YAMAHA XMAX ABS

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
191
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

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※公開中の誌面内容はNo.191(2018年2月24日)発売当時のものになります

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ヤマハから、MAXシリーズの名を受け継ぐ250クラスのビッグスクーターXマックスが、トラクションコントロールや新設計のスポーティなシャーシを引っさげて新登場! ラインナップが減少する250㏄ビッグスクーターの新風となるか!?

文:谷田貝洋暁/写真:関野 温

開けて、寝かせて楽しい旋回性能。こいつにはMAXの名がふさわしい

XMAXのスタイリング

 

250ビッグスクーターの起死回生の一手となるか?

近年、250㏄ビッグスクーターの市場は苦戦を強いられている。一時期は、ビクスクブームともいわれるほど、ラインナップの層は厚く、メーカーがこぞって開発合戦を繰り広げたのがこのビッグスクーター部門だったのだ。

 

シート下のトランクスペースは、50ℓ超えは当たり前。車体の大型化も進み、60ℓ以上のモデルもあった。

 

しかも、世の中はインジェクション化のあおりを受けた電子制御黎明期。スクーターの多くが採用するオートマチック機構のCVTには、あえてギヤがあるかのような変速を行なう特殊機構が採用されたりしたこともあって、80万円超えも普通だった。今考えれば、クラッチ操作やギヤチェンジがいらないことがATモデルの利点だったのに、あえてギヤ付きバイク風の機構をいれたりと、“熱病”としか言えないほどの盛り上がりだった。

 

そしてブームは、音量規制の強化や違法駐車の取り締まりが強化されたこともあって一気に方向転換。近年、ビッグスクーターの時流は“シンプルisベスト”な方向へとシフトしている。

 

さて、そんな時流の中で登場したヤマハのXマックス。前評判では、“マックスシリーズの一角”とか、“国内モデル初となるトラクションコントロールを装備したスクーター”なんてことが取りざたされたこともあり、なんだか昔の電子制御CVT合戦を思い出してみたりしたのだが、乗ってみればものすごく楽しい1台に仕上がっていた。

全面にスポーツ性が押し出された車体作り

走り出してまず感じたのはメインフレームをはじめとした車体全体の剛性感だ。スポーツバイクのようなかっちりとした剛性感があるおかげで、高速道路での安定感はもちろん、ワインディングのようなタイトなコーナリングでアクセルが開けやすく、走っていて楽しいのだ。

 

通常、スクーターと呼ばれる車体構成を備えたバイクは、乗り手が洋装だろうが和装だろうと、どんな服装でも乗ることができるようメインフレームを車体の下側から取りまわすのが一般的。この制約のおかげで、車体の剛性確保がとても難しいものだ。

 

…わかりにくいよね。自転車を例にしよう。自転車にもママチャリとスポーツタイプのものがあるけど、剛性を高めて運動性を上げたいならスポーツタイプの自転車のようにシート部分からハンドルへと伸びるフレームを一本追加した方が車体の剛性が確保しやすい。ただそうすると、足を後ろから振り上げないと乗れなくなってしまう。つまり、ズボンでもスカートでも服装を選ばず乗れるというママチャリの最大の利点が失われてしまうのだ。

 

この構図は、このままスポーツバイクとスクーターにも当てはまる。ただスクーターと一口に言っても、ヤマハのTマックスやXマックスのように、スポーツ性を高めたいモデルもなかにはある。

 

そこで必要になるのが、フロア中央部で盛り上がっているセンタートンネルだ。スクーターの中でも少々スポーツ性に振りたいモデルは、少々乗り降りはしにくくはなるけどこの部分にフレームを通すことで車体剛性を高めるのがセオリーなのだ。

 

さて、ここでXマックスを見てみよう。やはりこのXマックスにもセンタートンネルがあり、しかも少々高め。もうこれだけでこのマシンのキャラクターがスポーツ性に振られていることがわかる。またフロントフォークの構造にも注目したい。Xマックスには通常のスクーターとは違う、スポーツバイクのような構造のフロントフォークが採用されている。

 

スポーツバイクと同じ、フロントフォークがアッパーブラケットまで貫通した高剛性な車体構成を採用。これがXマックスのコーナリング性能の根幹となっている

 

上の画像でいえばフロントフォークの上部にある緑のブラケットというパーツがその秘密。通常のスクーターのフロントフォークは下のアンダーブラケットまでしか伸びていないことが多い。これを上のアッパーブラケットまで伸ばすことで、やはりフロントフォークまわりの剛性を高め、スポーティなキャラクターに振ったというワケだ。

 

さてそんなウンチクを反芻しながら、スピードを乗せたままコーナーイン。グッと寝かし込んで車体にわざとストレスをかけてみる。…がまったく不安なところがない。とくにフロントフォークまわりにへんなヨレが発生しないので、安心して体を預けられるのだ。だからコーナー出口でも安心してアクセルをワイドオープンして加速できる。

 

インプレッションでは、このほかにもコーナーの途中でフロントブレーキをかけて急激に車体を起こしたり、いろいろと負担をかけてみたのだが、スポーツバイクのような自然な挙動で不安なところがない。伊達に“MAX”の名前を名乗ってないな。そうハッキリと印象付けられた。

 

また、このXマックスには、兄貴分のTマックスに続き、アクセルの開けすぎによるスリップダウンを防ぐトラクションコントロールが搭載されている。しかも、その制御は点火時期、燃料噴射量、スロットルバルブ開度を統合制御するというから、こちらの装備もスポーツバイク並のスペックだ。

 

今回の試乗では、路面に砂利の浮いた場所やウエット路面、コーナリング中のマンホールなど、いろいろな場面でトラクションコントロールを介入させてみたが、危ないところではしっかりとサポートしながらも前に進ませる努力は惜しまない自然な介入を行なってくれる。誤解を恐れずに言えば、ガス欠のときのような妙な失火感がない。

 

一つ残念だったのは、コンビブレーキの介入度の設定具合。このXマックスには、左レバーをにぎると、後輪と前輪の両方に作用してちょうどいい配分でブレーキをかけてくれるコンビネーションブレーキが付いているのだが、ABSが作動するようなハードブレーキングが必要になったときのキックバックが大きい。しかも、わりと介入が早いおかげで、フロントブレーキだけで止まろうとしたときよりも若干距離が伸びるような気がするのだ。まぁ、ブレーキのかけ具合やにぎり込みは人それぞれなので、一概にはいえないけどね。

 

さて、250スクーターの常識を覆すスポーツ性能を引っさげてやってきたヤマハのXマックス。ちょっと元気のないビッグスクーター界でどんな新しい風を起こしてくれるだろうか?

 

トラクションコントロールを信じてアクセルを開けて行く感覚は、これまでの250㏄ビッグスクーターにはなかった感覚。とても安心感がある

 

オンオフできるトラクションコントロールは、コーナリング中の安心感だけでなく、凍結路面やウエット路面などでもかなり有効。小径ホイールのスクーターにこそ有効な機能だ

 

ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2018年1月23日(火)

 

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※記事の内容はNo.191(2018年2月24日)発売当時のものになります

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