お店で買いたい

布団を新調した。なんだか夜中に目が覚めるようになり、起きると肩がこったり、腰が痛くなるようになってきたからだ。ちょっと調べてみたら、布団が“ヤレ”ている場合にそんなことが起きるらしい。…ってなワケで超有名布団メーカーのショールームをひやかしに行ってきたのだが、うーん、すごい。あんまり書いてしまうと広告になってしまうが、試したのは、綿ではなくスポンジタイプの点で支えるという、アレだ。

ショールームは実際に寝転んでいろいろな布団や枕を試せるようになっているのだが、その数と種類に驚いた。
「なんでも一緒じゃん?」なんて思っていたのだが、いやいやなかなかに快眠の世界も奥が深い。実際に寝転んでみると、硬さや圧のかかり方がまったく違い、値段がいい方がやっぱり寝心地も上質のような気がする(笑)。

しかも、お店の兄ちゃんのセールストークもなかなかイカしている。決してベテランというワケでもないし、どちらかというと、たどたどしいのだが、ちゃんと勉強して必死になっているのがすごくわかる。ひやかし半分で来ているコッチの質問もしっかりと理解したうえで答えたり、応えようとしているのだ。聞けば、自宅でもいろいろ自社の寝具を試しているという。
 
「ショールームでとりあえず試して、あとはインターネットで安いところを探して買えばいいじゃん?」なんて思っていたのだが、店を出るころには「この店であの兄ちゃんから買ってやりたいねぇ」なんて気持ちになっているから不思議なものだ。確かにインターネットでの買い物はラクだ。欲しい物が決まったら一番安いものを探して、ポンとエンターキーを押せば数日後には家に届く。その便利さを否定するつもりはない。

でも買い物って、買い手と売り手がいて、その間に商品がある。そういうアナログな方が“楽しい”と思うのは僕だけだろうか? やり取りのなかで、買い手に売り手の熱や気持ちが伝わったり、伝わらなかったりすることで、「安くてもここでは買いたくないな」と気持ちが変わったり、「よし、アンタの心意気を買った!」なんて気持ちよく買い物できたりもする。そんなものだと思う。

まぁ、それが営業さんの仕事なので、いいカモになっているだけかもしれないが、それでお客の財布のヒモを緩めるのだから大したものだ。というワケで買っちゃいました、何だかすごそうな布団。実際に寝てみると今までの布団がいかにヤレていたかがわかる。いやぁいい買物をしました。いや、させてもらったのか?

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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