なんで今日も晴れるんだ?

梅雨。この時期、オートバイ雑誌の編集部員の苦悩はひときわ大きい。バイク乗りにとって雨が大敵なのは当たり前だけど、雑誌制作において天候は絶対的な要素といっていい。晴天で作ったページが100点だとすれば、曇天なだけなら何とか50点。雨が降ったらその時点で10点以下、それぐらい誌面での見栄えが変わってくる。雨が降る、ただそれだけで「スカッと晴れ渡った空に緑に輝く大地を駆け抜けるオートバイ…」なんて、事前に作ろうとしていた誌面のイメージは一転。どんよりした雨雲にくすんだ緑。車両を撮影すれば車体に付いた水滴が気になるし、バシャバシャと跳ね上げる濡れた路面ではカメラマンの要望どおりにマシンを走らすことすらままならない。とくにキャンプものの企画は雨というだけで完全アウトだね。やらない方がまだマシといっていいでしょう。まぁ「実録、目指せ九州!」なんてチャレンジ企画の場合は、そんな天候が“苦難”という好条件となる場合もあるけどね(どんな場合だよ!?)。

というわけで、僕たち編集部員はこの時期はいつもに増して日々週間天気予報や天気図をじっくり見ながらロケの日程を組むわけだが、これがなかなかに難しい。というのも、担当本人や社内スタッフの予定調整だけで済むなら、朝出社して空を見ながら「天気がいいからやっぱり今日ロケをやる!」なんてアクロバットな計画変更が奇跡的に成功する場合もあるが、ツーリングやインプレッションなどの、おおがかりなロケではそうはいかない。バイクメーカーさんから借りている撮影車両の返却期限は決まっているし、カメラマンさんやライダーさんといった外注さんが関わってくると、日程変更そのものが難しい。「やっぱ、明日は雨が降りそうなんで、中止にします! ってことで明後日は空いてます? あ、もう埋まっている? では今回のお仕事はなかったコトに…」なんてゴハサンにすることはお互いお金が絡んでくるので難しい、というかかなり失礼だからだ。

そんなこんなで、担当編集部員は胃を傷めながら、綿密な下調べとともに希望的観測を加味しながら天気を予測し、取材日を決めるワケだけど…ホントによく外れるんですよ、この時期は。

本日、7月11日。本来なら車両のインプレッションを行ないたいと思っていた日なんだけど、数日前の予報が雨だったからあえて方々にいろいろ頼み込んで再調整をしながら先延ばしにしたのに…。なんてこったいドッビーカンじゃないか…。こんなことなら、「大丈夫、僕は晴れ男なんでやります!」と敢行すりゃよかった。そんなこんなで梅雨の青空を見上げながらそんなことを朝から後悔し続けている。しかも、これから数日間、天候がくずれるらしいんだよなぁ…。あぁ、胃が痛てえ。

やたぐわぁ

written by

やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

このコラムにあなたのコメントをどうぞ

この記事が気に入ったら
いいね!とフォローしよう

タンデムスタイルの最新の情報をお届けします