
フレームを刷新したニューソフテイルシリーズの9番目となる刺客が上陸した。スポーツグライドはその形からてっきりツーリングモデルかと思ったら、いろいろ外すと大変身! 旅から峠まで一粒で2度オイシイマシンだったのだ!
文:谷田貝洋暁/写真:関野 温
長旅にスポーツライディング、どっちもこなす両刀使い
SPORT GLIDEのスタイリング
長旅から街乗りまで一粒で2度おいしい
このスポーツグライドを初めて写真で見たときに少し違和感を感じた。フロントにはフェアリングと呼ばれる小ぶりな風防。両サイドにパニアケースを装備し、その容量は片側25.5ℓ(合計1.9キュービックフィート)だとか。しかもリリースを読めばクルーズコントロールも付いているというから、高速道路をゆったり走るキャラクターだな。同じソフテイルシリーズで言えば、ヘリテイジクラシック系のツーリングマシンに近いイメージか…。
だが、フロントの足まわりを見て疑問がわく。φ43㎜のいかにもスポーティな倒立フォークが付いているのだ。
ちょっとソフテイルシリーズのことを説明させてもらおう。昨年、フレームの大刷新を行なったソフテイルは、それまであったスポーティなダイナシリーズと、ソフテイルと呼ばれるクラシカル路線のシリーズが一本化。それまでは別のフレームが用意されていたのだが、一つのフレームに統合されたのだ。2018年現在、ニューソフテイルのラインナップは9種類。このスポーツグライドは、その最新モデルだ。
9種類もあるだけあって、ニューソフテイルシリーズにはさまざまなキャラクターが存在する。一番スポーティなモデルを挙げるならファットボブ。立ち目の28度にセットされた倒立フォークにディスクブレーキをダブルで装着。もちろんグリップのいいタイヤを履き、バンク角も深めに確保されている。一方、スポーツ路線とは対極にいるのが先ほど引き合いに出したヘリテイジクラシックである。こちらにはサイドバッグや大型スクリーンなどを装備し、ツーリングに特化したキャラクターに仕立て上げられている。
さてもう一度、今回試乗するスポーツグライドを見てみよう。ツーリング装備であるパニアケースやフェアリングが付いているのに、スポーツモデルの装備であるはずの倒立フォークが…。リヤショックにはプリロード調整機構まで装備している。こいつのキャラクターはツーリング路線なのか、スポーツ路線なのか…。写真を見て感じた違和感はこれだったのだ。
走り出してみる。1745㏄のOHVエンジンは、セルひとつで“ガコンッ”とハーレーのVツインらしい鼓動がスタート。ちなみにほかのソフテイルシリーズには、さらに大きな114(1868㏄)エンジンが設定されたモデルもあるが、スポーツグライドは107エンジンのみの設定だ。
思ったとおり、ツーリングライクなスタイリングとは裏腹に走りはかなりスポーティ。たしかにファットボブほどキャスター角が立っていないので、そこまでのコーナリング性能はないが、曲がろうと思えばスパッと車体が旋回をはじめ、タイヤが路面をしっかりとらえている感覚も伝わってくる。
やはりフロントの倒立フォークがいい仕事をしている。正立フォークにシングルディスクブレーキを装備した他のソフテイルでも、昨年の海外試乗会でかなり攻め込んでみた。でもコーナーのブレーキング合戦の最後の最後のにぎり込みのところでフォークがたわむように感じて、突っ込めない場面があった。だが、このスポーツグライドは下りだろうがなんだろうが、きちっとフロントフォークを沈ませてタイヤを押し付けながらのコーナリングができる。
なんてことを夢中になって試していると、ステップはすぐに削れてなくなりそうだ(笑)。それだけコーナリングも楽しくワインディグで夢中になれるということだろうけど、バンク角は右が27.9度で、左は28.7度。そこまできちんとバンク角は確保されていない。
ヤタガイ ヒロアキさんの投稿 2018年1月30日火曜日
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※記事の内容はNo.191(2018年2月24日)発売当時のものになります