SUZUKI ADDRESS110

SUZUKI ADDRESS110 走行

アンダー400 No.81掲載車両(2020年3月6日発売)

長年、多くのライダーの通勤・通学のお供として愛されてきたアドレスシリーズ。このアドレス110は名前こそアドレスが与えられているが、デザインや車体構成は大きく異なる。その乗り味について触れていこう。

文:淺倉恵介/写真:関野 温

とてもユースフルでそのうえリーズナブル

ホイールが大径化してもアドレスはアドレスだ

アドレス110というバイクは、多くの人が完全なニューモデルと思っているようだがそうではない。ときは1990年代末期、大べストセラーモデルとして通勤ライダー達に絶大な支持を得ていたアドレスV100の上級モデルとして、空冷2ストローク113㏄のエンジンを搭載した同名のモデルが存在したのである! と、声を上げるようなことでもないし、実のところ今の今まで自分もその存在を忘れていた。

 

先代アドレス110は、アドレスV100と併売されていたが、値段が高かったのでビジネス的に成功したモデルとはいいがたい。装備も豪華でパワーもあり、性能面ではすぐれていたのだけれど、アドレスV100の手軽さと安さの陰に隠れた存在だったのだ。

 

で、現在、スズキにはアドレス125という人気モデルが存在する。原付二種クラスのアドレスは、20年あまりのときを経て、この令和時代、再び2モデルの併売となったわけだ。これは、新時代に覇権を唱えるべく、スズキが放った勝負手かどうかは知らないが、我々ユーザーにとって選択肢が増えるのは喜ばしいことなので、素直に受け入れよう。

 

さて、現行アドレス110だが、125とどこが違うのか? まず、価格が安い。125の税抜きメーカー希望価格が20万5,000円なのに対して、110は19万8,000円だ。冷静に考えると7,000円しか差はないのだが、20万円を切っていることのインパクトは大きい。そしてハード面での一番の違いは、前後14インチホイールを採用していることだといえるだろう。

 

SUZUKI ADDRESS110

 

一般的に、ホイールが大径な方が、安定性は向上し、路面状況が悪いときの走破性も上がる。まだ未舗装路が多く、舗装路でも路面の質が悪い、アジア圏向けのスクーターに、より大径なホイールが採用されているのはそれが理由だ。アドレス110の生産国はインドネシア。当然、現地でも販売されている車両なので、14インチホイールなのだ。ちなみにインドネシアでは派生モデルもあり、アドベンチャーツアラー的な仕様も存在する。そちらも日本導入されればおもしろいのになあと考えているのは余談だが。

 

このアドレス110、動力面で語るべきところはない。他の要素も、ブレーキはちゃんと効くものの突出した部分はない。ハンドリングはニュートラルで好印象だが、やはり特筆すべき点はない。じゃあ、ダメバイクかといえば、そんなことはない。むしろ、一度乗ってもらいたい1台。

 

エンジンはスムーズで扱いやすい。14インチの恩恵で安定性はすぐれているし、サスペンションは意外なほどしなやかに動き、乗り心地は良好。シート下のトランクスペースはアドレス125より大きい。使い勝手がよく考えられている。派手さや遊び心には欠けるが、とにかく真面目な作り込みが好印象。コニューターとしての完成度は高い。それがアドレス110です。

 

SUZUKI ADDRESS110のディテール

GOOD POINT
SUZUKI ADDRESS110 シート下収納スペース
シート下のトランクスペースは20.6ℓと、スペック上もなかなか大容量なのだが、形状がよく収納力はかなり大きい。フルフェイスヘルメットを入れても、まだ周りに余裕がある。最近のスクーターは、以前に比べてトランクの使い勝手が軽視されている気がするが、その点アドレス110は高評価

 

SUZUKI ADDRESS110のソフト面をチェック

乗車姿勢
SUZUKI ADDRESS110 乗車姿勢
身長166㎝/体重70㎏
ハンドル、シート、ステップボードの位置関係は良好。ライディングポジションは自然で、万人向けといえるもの。けれど、ステップボードの前後長が短く、左右幅もかなり狭い。足を乗せる位置がかなり限定されてしまうのはちょっと残念なところだ
足つき性
SUZUKI ADDRESS110 足つき
スペック上のシート高は755㎜と平均的な数値なのだが、足つき性はバツグンにいい。その理由は、車体がスリムで足をまっすぐ下ろすことができるからだ。ステップボードのサイドが、足に当たらないようにクビレさせたデザインも効果大
取りまわし
SUZUKI ADDRESS110 取りまわし
装備重量で99㎏と、かなり軽量に作られているので、取りまわしは軽々と行なえる。ホイール径が大きめなぶん、路面が荒れている場所でも押し歩きが楽。センタースタンドがけは、車体の軽さが効果を発揮して、これ以上ないくらいに軽い
Uターン
SUZUKI ADDRESS110 Uターン
最小回転半径は1.9mとかなりいいのだけれど、小回りはあまり得意ではない。だが、フルロックターンでもなければ、問題はないので、一般的なUターンは不安なく行なえる。車体が軽く足つきがいいので、万一のときも車体をとっさに支える自信がもてる

 

SUZUKI ADDRESS110でタンデムランチェック

SUZUKI ADDRESS110 タンデム走行
ライダー:淺倉
タンデマーを乗せると操安性がかなり落ちる。スピードを出したときはあまり気にならないのだが、低速域ではフラフラしてしまう。タンデム走行は快適とはいえない。車体の軽さが、悪い方に出てしまった感がある
タンデマー:横田
意外とタンデムシートが長いので、着座位置に余裕がある。グラブバーはリヤキャリアと一体なので手を後ろに伸ばす必要も。タンデムステップの位置は低くヒザの曲がりも浅め。何度かリヤショックからの突き上げを感じた

スポーツラン大好き濱矢が斬る!

ちょうどいい使い勝手の身近なスクーター

14インチの大径ホイールを採用した原付二種スクーターは、100㎏を切る軽さが特徴。そのため取りまわしやすく、駐車場の出し入れも楽チンだ。市街地で使うなら車体が軽いに越したことはない。そのため112㏄ながら加速もそれなりによく、ハンドリングも軽快だ。大径ホイールは路面からのキックバックにも強いので交差点などでも挙動を乱しにくい。フラットフロアながら前後長が短いのは、大径ホイールの宿命か。車両価格はリーズナブルだがディスクブレーキやリヤキャリア、サイドスタンド、インナーラックなどの装備も充実。必要なモノはすべて網羅してあるといってよい。通勤通学といった日々の使用はもちろん、フラッとカフェに行こうという気にもさせてくれる。

SUZUKI ADDRESS110のスペック

全長×全幅×全高
1,845×665×1,095(㎜)
軸間距離
1,260㎜
シート高
755㎜
車両重量
99㎏
エンジン型式・排気量
空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒・112㎤
最高出力
6.5kW(8.8㎰)/7,750rpm
最大トルク
8.6N・m(0.88kgf・m)/6,250rpm
燃料タンク容量
5.2ℓ
タイヤサイズ
F=80/90-14・R=90/90-14
価格
21万7,800円(税込)

SUZUKI ADDRESS110 製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
スズキお客様相談室
電話番号
0120-402-253
URL
https://www1.suzuki.co.jp/motor/

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