YAMAHA MT-07 ABS

特集エンジン大解説/実走編:2気筒

No.
203
特集エンジン大解説/実走編:2気筒

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※公開中の誌面内容はNo.203(2019年2月23日)発売当時のものになります

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YAMAHA MT-07 ABS 走行イメージ

 

次世代のスタンダードモデルを目指して14年に登場したMT-07は270°クランクの並列2気筒エンジンを搭載。普段着感覚で運転を楽しめることをコンセプトに開発され、進化してきた。

文:横田和彦/写真:関野 温

キレのある加速で街中を駆け回る

MT-07のスタイリング

 

押し出し感が強いツイン・フィーリング

14年にMT-07が登場したとき、注目度はあまり高くなかった。というのも直前に発表されたMT-09があまりにセンセーショナルだったからである。個性的な車体デザインや、パワフルな並列3気筒エンジンが生み出すアグレッシブな走行フィーリングなどが大きな話題となっていたため、少しあとに発売されたMT-07は期せずしてMT-09の廉価版的な印象になってしまったのである。

 

しかし実際に乗ってみると、両車はまったく異なる個性を持つバイクであることがわかった。過激とまでいわれた並列3気筒エンジンに対して、扱いやすい特性の並列2気筒エンジンを搭載するMT-07は確かに乗りやすかったが、決しておとなしいだけのバイクではなかったのである。低回転域から豊かなトルクを生み出すエンジン特性はMT-09よりもさらに軽い車体を軽々と押し出す。その加速フィーリングは3気筒のような荒々しさこそないが、雑音がなく胸のすくような爽快感をともなうもの。MTシリーズ共通のアイデンティティが見事に織り込まれていたのだ。スチール製ダイヤモンドフレームや正立フォークが生み出す軽快かつしなやかなハンドリングも含め、個人的にはMT-09を上回るほどのよい印象を受けたのである。

 

そのMT-07が18年にマイナーチェンジ。270度クランクを採用した並列2気筒エンジンのスペックはそのままに、スタイリングやサスペンションの変更などを行なった。またライディングポジションの自由度を高めライダーの操作に対する適応性を向上させたのだが、エンジンやスチール製ダイヤモンドフレームなどに変更がないということはそれだけ完成度が高いということ。あらためて試乗してみると、その個性が明確に伝わってきた。

 

2気筒にはさまざまなレイアウトや形式があるが、並列2気筒・270度クランクの特徴のひとつは低回転域から湧き上がる太いトルク特性。MT-07もアクセル操作に対してエンジンがリニアに反応しリヤタイヤをググッと力強く押し出す。排気音が十分に消音されていることもあってカン違いしかねないが、実はかなりのトルクを発揮している。雨天で濡れた路面のペイント部分などでは、容易にリヤタイヤが空転するほどなのだ。しかしリヤタイヤが確実にグリップしているときに味わえる、中〜高回転域まで長く続く加速感はとても気持ちがいい。270度パラレルツインの鼓動感を満喫できるキャラクターは、モデルチェンジしても変わっていなかった。

 

YAMAHA MT-07 ABS 走行イメージ

 

先代から進化したスタイリングの変化も好ましい。ややおとなしめだったエクステリアデザインは、よりMTシリーズらしいシャープで躍動感のあるものとなり、街角に停めているときスピードを感じさせてくれる。

 

またフラットなシートを採用し、ライディングポジションの自由度が高まったこともプラスだ。低めのバーハンドルとのバランスもよく、トルキーでコントローラブルなエンジン特性をライダーが積極的に活かし、車体をより自由に、スポーティに操れるような仕様になっているのだ。

 

MT-07が持つ大きな魅力のひとつである、市街地走行のペースで十分に体感できる加速フィーリングは現行モデルでも健在。しかも、ライダーのコントロールから逸脱しないだけの扱いやすさには磨きがかかっている。つまりライダーが“ここだ!”と思った瞬間に必要なだけの加速を自在に引き出せる特性が“バイクを操るおもしろさ”を体感させてくれるのである。

求める機能と性能を突き詰めたエンジン

MTシリーズにふさわしいシンプルで軽量なエンジンを求め、さまざまな気筒数やレイアウトを検討。その結果、たどり着いたのが並列2気筒・270度クランクだ。燃焼効率を追求して不安定な燃焼からくるギクシャク感を消し、スロットル操作に対してリニアなトラクションフィーリングを実現。広いトルクバンドを持ち、ライダーがライディングに集中できるエンジン特性としている。

 

YAMAHA MT-07 ABS エンジン

 

次ページ:MT-07のディテール&足つきを紹介!

※記事の内容はNo.203(2019年2月23日)発売当時のものになります

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