HONDA CBR250RR

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オーバースペックのクラスを超えた車体

やはり気になるのはAPS、ライドバイワイヤによるモード切り換えスイッチ。はやる気持ちを抑えてモードスイッチを押し、『スポーツ+』を選択する。『スポーツ』、『コンフォート』、『スポーツ+』という3種類あるモードのなかで一番スポーティな加速をするモードである。しずしずと走り出し、クラッチをつなぎ、そこからアクセルをグッと開けてみる。

 

「おおっ!?」思わず声が出た。パワーの出方が今までの4スト250㏄のどれとも違うフィーリングなのである。とはいえリッターバイクのようなあふれるパワーがあるわけでもない。気持ちより前にバイクが進む、そんな不思議な感覚がある。

 

これこそがAPS、ライドバイワイヤの効用だ。前項でAPSの構造の話をしたとおり、このCBR250RRにはアクセルワイヤーがない。アクセル操作をバイクが感じ取って電気信号化。その信号をフューエルインジェクションが受け取って、混合気の流入量をコントロールするバタフライバルブがモーターで動かされている。

 

そうすると何ができるか? アクセル操作量に対してバタフライバルブの開度が自在に設定できるようになる。

 

ワイヤー式で、アクセル操作量1に対して、同じく1だけ開いていたバタフライバルブが、電子制御になることで作動量を2にも、0・5にも自在に決められる。それどころか、アクセル操作に対して等倍ではない二次曲線的な開度で動かすことだってできてしまう。これがCBR250RRでいうところの『スポーツ+』のモードとなる。

 

アクセル量に対して、エンジンのフケ上がりがライダーの気持ちよりも少しだけ早く吹け上がる。その扱いにくさがパワフル感となってライダーに伝わるというワケだ。昔で言えば2ストエンジンの扱いにくさに対して、よく“脳みそが置いて行かれるような加速”なんて表現が使われたものだけど、それをあえて再現するとはおもしろいことをするじゃない(笑)。

 

一方、車体はというと、他の250㏄に比べて恐ろしく高いレベルでまとめあげられているのを感じる。

 

グリップの高いラジアルタイヤを履くことを前提にした硬めのサスセッティング、速度を乗せたコーナリングで破綻しないように作り上げたフレーム&スイングアーム。ちょっとやそっと攻めたぐらいでは、タイヤにかかるトラクションやフレームをしならす応力を感じながら走ることができないぐらい高い走行レンジを想定した車体だ。

 

「すげーな、CBR!」。なんて興奮しながら、目の前のコーナーを攻略することに集中していると、スピードメーターがものすごい数字を指している。

 

高い走行レンジを設定した車体で、コーナリングを気持ちよく曲がろうとすると、とんでもない速度を出すことになるのだ。だが、ここまでレベルの違う仕事をされると、今度はなんとかクサしたくなるのが人情である。

 

というのも、250㏄という排気量のオートバイに乗るライダーは、サーキットをメインに走りたいというライダーもなかにいるだろうけど、免許取り立ての初心者だっている。

 

そんなフツーの走行シーンで操る楽しさが感じられないぐらい、高い走行レンジに車体剛性を設定してしまっているように感じる。日本でいえば、もう完全に目線はJP250。レースで勝ちに行くことを前提とした骨格作りが行なわれている気がしてならないのだ。だから、公道で走るとなんだか持て余し気味になる。いやはや、スゴいバイクが現れたもんだ。

 

CBR250RRの内側を徹底解剖!

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https://www.honda.co.jp/motor/

※記事の内容はNo.183(2017年6月24日)発売当時のものになります

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