FANTIC ENDURO250

連載新車体感 ニューモデルインプレッション

No.
209
連載新車体感 ニューモデルインプレッション

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※公開中の誌面内容はNo.209(2019年8月24日)発売当時のものになります

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FANTIC ENDURO250でスタンディング

 

ここ数年で公道走行可能な250㏄オフロードモデルは減少してしまった。そんな中、イタリアの名門“ファンティック”から公道走行可能なエンデューロ250が日本市場に投入された。その実力をお伝えしよう。

文:濱矢文夫/写真:徳永 茂

バランスのよさが楽しさを生み出す

FANTIC ENDURO250のスタイリング

FANTIC ENDURO250 7:3ビュー

 

“コンペティション”と“トレール”の溝を埋めるマシン

ギザギザのタイヤを履いたこういうスタイルをしているバイクを“オフ車”と簡単にいってしまうけれど、その実は使い方に合わせていろいろ種類がある。オフ経験者は、この見ためから“エンデューロレーサーかな?”と思うかもしれない。だが、そうじゃない。じゃあ街や高速道路を乗ることを考えて作られたトレールモデルに入るのか。それもちょっと違う。

 

水冷単気筒エンジンは、レース用のように極限まで贅肉のない作りではない。単気筒ロードスポーツにも使われていそうな成り立ち。スロットルを大きく開けてもレース用みたいな強いパワー感はないけれど低中回転域のトルクがあり、いきなりではなく、じわじじわじわ~っと出てくる。そして極低回転、アイドリング付近でクラッチをつないでもエンストせずにスルスルと前に出る。高出力のために高圧縮になったコンペティション車だと、この場面で気を抜くとパスンっとエンストすることもある。だからフィーリングはトレールモデルに近い、いい意味でシャキッとせずダルな感じ。

 

オンロードとオフロードの違いは、土とか泥とかで路面のグリップが低いこと。簡単に滑って、最悪はすってんころりんと転ぶ。コンペティション車はパワーがあって、シャシーやサスペンションなどもトレールモデルより高性能なモノが付いているけれど、油断すると滑って横に流れる。オフの運転がうまいライダーなら、滑ってもコントロールでき、転ばずに滑りを少なくして前に進ませるテクニックを持っているから、パワーのあるレースモデルを使いこなせる。でも、みんながそうじゃない。このエンジンのいいところは、そのほどよいパワーと、唐突すぎない特性によって、いきなりズルっと滑りにくい。カチカチに乾いた土から、水分を含んだ路面状況でも積極的にアクセルを開けていけるのだ。

 

FANTIC ENDURO250で水溜りを走行

 

この乗りやすさには、シャシーと足まわりも貢献している。まず、車体のサイズが小さく軽いこと。フロント21インチ・リヤ18インチという、オフロードの定番ホイール外径。いわゆるフルサイズと呼ばれるタイヤを履いていながら、同じ250クラスのエンデューロレーサーより一回り小さい印象。この日本仕様は前後のサスが欧州仕様よりローダウンされていて足つきがいいのも特徴。前後の荷重バランスもよくて、前後の体重移動を積極的にしなくてもコーナーでは小さく曲がれ、旋回しながら早めにスロットルを開けてもそのままトラクションして前に立ち上がっていくことができる。

 

FANTIC ENDURO250でアクセルターン
コースを走ってもコンパクトにまとまった小さな車体もあって、旋回性の高さが光る。早めにスロットルを開けられ、さらにエンジン特性とサス性能で力を逃さず前に進んでくれる

 

トレールモデルよりフロント足まわりの剛性感は高く、リヤも含めて動きも柔らかすぎずしなやかに路面変化に追従。コンペティションモデルほどの剛性と動きはない。しかしトレールモデルと比べ、大きな凸凹を速度を上げながら通過すると、ショックを吸収しきれずにドタバタするような動きが小さい。私の経験値で判断すると、エンジンと車体はコンペティション車の2割引、トレールモデルの3割増。突出してすぐれた部分や、劣る部分がない。全体のバランスがすごくいいんだ。ゲレンデエンデューロからクロスカントリーなど、スロットル全開区間のないエンデューロレースなら、いい結果が残せそうと思えるくらい。とくに雨などで滑りやすくなったら“こっちのもの”とほくそ笑むことができそう。

 

コンペティション車はちょっと扱えない。トレールモデルだとちょっと物足りない。そういうジレンマにおちいっている人にはうってつけだ。中間なのは価格もそう。オフロードを始めたばかりのビギナーが選んでも使いやすさを感じられるだろう。この車両はコンペティションモデルとトレールモデルの間にある溝を埋めるものだ。

次ページ:FANTIC ENDURO250のディテール&足つきを紹介!

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03-3721-1770(ショールーム)
URL
https://sygnhouse.jp/

※記事の内容はNo.209(2019年8月24日)発売当時のものになります

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