街中だけで走らすのがもったいない原付二種スクーターNMAX

 

TMAXを頂点とするスクーターMAXシリーズの末弟である。2025年モデルで従来モデルよりエッジの効いたスタイリングになったこと、灯火類がこったデザインになったことで、スポーティさと高級感が増した印象だ。ちなみにMAXシリーズの証はセンタートンネル両サイドのブーメラン形状をしたカバーで、XMAX、TMAXにも同形状のカバーが付いてる。
エンジンは走りの楽しさと燃費・環境性能の両立を高次元で具現化するエンジン設計思想“BLUE CORE”のもと熟成が図られていて、メリハリのあるスポーティな走りも楽しめるフィーリングだ。低回転で十分トルクがあって、高回転ではVVA(可変バルブ)のおかげで伸びがある。だから走らせること自体が楽しいのだ。ブレーキもレバーをにぎり込んでいった時の効き具合がわかりやすいし、絶対的な制動力もある。さらに車体は安定感がありつつ、コーナーなどでバンクさせる際に、その安定感が邪魔することもない。街中からワインディングまで走らせたたけれど、原付二種としては大柄車体ながら、走りの面でほぼほぼ気にかかることはなかった。
シート下にヘルメットが入る深さの確保されたトランク(容量23L)があり、フロントのメインスイッチ左右にボックスと十分な積載性がある。さらに専用アプリ“Yamaha Motorcycle Connect(Y-Connect)”を入れたスマートフォンと連携すれば、電話やSNSの着信などをメーターで把握できるし、走行ログなどをスマートフォンに残すことができる。そう、使い勝手の面でもかなり充実しているのだ。
原付二種スクーターというと、街中の足的な使われ方が一般的だけれど、機能面と利便性が高いレベルでまとまっているNMAXは、ツーリングに使っても楽しめるモデルといえるだろう。
続いて、小柄な女性ライダー目線でのインプレッションをお届けしよう。

 

スロットルレスポンスがよくコントロールもしやすい

以前にもスクーターのインプレッションで触れたかもしれないが、筆者はスクーターに乗る機会がほとんどない。というより、インプレッションの仕事以外では進んで乗ろうと思うことがない。理由は明確で、“スロットルレスポンスが鈍い”とか、“バンクさせると何か擦りそう”など、MT車との特性の違いにどうしても馴染めず、いわゆる“食わず嫌い”をしているタイプだ。ただ、便利でラクな乗り物であることには間違いない。
今回試乗したのはヤマハのNMAX ABS。過去に旧型に乗った記憶もあるが、細かな印象までは覚えていないため、今回は新鮮な気持ちで率直なインプレッションをお届けする。試乗ルートはワインディングと街乗りが半々の構成で、多様なシーンを体験することができた。まず驚いたのは、エンジンのスムーズさ。とくにスロットルレスポンスは予想以上によく、ひねった瞬間に遅れなく反応してくれる。街中の発進もスムーズだし、流れの速い幹線道路でも加速に不満はない。むしろ余裕を感じるほどで、片側1車線の道路でのUターンもスロットル開度のコントロールがしやすく、取り回し性の高さを実感できた。

続いてワインディング。正直、スクーターはニーグリップができないため、コーナーでバンクさせて走るのには向いていないと思っていた。しかし、NMAX ABSはセンタートンネルが高く設計されていることで、ふくらはぎでしっかりと車体をホールドできる。そのおかげで、フラットフロア型スクーターよりもコーナリング時の安定感が高いと感じた。
さらに驚いたのがハンドリングの安定性だ。直進時はもちろん、ワインディングでバンクしながらのカーブでも、車体がグラつくことなく、倒し込みからライン取りまで自然にこなせる。スクーターらしからぬ軽快さと安心感が印象的だった。強いて気になった点を挙げるなら急な上りでの加速力。車体が軽量なぶん、平地での走りから“登り坂でもグングン行くはず”と思っていたが、22%の勾配の急坂を上った際には、伸びが感じられなかった。とはいえ、上りきれない印象はない。ギヤを任意で選択できないゆえ致し方ないことだろう。
トータルで見れば筆者のような小柄なライダーでも、どっしりと安定して乗ることができ、街乗りはもちろん、ちょっとしたツーリングにも十分使えそうだ。NMAX ABSは、初めてのバイクとしても扱いやすく、安心して遠出も楽しめる、そんな一台だった。

 

シンプルな反転液晶を採用したメーター。速度、オド、トリップ、時刻に加え、瞬間燃費や平均燃費も表示できる。スマートフォンとコネクトすれば、着信なども表示される。

アイドリングストップ機構が付いていて、そのオン・オフが右ハンドルスイッチボックスで行なえる。ハザードランプが使えるのも、ちょっとした停車時など何かと便利。

スマートキー仕様なので、キーをシリンダーに差し込むわずらわしさがない。スマートキー自体にもオン・オフボタンがあり、それを使えばセキュリティを高められるのだ。

メインスイッチはダイヤル式で操作は簡単。オープンの位置に入れたまま車体から離れるとアラームが鳴る。ダイヤルスイッチ下にあるボタンで、シートと給油口を開ける。

メインスイッチ左右にボックスがあり、右側はフタ付き。左側には600mlのペットボトルがラクラク収納でき、5V3AのUSB タイプC型のフタ付き充電ソケットが装備される。

ライダーとタンデマーの座る場所が段差でしっかりと分かれた一体型シート。前後に長いライダーシートは体格差に十分に対応し、ライディングポジションの自由度も高い。

容量23Lのシート下トランクは、フルフェイスヘルメットに加えてレインスーツ+αが入る余裕がある。前側左右にはヘルメットフックが装備されているから荷物満載でも大丈夫。

モデルチェンジでフロント同様ガラリと雰囲気が変わったリヤまわり。レンズ内で発光部分を分けるなど、こった作りで高級な印象を受ける。ウインカーの場所が斬新だ。

 

POSITION & FOOTHOLD

両足を下ろしてカカトまでベタ着き。停車時に不安になることはないし、またがった状態での取り回しもラクにできる。シートが前後に長くオシリを置く場所を動かせるので、乗車時に足を前方に投げ出しても真下に降ろしてもきゅう屈な感じはない。身長170cm/体重70kg

着座位置をシート中央にした状態で、両足の母指球あたりまではしっかり接地した。スクーター特有のシート下がやや広いため、足が外に開く形にはなるが、不安感はほとんどない。さらにシートの最前部に腰を移動すれば、両足ベッタリと接地するため、路面に傾斜がある不安定な場所などではそのポジションで対応するのが正解だ。身長155cm/体重46kg

 

SPECIFICATIONS

●全長×全幅×全高:1,935×740×1,200(㎜)●軸間距離:1,340㎜●シート高:770㎜●車両重量:132kg●エンジン種類・排気量:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒・124㎤●最高出力:9.0kW(12ps)/8,000rpm●最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm●燃料タンク容量:7.1L ●燃費(WMTC):49.1㎞/L●タイヤサイズ:F=110/70-13・R=130/70-13●価格:38万9,400円

NMAX ABS・ヤマハ製品ページ

CONTACT

問い合わせ先
ヤマハ発動機カスタマーコミュニケーションセンター
電話番号
0120-090-819
URL
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc

 

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