HONDA VFR800X

特集エンジン大解説/実走編:4気筒

No.
203
特集エンジン大解説/実走編:4気筒

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※公開中の誌面内容はNo.203(2019年2月23日)発売当時のものになります

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HONDA VFR800X 走行イメージ

 

ヨーロピアンロードスポーツのVFR800Fと基本を共有しながら作られた類まれなるV型4気筒アドベンチャー。このエンジンを使うことにより、どのような走りを実現しているかを体感

文:濱矢文夫/写真:武田大祐

高回転&素早いレスポンス、ハイパワーを自在に操る

VFR800Xのスタイリング

 

強いアピールよりV4を活かしたまとまり

スロットルを開けるとドルルルルルルッっという音をあげ、押し出すトルクとともにすべるというより“ぬめぇー”っとした感じで加速する。ホンダのV型4気筒エンジンには360度クランクと180度クランクがあって、80年代後半に登場したレーサーベース車的な伝説のVFR750R、RC30などは360度クランクだったが、この機種に積まれているエンジンは180度クランク。トラクション性は360度クランクの方がいいといわれているけれど、こちらも立派な不等間隔爆発だから、変化が大きくなく、湧いてくるように出てくるトルク特性があり、早めに加速し始めても後輪が路面をつかんで前に進ませる。このフィールがとても心地よくて、コーナーを駆け抜けることをおもしろくさせる。

 

HONDA VFR800X 走行イメージ

 

連続で控えめに小太鼓を叩いている排気音は180度クランクならでは。退屈な話と思うかもしれないけど、要するに独特の音と、唐突ではなくフラットに出てくるトルク、確実にすぐれたトラクション性による走りが気持ちいいってこと。前のシリンダーと後ろのシリンダーが組み合わさる角度はエンジンの振動面でもメリットがある90度だから、高回転域でも不快になるような震えがなく、長い高速巡航でも疲れにくいだろう。この日はときおり雪が舞うような天気で寒かったが、手動で高さが変更できるスクリーンを一番上にして、標準装備のグリップヒーターを最大にしておけば快適。こうなるとハンドガードも欲しい。

 

ホンダのラインナップにある大型アドベンチャーモデルとしては、もう少し排気量が大きいCRF1000Lアフリカツインもある。実はそれのベーシックモデルと、これとの価格差は2万円ほどしかない。だが、その性能とねらいはまるで違う。アフリカツインはホンダアドベンチャーモデルの旗艦だけど、オフロード走行も考慮したサスペンションに大径21インチホイールでどんな道でも走れる、ワイルド系。VFRは、フロント17インチホイールでオンロードが主体と割り切って、街中やワインディング、高速という舗装路のシーンで、楽しく疲れにくく旅ができることを重要視したスマート系。

 

ピボットレス(一般的なフレームのようにスイングアームを取り付ける部分がない)アルミツインスパーフレームに、片持ちサスのプロアームが装着されていることによる剛性バランス、マスの集中化とか難しいことは置いといて、トリッキーな動きをせず、簡単に曲がれるハンドリング。フロント17インチのアドベンチャーには本格ロードスポーツのように旋回して加速する機種もあるけれど、これはもっと穏やか。プラスポイントを声高くアピールするのではなく、マイナスポイントをなくすようにしてライダーの負荷を取り除こうをしたようなまとまり。高速道路走行時のスタビリティも問題ない。

 

このエンジンにはハイパーVテックが搭載されており、低中回転域では2バルブで、高回転域で4バルブに切り替わる仕組み。そのおかげだろう、確かに低中回転域での扱いやすいトルク特性はいろんな場面で助けになり、前向きに評価できるドライバビリティがある。旅先には初めて走る高低差のある路地や、峠道があり、突然すべりやすい路面が現れるかもしれない。そういうときでもあわてず騒がずズンズン前に進めるコントロールのしやすさがこのV4アドベンチャーの魅力だ。

 

V型4気筒エンジンを80年代前半から作り続けてきて、豊富なノウハウがあるホンダらしい完成度の高いツアラーになっている。

マスの集中化だけでなく重心位置の最適化。

180°クランクの水冷DOHC4バルブ90°V型4気筒エンジン。メリットは並列2気筒と同じ幅にできること。問題はエンジン前後長が長くなり必要な前輪荷重が得られにくいこと。そのためにエンジンをやや前傾させるなど重心を前輪に近づけている。ヘッドにハイパーVテックを搭載しているのも特筆ポイントである。

 

HONDA VFR800X エンジン

 

次ページ:VFR800Xのディテール&足つきを紹介!

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※記事の内容はNo.203(2019年2月23日)発売当時のものになります

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