冬眠するつもりはなくても、「今日は寒いからまた今度…」なんてズルズルとバイクを放置していない? まったく対策を取らずに愛車を“ズルズル冬眠”させてしまうと、放置した分だけ愛車は劣化して、どんどん悲惨な状態に…。そうならないためにも、最低限すべき対処はほどこしておこう! もちろん、その後で乗りたくなったら、いつでも乗っていいのだから。

 

バイクカバーは鉄則です!

愛車のコンディションをたもつうえで重要なのは保管場所。仮に手入れ状況が同じでも、屋外で雨ざらしなのと 室内保管では、バイクの状態に歴然の差が出る。ただし誰もが室内保管できるわけではないのだから、それぞれが用意できる場所の環境をなるべくよくしてあげることが大事。そして、誰でも使えて効果があるのが“バイクカバー”なのだ。

 

バイクカバー
雨風、ホコリ、鳥のフンなどなど…。バイクをさまざまな外敵から保護してくれるバイクカバーは必須。何はなくともまずカバーをかけてあげよう

保管環境チェック、あなたはどれ?

保管環境チェック、あなたはどれ?
A:空調が備え付けられた屋内で保管というのは、ほとんどのライダーにとって高嶺の花であり、あこがれ。バイクにとっては最高の保管環境
B:屋外ながら、屋根があって雨がしのげる。下がコンクリートで、なおかつカバーをきちんとかけていれば、かなり保管環境としてはいい方
C:たぶんライダーの中で一番多いと思われるのが、屋外でカバーをかけての保管というパターン。カバーをかけないよりは断然保管環境はよくなる
D:カバーもかけず、野ざらし雨ざらし。機械であるバイクにとっては一番劣悪な保管環境。こんな状況では愛車のコンディションは悪くなる一方

 

まずは汚れを落とすべし!

洗車汚れはバイクを劣化させる。放置すればするほど消耗品の寿命は縮まっていくし、付着した汚れは落ちにくくなる。せっかくバイクカバーをかけたって、すでに汚れた状態ではいい環境とはいえない。バイクシーズンに走って楽しんだ分の汚れを落とす意味でも、寒くなってバイクから足が遠のきがちなこのタイミングで、一度愛車をリフレッシュしてあげよう。

 

劣化を抑える グリスアップ&コーティング

愛車がキレイになったら、次はグリスアップ&コーティング。可動部やチェーン、ワイヤー類など、潤滑が必要な各部パーツに加え、車体全体にコーティングをほどこしておくことで、愛車を保護し、劣化を抑えることができる。これをやるとやらないとでは愛車のコンディションにとっても差が出るので、ぜひやっておこう。

POINT! 全体に使えるシリコーンスプレーが便利!

シリコーンスプレーは金属、プラスチック、ゴム部など、バイクのあらゆる部分に使えるので、日常メンテナンスはもちろん、冬眠させるときなどにバイク全体を保護することができるスグレモノ。

ココはNG!

シートやブレーキまわり、タイヤなど、すべると危険な箇所には絶対使わないこと! 

オイル交換は冬眠前がGOOD

しばらく乗らないなら冬眠前にオイル交換をしておこう。バイクを走らせて何度もエンジンを循環したオイルは汚れている。そんな汚れたオイルを入れっぱなしで放置するのはエンジンにとってあまりよくないこと。しばらく乗らないなら、バイクの外側だけでなく、中身もキレイにしてあげておくと、春に気持ちよく走り出せるよ。

ガソリンタンクは満タンで

ガソリンタンクが満タンでないとどうなるか。タンク内に空間があると、外部との温度差で内側に結露が生じる。そのまま放置しておくと、やがてその水分でタンク内が錆びてしまうし、ガソリンよりも比重の重い水分がタンクの底へ沈み、エンジンやキャブレターなどにまで悪影響をおよぼすことになる。それを防ぐには、タンクを満タンにして空間をなくし、結露を発生させないこと!

 

キャブ車は キャブレターの中にあるガソリンを抜く

愛車がキャブレター車の場合、一定期間エンジンをかけないで冬眠させる場合には必ずやっておきたい作業項目がコレ。定期的にエンジンをかけるなら必要ない。キャブレターはガソリンと空気を混合する場所なので、キャブレターの中にはつねにガソリンが入った状態。それを放置しておくと、ガソリンが劣化しキャブレターを詰まらせて機能しなくなる。作業自体は難しくないので忘れずにやっておこう。FI(インジェクション)車はそもそもキャブレターがないので不要工程だ。

 

手順1:フューエルコックをOFFに
フューエルコックをOFFにする
まずはフューエルコックをオフに切り替えて、タンクからこれ以上キャブレターへガソリンが入っていかないようにする

OFFがないモデルも…

コックにOFFがないモデル
車種によっては、コックにOFFがないモデルもあるので、その場合は“ON”のままでOK。右にある“PRI”にはしないように

 

手順2:キャブレターのドレンボルトをゆるめる
キャブのガソリンを抜く
キャブレターの下部に、ガソリンを抜くドレンがある。ドレンを閉めているドレンボルトを緩めると、中にたまったガソリンが流れ出てくる。ドレンから流れ出てくるガソリンはウエスなどで受けよう。完全に流れなくなったらガソリン抜きはOK。ボルトを再び締め付けて作業完了

 

POINT! エンジンかけっぱなしでもOK

この作業が面倒なら、コックをOFFの状態でエンジンをかけるやり方も。キャブレター内のガソリンを使い切ってエンジンが止まれば完了。ただし、コックにOFFのないモデルはこれができないので注意エンジンかけっぱなし

 

バッテリーのマイナス(ー)端子を外す

バッテリーのマイナス端子冬眠後にエンジンをかけようと思ったら、バッテリーが上がっていたなんて経験をしたことがある人もいるだろう。バッテリーはバイクとつないだままにしておくと、どんどん放電してしまうもの。放電を減らすために、バッテリーのマイナス(ー)端子を外して通電しないようにしておこう。ただし、定期的にエンジンをかけてあげるのであれば、外す必要はない。

※くれぐれもプラス(+)端子と間違えないように。ショートする危険があるので要注意だ。

バッテリーのマイナス端子をはずす
手順は簡単。端子を固定しているボルトを抜いて、マイナス(ー)端子を外すだけ。ボルトはなくさないようバッテリーに締め直しておこう

 

サイレンサーの穴をふさいでおく

意外と見逃しがちなのがコレ。しばらく動かさずにバイクを置いておくと、サイレンサーの穴から虫が入り、中に住み着いてしまうことがたまにある。春になってエンジンをかけようと思ったらうまくかからず、調べてみると穴から虫がウジャウジャ…。そんなことにならないよう、とくにバイクを屋外保管している人はぜひやっておこう。

サイレンサーの穴をふさぐ
サイレンサーを傷めないウエスなどを穴に差してふさげばOK。バイクに乗るときは、エンジンをかける前に取るのを忘れずに

 

タイヤの空気圧は10〜20%増しに

タイヤ空気圧チェックタイヤは乗らなくても自然と少しずつ空気が抜けていくもの。それを見越して規定値の10〜20%ほど多めに空気を入れて保管しておくのがセオリー。とくにタイヤを地面と接したまま保管する場合、タイヤはバイクを支えるパーツなので、規定値ピッタリにしておくと空気が抜けてきたときに地面と接している部分により負荷がかかってしまい、傷める原因になってしまう。

 

可能ならタイヤは浮かせたい

サイドスタンドでバイクを置いておくと、つねにタイヤの同じ部分に車重がかかった状態になる。その状態で一定期間放置しておくと、その間ずーっとタイヤの一部分に負荷がかかったまま。それが劣化のもととなるので、なるべくならタイヤは浮かせた状態で保管したいところ。

 

たまに接地面を変えるとベター
タイヤ接地面
サイドスタンドで保管する場合は、たまに前後のタイヤを回して接地面を変えてあげるようにしよう。一部分に負荷がかかりっぱなしになるのを防げるよ

 

乗りたくなったら… 必ず規定値に戻そう
走り出し
空気圧が高い状態ではタイヤのグリップ力は低下する。そのまま走ってしまうのはキケン! もし保管中に乗りたくなった場合は、忘れずに空気圧を規定値に戻してから走り出そう

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