お気に入りの庭

お気に入りの庭

最近、うちの庭を見る人見る人「いいね」と言ってくれるのでちょっと嬉しい気分である。もちろん、立派な石や樹木が植わってるとか池に鯉が泳いでいるとかお花畑のようだとか、そういう品良く洒落た庭というわけではまったくない。コツコツと今も発展途上の手作り感漂う小さな庭が、見ていてなんとなくホッとするのかもしれない。

「マメだね」とも言われるが、たいてい私が庭に居座るのは、一人になりたいだとか、社会からちょっとだけ離れていたいなど、誰だってたまにはあるであろうそんな時である。その最適な場所がたまたま庭だったという、ただそれだけの話である。私にとって、庭いじりは癒しの効果が大きい。たとえば早朝からみんなが起き出して朝食の調理する匂いが漂ってくるころまでの時間。いつの間に!? という人間の死角で、小さな生物や植物がこっそり繁殖していたりするのを見つけると、疲れを忘れることができたりするから不思議である。

もうひとつ庭いじりの好きなところは、試行錯誤の連続だというところである。とりあえずやってみて、なんだか落ち着かないなと感じたらまたやり直す。部分的にはうまくいっても、全体を見渡すとちょっとな〜ということも当たり前のようにある。その度にせっせせっせと土を掘り直したり、石ころを並べかえたり、草木の位置を変えたりする。ペットの遊び場という役割もあるので、ところどころに楽しめる工夫も盛り込む。飽きてきたら模様替えをしてみる。言うなれば大がかりな「お砂遊び」のような感覚である。もしもうちの庭を衛星から撮影して、何十年後かに早送りでみられたとすると、きっと今仕事でやっているレイアウト画面となんら変わらない映像が永遠に流れるのではないかなと想像すると面白い。

逆に、仕事と庭いじりと、違うところを考えてみるとこれも面白い。たとえば修正方法だ。日頃の仕事では、ボタン一つで、あるいはクリックやドラッグで、簡単に位置がずらせ大きさや色・カタチが変えられ削除や追加も意のままに操作できるが、庭では池一つ移動するのに何日もかかって行う。木を一つ追加と言ったって、空から勝手に降ってくるわけでも、大きな手が伸びてきて田植えのように木を植えてくれるわけでもない。遠くからせっせと運んできて、大きな穴を掘って埋めなければならない。それから、レイアウトのデータは、新規で作成できるし、すべてを表示させれば、データ上のすべてのオブジェクトが明るみに出るが、土地は歴史が層になっているため、土を掘れば以前の住宅のかけらや「なぜこんなものが?」という不思議な物体に出くわしたりする。その下にもまだ何が埋まっているかは未知である。その他、オブジェクトは自ら成長はしないが、庭の植物は育つということも、天候や季節によっても見え方がかわるということなども魅力の一つである。でもそのうち、もし将来的に動画の制作なんて仕事が舞い込んできたりすることになったら、今庭いじりでやっているような、オブジェクトが成長したり、成長を見越したレイアウト、なんていうのも無関係ではなくなってくるのかもしれないなぁ〜なんてことも考えなくもないが、そういうことを意識しすぎてしまうと、きっとみんなに「いいね」と言われる庭ではなくなってしまうどころか自分のお気に入りの場所もなくなってしまうかもしれないから気をつけないとね。今回はそんなお気に入りの小さな庭の話でした。

お気に入りの庭

チャンカメのプロフィール

タンスタ創刊号の〆切間際に入社した古株女子。現在は雑誌広告を中心に、たまにイラストなどの仕事をする。最近ZZR1100を手放し、愛車はSDRとリード100。

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