フォークとサスは使いよう?

ナイフとフォークの扱いがニガテである。自宅ではもちろんだけど、ファミレスなどで洋食を食べる場合にも、ちゅうちょせず「箸ください!」と言うのが習慣になっている僕。決してナイフもフォークも“グーで握らないと使えない”というワケではないのだが、箸からフォークに持ち替えると、いろいろ考えねばならないことが増えてとっても面倒。そっちの操作やマナーばかりに気が行ってしまい、ゆっくり食事を楽しむどころか、料理を味わうことすら難しくなってしまうのだ。

 

だから「だってお箸の国の人だものお箸で食べて何が悪い!」などと開きなおっているワケだけど、困るのは結婚式とか接待とか、ちょっと背筋を正さないといけないような場に行かねばならなくなったときである…。日ごろ、ナイフとフォークを積極的に使ってないから、いざ使うとなると、ロボットのように操作がぎこちない(笑)。ロボットなどいってしまったが、最近10歳になったASIMOの方がまだマシな動きをするかも知れない。しかも、そんな場はえてしてスマートなたち振る舞いを強要されるシチュエーションであり、「音を立てずに静かに、静かに…」とか、「フォークの背にこんな小さなマメをイチイチ乗せろってか?」。でもって「口に運ぶ際は、頭を動かさず、背もたれから背中を離さないようにしないとカッコわるい…」などなど、無駄に背伸びをさせられる雰囲気だからさらに大変なのである。しかも、当然ながら食事している相手との会話にも気をつかわなきゃいけないし、思いどおりに動かないニンジンをうとましく思い、今にも垂れそうなグレービーソースにハラハラドキドキ。スマシタ顔を保とうと努力しちゃいるが、もう頭のなかは無用にフル回転!

なんだか、バイクの免許取得後初めて公道に出たときのような、懐かしいぎこちなさが全面につきまとうのである。ただ何かを操作して作業をするというプロセスはバイクも箸もフォークも同じ。ナイフとフォークに比べれば、バイクの操作の方がはるかに複雑で大変だろう。そのバイクだって慣れればいずれ何も考えずにシフトダウンしたり、サスの動きを感じて体重移動したりするようになるわけだから、ナイフとフォークも積極的に使っていれば、いずれ何も考えずともスムーズに身体が動くようになるんだろうけど…、ねぇ。ついつい「箸ください!」のクセが抜けなくてその修行の場も自らつぶしてしまっている。この年齢になるとそんなナイフとフォークの使用を強要される場面も、公私ともに増えたりして、かしこまった場での洋食が意外に頭痛の種なのである。

やたぐわぁ

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やたぐわぁ

本名/谷田貝 洋暁。「なるようになるさ」と万事、右から左へと受け流し、悠々自適、お気楽な人生を願うも、世の中はそう甘くない。実際は来る者は拒めず、去る者は追えずの消極的野心家。何事にも楽しみを見いだせるのがウリ(長所なのか? コレ)だが、そのわりに慌てていることが多い。自分自身が怒ることに一番嫌悪感を感じ、人生の大半を笑って過ごすことに成功している、迷える本誌編集長の44歳。

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